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ネクロマンサーの述懐:前

 

 失われた技術を数えても、過去に回帰できるとは限らない。

 私達はあくまで私達でしかなく。

 いつだって今からごく短い未来までの距離しか進むことができない。


 だから、それはする必要がない。


 古来の知識も。

 巨万の可能性も。

 永遠に満ちた箱庭も。


 それらが全て過去のものであるならば、もう、忘れた方が良いだろう。


 それが賢明だ。

 それが最善だ。

 それが人間だ。


 忘れて進め、哀れな命。


 貴方の命は過去の為にはない。

 貴方の命は回帰の為にはない。

 貴方の命は誰かの為にはない。


 願い、謳え、口ずさめ。

 呪文のように、いつか宙の塵となる言葉であっても、吐き出すことに意味はある。


 貴方が貴方である限り、私は貴方が貴方であることを記憶しよう。

 私が私でいられる限り、貴方に私が私であったことを記憶してほしい。


 それはきっと、せめてもの償いになる。

 私にとっては自己満足でも、おそそらくは償いになるだろう。


 忘れるな。

 私が私でいられる瞬間はきっと来る。


 私が私である限り。

 貴方が私を私と記憶する限り。



 この願いは、誰も願わない世界の為にある。


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