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ふたきつねは異世界で何を想ふ  作者: 茜村人
1章.謎の惑星
12/25

10.イケメンは嫌いです。

投稿しないと言いましたが、なんとか書けたので投稿します。

今回も短いですが、前回と合わせてと考えて見逃してください……。

 一度放たれた矢は、止められない。それと同じに、一度放ったレーザーも止める事は出来ない。


 俺の手元を離れたレーザーは、寸分の狂いも無く核を貫いた。

 それに遅れて矢がスライムに刺さる。

 だが、矢は表面に軽く刺さっただけで核には届かなかった。


 矢が飛んだ場所を見るが、そこには何も居ない。

 そんな筈はない。あり得ない。


 だが、"索敵(サーチ)"には何も――いや、違う。

 じっと目を凝らすと、薄っすらとだが赤い輪郭が見える。

 慌てて、だが音を立てないように慎重に身を低くして体を隠す。まだこちらに矢が飛んできてないのを見るに気付かれてはいないようだ。


 すると、ゆっくりとだが薄ら赤い輪郭がスライムへと近付いて行く。

 そして、風景から飛び出るように三人の人間が突如として現れた。

 だが、俺の知っている人間と少し違う。整った顔立ち、尖った耳、造話や逸話に聞くエルフと酷似している。

 俺は奴らに見付からないように後輩の場所までゆっくりと後退する。それと何故だか、鼓動が早くなると言うか、虫唾が走ると言うか、エルフを見ていると無償に腹立たしくなる。

 この体がエルフ嫌いなのだろうか。


 どうやらエルフはスライムを所望のようで、こちらには振り向きもしない。まだ気付かれてはいないようだ。

 多分だが、俺が潜伏出来るように、向こうも姿を隠す(すべ)を持っているのだろう。

 見えなくは無かったが、目を逸らすと再度捕捉するのには苦労しそうだ。

 今のうちに離れよう。

 後輩の横まで近付くと、どうするのか伺うように覗いてくる。


『逃げるぞ』


 ――――その時だった。


 ザザッと音がした。スライムの方を見ると、エルフが一斉にこちらに振り返っていた。


 その目は明らかにここを見据えている。二人が弓を構え、一人は手に持っている槍を突き出した。


「£λж!」


『――走れ!』


 後輩もその声に駆られたのか、勢いよく駆け出す。

 俺も走り出すと、後ろから弦の音が二回聞こえた。弓が放たれたのだろう。


『"(ウォーター)"!』


 後ろを振り向かずにスキルを唱える。

 大量の水が地面付近から空に向けて吹き上がり、超えられない水の壁がエルフとの間に聳え立つ。多分だが矢も打ち上げられただろう。それに、追跡の阻害も出来るし咄嗟の判断だったが結構使えるな。


