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〜第一話〜始まり

 卯月・・・つまり4月。

桜散るこの高等学校は今日、入学式。田舎町にある学校のため、俺の住む地区の者たちのほとんどがここに入学しようと押し寄せてくるらしい。俺はこの学校になんなく合格し、この日を迎えた。もちろん達矢も俺のおかげで入学できた。

 まぁそんなこんなで、入学してからも同じ輩とつるめるわけだ。少々新鮮さにかけるがな。

だが、この学校には色々とよくない噂があるらしい。よくいう学校七不思議のようなものだ。

そういうのにはほとんどといっていいほどアヤカシが関わっている。俺がこの頭脳を持って私立高校に行かなのはその理由からだ。

 俺は達矢とこれから通学路になるであろう道を通った。

「なぁなつめ、あの高校には将来俺の嫁さんとなるかわいい女子はいるだろうか」

真顔で何言ってんだと思ったが、よく考えりゃぁ俺たちは生まれてから今まで馬鹿騒ぎばかりしていたために、彼女一人できていなかった。

「なるじゃなくって、なってくれるじゃねーのか。まぁ頑張れ」

「何だよその言い方ぁ。いいよなぁ棗は頭もいいし、顔もいいし。そうだ、棗の母ちゃん俺にくれよ」

「アホ。誰がやるか」

「それじゃぁ他にだれがいんだよぉ」

「んなの知るかよ。でも、俺すら知らない未知の世界で、何かに運命的なものを感じる日がくるんじゃねーのか」」

「未知の世界・・・うげっ、それだけは勘弁」

そんなこれからの高校生活への期待と不安のいりまじった、いかにも新一年生らしい会話をしている間についてしまった・・・我らが後に一生忘れられない出来事に遭遇する場所へ。


〜入学式〜

 俺は在校生の演奏と拍手ともに入場した後、PTAやら校長やらのどうでもいいような長話を耳から耳へと受け流し、新入生代表として壇上に立った。

 そのとき・・・ゾクッとした寒気と後ろを音速並みに通り抜ける何かの気配を感じた。達矢のほうを見ると恐ろしいものでも見たように目を見開いて、ジェスチャーで俺に何かをつたえようとしているようだった。他の人はただじっと俺を見ているか、手遊びをしているかだ。

