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ふたきつねは異世界で何を想ふ  作者: 茜村人
1章.謎の惑星
13/25

11.スキル

昨日は一日外に居た為、執筆する時間が取れませんでした。

今日はもう一話書けるといいなぁ……

『駄目でした……』

『まぁ、そうだとは思ってた』


 出来れば嬉しいくらいの感覚で居たから、そこまでダメージはない。


『今更だけど、もし人に変身出来ても言語の壁を忘れてたな』


【個体名:ルディアージより"空想郷(ディストピア)"を経由、擬似スキル申請を確認、"理想郷(ユートピア)"……申請を許可、"黄昏の月(ダスク・ムーン)"……承認、擬似スキル"翻訳(トランシス)"を構築……構築完了、適応……適応完了します。擬似スキル"翻訳(トランシス)"を取得】


『解決しちゃったよ……』

『と、言うと……、あぁ、天の声ですね』


 しばらくすると、後輩にも声が届いたのだろう。ピクピクと耳が動いている。


『ほんと、何なんでしょうねこのシステム』

『分からんが、無かったら詰んでたな』

『現状も若干詰み状態ですけどね!』

『言うな』


 初日の詰み具合よりは幾分かマシだと思うしかないな。



『どうするか、次に人種にあったら"翻訳(トランシス)"で話しかけてみるか?』

『やりたいですけど、結構リスキーじゃありませんか? それ』

『前回のような、絶対殺す侍みたいな奴は流石に無理だと思うけど、この森に迷い混んだ子供とかだったら可能性があるんじゃないか?』

『先輩、発想がなんと言うか誘拐犯ちっくで引きます。それあれですよね、その子供は帰ってくることはなかった。とかになって私達討伐対象になってる可能性もありますよね』

『大丈夫だ。ちゃんと家まで帰せば問題ない』

『でも、先輩って幼児性愛者ですよね。本当に帰すんですか?』

『待て、なんで俺がいきなりそんな性癖に目覚めてるんだ。俺は至って普通の趣味しかしていない』

『いやだって、ポニー先輩の事じろじろ見てたじゃないですか』

『いやあれは普通に小さかったから、なんとなく気になってただけだ。25で身長147とか気になるに決まってるだろ』


 ポニー先輩は顔も童顔ではっきり言って15歳くらいにしか見えなかったからな、そりゃ年齢を知ってる身としては目立つだろ。


『それってやっぱり幼児性愛者って意味なのでは?』


 いやいやいや、後輩の理屈だと大体の人が幼児性愛者になってしまう。止めなければ。


『それだとポニー先輩に失礼だろ』

『……それもそうですね、仕方ないので先輩はまだ大丈夫って事にしときます』


 "まだ"と言う部分に大きなひっかかりを覚えるが、突っ込まないでおこう。


『なんか釈然としないが、まぁいいか』

『それよりもこれからど――』


【固体名:ルディアージのスキル適合を確認。擬似スキル"念話(テレパシー)"を消去します】


 ん?


 突如、後輩の声が頭から消えた。


 どう考えても今の天の声が関係している。

 後輩も、あうあう鳴いている所を見ると、こちらだけが切れたわけではないようだ。


 状況確認のために自分のステータスを見る。


 ステータス

 名称:ルディアージ・ノア

 状態:正常

 種族:妖狐

 能力:概念スキル"空想郷(ディストピア)"

    スキル"念話(テレパシー)"

    擬似スキル"(ファイア)"

         "(ウォーター)"

         "索敵(サーチ)"

         "望遠鏡(スコープ)"

         "翻訳(トランシス)"

    限定的擬似スキル"鑑定(シーター)"

 補足:妖狐の幼生体、食べられる。双子。


 "念話(テレパシー)"の部分が擬似スキルからスキルに変わっている。


("念話(テレパシー)"!)