 それにしても、エルフも俺らが見えていたのか、だが最初は気付きもしなかった。

 自分のステータスを確認して原因が分かった。

 急いで後輩まで追いつき並走するように体をピタリとつける。


『先輩! いくら私が好きだからって時と場所を考えて下さい!』

『黙ってろ! "空想郷(ディストピア)"!』


 潜伏が切れていた。

 とりあえず後輩も一緒にと念じながら、そのまま止まらずに真っ直ぐに走る――――。


 ☆  ☆  ☆


『――なんとか、撒け、ました……ね』


 "索敵(サーチ)"でよく確認してから二人は一息つく。

 頭の中に後輩から「もう無理」と「うなり声」と「ぜぇぜぇ」が送られてくる。


『すまん、潜伏が切れていたみたいだ』

『どお、りで……』

『今回は俺の不注意だ。すまん』

『次から、一緒に、気を、つけましょうぅ』

『お、おう……疲れてるのは分かるが、"念話(テレパシー)"でまで言葉を途切れさすのはリアリストを通り越して若干きもいぞ』


 俺も息切れを起こして呼吸が荒くなっているが、"念話(テレパシー)"をする分には、不自由なく会話出来ている。

 もしかして、こっちが送っている言葉に現状の息遣いも反映されるとかそんな事ないよな。

 俺は"念話(テレパシー)"で声を送っているが、実際は受け取る側は声プラス息遣いを受け取ってるとかだと俺もきもい事になるのだが。


『いや、なんで、先輩は、そんな、普通に、"念話(テレパシー)"送れるんですかぁ!』

『違ったか』

『何が、ですかぁ!』

『いや、まぁいいか、最初は見付からなかったのを考慮して途中で潜伏の効果が切れたと見ていいだろう。限度は二日と少し、60時間程と見るのが妥当か』

『そお、ですねぇ!』

『なんつーか、運動不足を疑う』


 あまりにもぜぇぜぇと脳内に響くので、スキルで水を出し水分を補給する。

 少しすると、落ち着いた後輩が出来上がった。ついでに俺の息も整える事が出来た。


『復活です!』

『それは良かった』

『それにしても怖かったですね。やっぱり人間にとって私たちは討伐対象なんでしょうか』

『まだ分からんが、少なくともエルフは敵対的だったな』

『エルフ?』

『あぁ、ちゃんと見えてなかったのか、耳が尖っていてな、エルフっぽかったぞ』

『なにそれ私もちゃんと見たかったです』

『言うと思ったが、俺はもう二度と会いたいとは思わないな』

『まぁ、敵対的だったのなら遭遇しない方が穏便に過ごせますね』

『それもなんだが、なんと言うか、エルフを見ていたらムカついた』

『……エルフってやっぱり顔綺麗でした?』

『間近で見たわけではないからはっきりとは言えんが、ハリウッドスターばりにかっこよかった』

『ばっちり見えているじゃないですか。それただの妬みですよ』


 妬みなのかと言われればどうなのだろうか。

 確かに俺の顔はそんなにかっこよくも無かったが、別に異性にモテたいと思った事はないし、親がくれた顔だから個人的には十分好きだった。何よりハリウッドスターを見たところで一般人は妬みが発生するのだろうか疑問だ。


『先輩も十分かっこいいですよぉ』

『それは、お前が狐好きだからだろ?』

『勿論です!』


 なんと言うか、こいつの話は話半分くらいで聞くのが丁度いい気がしてきた。


『はぁ、まぁありがとう』

『どういたしましてです!』

『脱線してるな、少し戻そうか』

『そうですね、ご飯どうしますか?』

『それは戻しすぎだ馬鹿』


 横になっている後輩の頭を小突く。


『あいたっ! 痛いです先輩、暴力はんたーい!』

『ご飯はまた話が終わったら取りに行くから後にしなさい』

『わかりました!』


 本当に後輩がただの大食いキャラになって来ている気がするんだが。


『気のせいですよ』

『だから……、まぁいいか、そうか。ソウダナキノセイダナー』

『棒読みとか酷いです。それよりも話戻しましょう』

『なんか俺から脱線したみたいで不服だが……、じゃあ、この世界についてだが、人種以外にもエルフ種がいるとして、エルフ種は俺たちは討伐対象として見られた。と見るべきだろう。この感じだと人種はまだ不明だが、期待は出来なさそうだなぁ』

『つまりふたりぼっちですね!』

『そうだなふたりぼっちだな、ひとりぼっちじゃないだけマシだな』

『はい!』

『ほんと陽気だなお前は』

『陽気と言うより私は一人じゃないので大丈夫です。先輩が居なくならない限りは笑ってられる自信あります!』

『本音は?』

『先輩頼りにしてるんで頑張って考えて下さい!』

『お前も少しは考えなさい!』


 もう一度頭を、今度は少し強めに小突く。


『あだっ!』


 本当に大丈夫だろうか。こっちに来てから後輩のポンコツ感に拍車が掛かってる気がする。


『仕事の時もポンコツみたいに言うのは止めて下さい! ちゃんと仕事はばっちりやってました! 私に失礼です! 前言撤回を求めます!』

『はいはい、悪かったです悪かったです』

『ふふん!』


 何故そこで鼻を鳴らす。


『それで、先輩、森を抜けたらどうします? 村とか探してみますか?』

『そうしたいところなんだが、もし人種が獣見つけ次第殺すマンだったらなと思うと気が乗らないよな』

『前に言ってましたけど、人に姿を変えるスキルは無理だったんですよね?』

『申請は通らなかったな、ただスキル自体はあるようだから、可能性が零ではないのが救いか』

『なら私が願って見ましょうか?』

『いや、一緒じゃないか?』

『もしかしたら"理想郷(ユートピア)"に統合されてるかも知れませんし』

『あー、その線は考えてなかったな』

『統合されてたら多分使えると思うんですよ』


 確かに、統合されていて使えなかったら自分の持っているスキルにも制限が付いている形になる。"鑑定(シーター)"は制限が付いているが"理想郷(ユートピア)"や"空想郷(ディストピア)"には限定なんて言葉は付いてなかった。それを信じるしかあるまい。


『よし後輩GO!』


「ワン!」


 違うそれは犬だ。

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