――やっぱいんのかよ・・・

気配の大きさからして低級のものだが、てこづりそうだとふんだ俺はスピーチを二分の一くらいに省略して読み進めた。

壇を降りてからでも背後を追ってくるそいつは、新入生退場後もついてきた。

幸い俺と達矢は同じクラスのため、緊張で気分が悪いと理由をつけ高校初日からサボりを開始した。

俺達が向かった先は・・・屋上。

「おい低級!こそこそしてねーででできやがれ!」

サー・・・

たちまち風がおこり、目の前に丸くふさふさした黒い毛むくじゃらのやつが現れた。

「・・・モップ?」

達矢が言った・・・。

『人間。ワシが見えるのか・・・!』

ダンッ

「・・・!・つっ・・・」

モップが俺に向かって体当たりしてきたのだ。

「大丈夫か棗!」

「おう・・・達矢、フォーメーションAだ」

「了解♪」

俺らが通称フォーメーションAとよんでいる形態。

アヤカシを挟み撃ちにして、達矢が気を引いているうちに俺が札で封印するという画期的作戦。もちろん提案者は俺だ。

「おらモップ、こっちだっ」

『人間の癖にワシに指図するのか!おのれ人間、食ってやる』

ダッ・・・

「うおぉお・・・」

予想以上に動きが早かった・・・が、

「今だっ」

純国産の自家製札をモップに投げつけた。その瞬間、まばゆいばかりの光がアヤカシを包み込んだ。


――頭に流れてくる・・・これはモップの記憶か?・・・

赤い着物を着た女の子だ・・・。手鞠をついているのか?・・

「一番はじめは一の宮・・二は日光東照宮・・三は佐倉の宗五郎・・・・」

『あぁ・・・かわいいなぁ人間は・・・。ワシもあの手鞠のようになれたら一緒に遊んでやれるのに・・・。近づきたい。この茂みを隔てた場所でなく、もっと近くに・・・』

「あっもう日が暮れちゃう。帰らなきゃ・・・。

『もぅ帰ってしまうのか・・・また明日も来るだろうか・・・』

次の日もその女の子はやってきて、手鞠をついていた。

『また来てくれたのか。ワシがあの子に近づいたら、気づいてくれるだろうか・・・。でもこの姿じゃ驚いてしまう。どうすれば・・・』

「あっ・・・」

拍子を逃した鞠が茂みに転がってくる・・・。

『そうだ、これに入れば・・・』

「あれ・・・あっちに転がってったのに・・・」

どう見ても不自然だった。茂みに入った鞠が、もと来た道をたどるように転がるのだから。

「・・・まいっか。一番はじめは一宮・・二は日光東照宮・・・」

『幸せだ・・・。ずっと、永遠にこうしていたい・・・』

「あ、もう行かなきゃ」

気づけばすでに夕刻。

『また明日も遊んでほしい・・・』

次の日も、また次の日もそのアヤカシは鞠になり少女と遊んだ。

だがある日・・・・

その鞠は川に流されてしまった。

少女に悪意があったわけではなく、たまたま・・・。

『流されている!だれか、だれか助けてくれ!』

アヤカシの叫びもむなしく急流へとさしかかり、流れ流され尖った岩にぶつかっていった。

そうして流されている間に鞠は破れ、アヤカシと共に川の深く底に沈んだ。

その後、その川は埋められ後にこの学校が建った・・・・


「そういうことか」

達矢が感心したようにうなづいている。

アヤカシは光と共に消えた。

とても美しく、儚い光だった。

俺たちは教室に戻り、帰宅した。


〜棗の家にて〜

 「疲れた」

「大丈夫か?棗」

「あぁ。平気だ」

俺のつぶやきに心配してくれる達矢はいつも俺の事を気遣ってくれる。

「アヤカシ退治ってそんなに気力使うもんなのか?」

「結構な。3匹倒した日なんかはきっと意識不明まちがいない」

「そうなのかぁ。フムフム・・・」

「なんでメモってんだよ」

「いやぁいつかは俺も棗みたいな退治を職業とした人間になるきがすっからさっ」

「絶対ねーよ」

「そうか?」

「そうだよ」

「ほんとに?」

「くどい」

なんだか納得のいかない表情をしている達矢をみると可哀想になってきた。

そのとき、俺の部屋のふすまがあき、一人の老人が入ってきた。

「じいちゃんかよ。ちゃんとノックくらいしてくれよな」

「ノックも何も、そんなことをしたら障子に穴があいてしまうじゃないか。ハハハハハ」

ゆっくりとしたリズムで老人じいちゃんは笑った。

「お邪魔してます。おじいさん」

「おぉ達矢。今日は入学式だったねぇ。いい娘はみつかったかぃ?」

「ん〜・・・まぁまぁかな。一応今日はクラスの女の子をAからDまでランク付けしておいた。A゜ランクが一人とあとはだいたいBやらCくらいなんだよなー」

「そうかそうか。なら本命はA゜ちゃんで決まりだな。ハハハハハ・・・ごほっ、ごほっ」

「じいちゃん無理すんなよ。ってかなんか用?」

「そうそう、棗に渡しておこうと思うもんがあるんじゃよ」

「渡したいもの?」

じいちゃんはふところからおもむろに丸い鏡を取り出した。

「これを・・・いつも首にかけておけ」

「おじいさん、それってただの鏡だよね?なんでそんなものをわざわざ?」

「これをただの物とおもっちゃぁいかんよ。わしらの裏商売・・・アヤカシ退治でな、わしが若い頃に依頼されたときの報酬でもらったもんなんじゃよ。その依頼主がなんと、、博物館の館長でなぁ・・・」

じいちゃんはうれしそうに語りだした。

こうなるとじいちゃんは誰にも止められなくなり、円周率並みに長い話を延々と聞かされる。

なので、かいつまんでこの話の説明をすると・・・・

 その依頼主である館長さんは博物館に夜中現れるアヤカシを祓って欲しいとの依頼をじいちゃんに頼んで、そのアヤカシは今俺の持つとーっても古く貴重な鏡にとりついていたという。

館長は祓った後、その鏡が気味悪く報酬・・・アヤカシ退治の対価として渡したのだという。

「・・・そしてわしはこの鏡をもらったというわけじゃ」

じいちゃんの勇姿を聞かされ、達矢はどうやら眠りの国へ旅に出たようだった。

「んでこの鏡、何の意味があってつけんだよ」

「この鏡はな、・・・」

「古くて貴重なんだろ。もうきいたよ」

「そう。貴重・・なんじゃ。だからなにかしらのご利益やらがあるじゃろぅ」

「それってさ、たぶんってこと?」

「たぶんじゃ」

そしてじいちゃんは自室へと去っていった・・・。

俺は達矢を揺り起こす・・・が、起きない。

俺の優しさでそのまま寝かしてやることにした。

 達矢の家は俺の家から約100メートルほど離れた一軒家で、家族3人暮らし。父親、姉とで母親はすでに他界。

父親の帰りは深夜。職業不明。

姉は夜のお仕事。つまりキャバ譲。家族と顔を合わせることはほとんどないという。

そんな達矢だから俺ら一家は夕飯などを共にしたりなど、一種の愛護活動的なことをしている。

「さて、明日の準備でもすっかな」

俺は立ち上がり、鞄に筆箱や札などを詰め込んだあと、達也に毛布をかけてやり自分の布団へと入った。

プロローグを書いた時点で話に飽きてしまってしばらく続きを書いてませんでした・・・汗;

でも根気よくつづけていきたいです。

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