 とりあえず"念話(テレパシー)"自体はあるようなので、後輩に向かって念じてみる。すると後輩は何やら聞くように宙を見ている。天の声が来たときの反応だな。


『先輩!』

『おぉ、無事に繋がったか』

『いきなり切れたからびっくりしました。あと私の"念話(テレパシー)"が消去されたんですけど』

『あー、それは自分を見てみろ、多分俺と同じ状態だ』

『"鑑定(シーター)"……、なんか擬似スキルがスキルに進化? してるんですけど』

『俺もだな』

『これってどう言う事ですかね?』

『安直に考えるなら進化だな、精度が上がったりとか威力が上がったりとかしてるのか?』

『精度とか威力とか上がった感じは今のところ分からないと言うか、あんり変わってないと思うんですけど』

『どうなんだろうか、進化と仮定してまだ進化したてだから差が分からないのかもしれん』


 声の精度とかは多分変わっていない。今までと同じだ。

 となると、通話可能距離が長くなったか使用時間が長くなったかくらいか。


『でもその二つだと確認しようがなくないですか? 距離なんてまだ測ってませんでしたし、使用時間が切れる前に進化しちゃいましたし』

『それか今みたいに心の声の漏れが大きくなったとか?』

『うわぁ……』

『いや、待て、何故俺がそんな目で見られなければいけない。これに関しては俺に一切の非は無いと思うが』

『……心の声が今以上に漏れるのは嫌です。いくら先輩でも見せたくない部分もあります』

『それは、天の声に言ってくれ』

『言えないんで先輩で我慢します』

『そこで俺になる意味がわからん』

『先輩なら可愛い後輩の文句なら全部聞いてくれるって思ってるんで!』


 ていっ。


『あいたっ! 先輩暴力禁止ですぅ!』

『うるさい、そんな事より話を戻すぞ』


 頭を抑えながらクゥゥゥンと鳴く後輩を尻目に思考に(ふけ)る。

 今のところスキルに進化したのは"念話(テレパシー)"ただ一つ。

 擬似と書かれているのは全て進化すると考えた方が無難だろう。そうなると進化すれば、どうなるのかが問題だ。

 もしそれにより不便になったら困る。特に"(ウォーター)"や"(ファイア)"は死活問題に直結する。

 "鑑定(シーター)"辺りは進化して精度と言うか情報量を増やしてほしい。


 となると次に気になるのが進化の条件だ。


 "念話(テレパシー)"が最初な事を考慮すると、やはり使用回数、もしくは使用時間なのだろうか。

 "念話(テレパシー)"は繋げてから一度も切っていない。つまり一番使用時間が長い擬似スキルだ。これも検証しないといけない。

 順当に行けば次に使用回数が多い"索敵(サーチ)"が進化するはずだ。"索敵(サーチ)"なら進化させるのには丁度いい。様子を見よう。


『理解しました!』

『ほんと、心の声が漏れると説明不要なのは便利だよな』

『他が不便ですけどね!』

『全くだ。とりあえずは進化についてはこんなもんだろ。他に気になった事とかあるか?』

『んー、擬似スキルって何なんでしょうかね?』

『それについては、さっぱりだ。そもそも擬似って時点で意味が分からん。何か別の要因が介入してスキルを使用……』


 考えると、一つだけ介入できそうな物があった。


『天の声……』

『それならまだありえる……のか?』

『今の状況の手札だけで言えば、それくらいしかないですよね』

『それもそうか。なんにせよ情報が足りなさ過ぎるな。考えても仕方ない部分だなここは』

『そうですね、ご飯も食べてないから頭も働かないですよね!』


 そう言えば、あのエルフのせいでご飯を食べれてないんだった。

 流石に俺も空腹になってきたな。


『スライムいっときますか!』

『エルフが潜伏スキルらしきものを使っているから、次からは更に慎重に行こう』

『了解です!』


 ☆  ☆  ☆


『新色です!』

『そうだな、またやるか?』

『もちろんです! 今度はちゃんと二つ質問してみせます!』


 そのまま東に行けば、またエルフと鉢合わせになる可能性があった為、北に神代之老樹があるのでそれを背にして少し南に向いて走る。

 と、今度は黄色をしたスライムに出会った。大きさ的には今まで出会ったスライムで一番小さい。


 やはり敵に見つからないと言うのは、狩りにおいて大きなアドバンテージだな。辺りも注意深く見てからスライムに向けて水圧レーザーを放つ。

 今回もあっさりと核を貫通し、スライムは動きを止めた。


 なんか昨日ぐらいからスライムが敵ってよりご飯にしか見えなくなってないか。大丈夫か俺。


『大丈夫って事にしときましょう! でも油断はだめです!』

『お、おう。そうだな』

『それよりもはーやーくー』

『分かった分かった』


 そう言いながらスライムに噛り付く。数回味わうように咀嚼してから飲み込み、無表情を作る。


『じゃあ質問を二回受け付けよう』

『今回は変化球で行きますよ! ずばりレモンですか!』

『NO』

『まぁそうだと思ってました。レモンだったら先輩すっぱそうにしますもんね。じゃあ、今まで食べた事がありますか』

『んーNO』

『おおっと、これには私も予想外です。いや可能性は十分ありましたけど予想外です』

『さぁ、召し上がれ』

『でも今回は二回聞きたい事を聞けたのでいただきます!』


 後輩も反対側から食べ始める。後輩は恐れ知らずと言うか勇猛と言うか、一度舐めたらいいのに。それで味くらいは分かるだろう。

 この声が聞こえたのか、口にスライムを咥えたまま目をパチクリさせてこちらを見てきた。例えるならそう、"全く思いつきませんでした"と思っているような顔だ。


『実際にそう思ってますし、どうせ先輩私の心の声聞こえたんでしょ』

『そうとも言う』

『次からは舐めます!』

『して、このお味はお気に召しましたか可愛い後輩君よ』

『これ、どう考えても水ですよね?』

『無味、だな』

『水なら飲んだことあるじゃないですか!』

『質問は"食べた"だ。"飲んだ"ではないからな。NOだ』

『それくらいはサービスしてくださいよぅ』

『まぁ黄色はハズレって分かったな』

『一応お腹に貯まりますけど、食べたって気にはなりませんね。もう一匹狩ります?』

『後輩が?』

『先輩が!』


 ほんと後輩らしい。


『でしょう! ではこの調子で、次は湖のスライム行きましょう!』

『そうか、後輩がんばれよ』

『辞めときます!』

『流石に潜伏状態からのレーザーコンボでいけるとは思うけど、近付きすぎて池に落ちたりしたら堪ったもんじゃない』

『でも透けませんでしたっけ?』


 この潜伏は触れたいと思った対象以外には触れないはずだ。あのミノタウロス亜種を除いて。だからこそこ潜伏に頼りすぎているんだがな。


『透けるだけで息が出来るとは限らんだろ、(スライム)の底まで落ちて透けて浮かないとかになれば潜伏を解除するしかない。それだと溶かされる。詰みだ』

『じゃあもっと精度を上げてからですね!』

『倒すのは確定なんだな』

『何味か気になります! それに食べた中で一番大きかったスライムがいちご味で、一番小さいのが無味なら大きさに比例して味が良くなっている可能性があります! 是非検証しなければ!』


 その頭の回転を少しでも別のことに回せないのか後輩君。


『頭の回転速いとか、そんな褒めたって何も出ないですよぉ!』

『褒めてはいるが褒めてないぞ』

『そんな事よりどうですか、湖スライムの大きさともなると、味も相当だと思うんですよ』

『まぁ、追々だな。赤は出来る限り見つけ次第狩るようにするか』

『はい!』


 そうして、移動を再開した。

 目指すは東。


 三日の月日が流れたとき、俺たちは森を抜けた。

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