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三章 34 『アーバンカル総力戦3』


 それぞれ対峙するタクミ達。


 「さて、久しぶりに会ったんだ。募る話もあるけどまずはその腐った魚みたいな眼覚ましてやるからな!エドワードのジジィ!」


 エドワードに掴みかかろうとするタクミ。しかしそれあっさり避けられ地に叩きつけられるタクミ。


 「グッ・・!」


 「ケッケッケッ。無駄だ!今その男はかつての全盛期と同等の力を持っておる!貴様ごときが勝てる相手ではないのじゃよ!」


 「イテテ・・・相変わらず手加減ってものを知らねー爺さんだな。こうしてるとかつて修行していた時のこと思い出すな。あの時も一方的にやられてばっかりだったな。」


 起き上り体についた土埃を払うタクミ。


 「でもあの時から俺も色々経験してきたんだ。覚悟しろよ!ドラゴンフレイム!」


 「ドラゴンフレイム・・・」


 タクミとエドワード共に炎龍を造り出しそれをぶつけ合う。同等の魔法がぶつかり合い衝撃波が周りの地面を剥がして行く。


 「さて私たちも静観しているわけにはいかないな?かつて剣聖と呼ばれた騎士よ。今安らかな眠りにつかせてやろう・・・」


 腰に帯刀している剣を抜くアイズ。それと同調するように剣聖も剣を抜き構える。


 「行くぞ!」


 アイズの掛け声を皮切りに凄まじい剣戟が繰り広げられた。アイズと剣聖互いに一歩も引かない状況だ。


 「なるほど。さすがは剣聖とよばれた騎士だ。その力本物のようだ。だが、それ故に無念でならないな。貴方とは生きている間に戦ってみたかったよ・・・しかし、時間をかけるわけには行かないので早々に決着をつけさせてもらうぞ!」


 一旦距離を取ったアイズが一足飛びに剣聖の懐に飛び込む。これに応戦しようと剣聖も剣をふるおうとしたが、その剣を握った右手はアイズによって斬り落とされてしまった。


 「そんな馬鹿なッ!その男は剣聖と呼ばれたほどの騎士だぞ!そんなあっさりと・・・」


 ゲルニクスが驚きの表情を浮かべている。


 「お前のような男にはわからぬだろうな。剣の強さはそんな単純な話ではないのだ。たしかにこの騎士の強さは本物だっただろう。しかし今はお前に無理やり剣を握らされているに過ぎない。そんな心の伴ってないモノに私は負ける気はしないさ。」


 腕を斬り落とされたかつて剣聖と呼ばれた騎士はあきらめたのか。両膝をついた。


 「かつての剣聖よ。再び安らかに眠ってくれ・・・」


 剣を掲げるアイズ。そんなアイズに剣聖は剣を見上げどこか安心したような笑みを浮かべた。次の瞬間、アイズの剣が振り下ろされた。


 「そんな馬鹿な・・・!剣聖がやられるなんて!お前らも何をしている!早く片付けてしまえ!」


 「・・きゃっ!」


 かつての師匠と対峙するニーベル。劣勢のようだった。倒れたニーベルにタクミが駆け寄る。


 「ケッケッケッ。いいぞ!弟子が師に勝てる訳ないのだ!やってしまえ!」


 「ニーベル大丈夫か!?」


 「平気だよタクミ。それよりも早く師匠を元にもどしてあげなくちゃ。タクミあの時預かった魔石を調べたんだけど、あの魔石は対象の生命力を糧として操っているみたいなんだ!だから魔石自体を無理やりに剥がすと操られている人も命を落とすことになっちゃうみたいなんだよ!」


 「それは魔石を壊さないようにして本人から切り離さないといけないってことか?」

 

 ニーベルが首を縦に振る。


 魔石を壊さないようにか。それはいくら攻撃しても意味がないってことか。魔石だけを無効化できる方法があれば・・・


 ニーベルの言葉に考え込むタクミ。


 「・・・そうだ!アイズ!ニーベル!少し時間を稼いでくれるか!?」


 「どうやら何か思いついたようだな。いいだろう。私が責任をもってタクミを護ってやろう。」


 「わかった!タクミ、頼んだよ!」


 エドワードとワールドの相手を二人に託して一旦距離をとるタクミ。


 「今度こそ・・・今度こそ俺の力になってもらうぞ!」


 無能術を発動させるタクミ。タクミは再びスコットから受け継いだ魔術を発動させることにした。


 「太陽を司る神ヘリオスよ!今こそお前の出番だ!今度こそ俺に力を貸してくれよ!」


 「あの魔術はオージュアの祠の時と同じものか・・・?」


 タクミの言葉に呼応してかタクミを強力な魔力が包み込む。しかし肝心のヘリオスの気配はまだなかった。


 「まだ俺に力を貸す気はないってか?だけどここは無理やりにでもいうこと聞かせてやるぜ!いつまでも引きこもってんじゃねーぞ!戦場から逃げてんじゃねーぞぉ!!」


 今度こそはとタクミも諦めない様子だ。ヘリオスに呼びかけを続ける。


 ・・・逃げるだと?


 直接タクミの心に語り掛けてくる声。


 「ああ!そうだ!今こそお前が戦うに相応しい戦場なんだよ!ここで姿現さなかったら逃げたも同然だろ!?」


 貴様この私を愚弄するつもりか・・・?


 「愚弄とかじゃねーよ!ここでお前が逃げるんならそれこそ俺だったお前の事を太陽神だなんて認めねーからな!」


 クックックッ。この私にその様な口を聞いた人間は初めてだ。面白い!ならばお前の目で直接確かめるがいい!私の太陽神たる力をな!


 「おう。存分に確かめさせてもらうぜ!行くぜ!太陽を司る神ヘリオスよ!その力で不浄な魔力を浄化せよ!」


 タクミの全身を眩い光が包む。


 「なんだあの光は?貴様ら!あの男を始末しろ!」


 タクミのただならぬ魔力に危機を感じたゲルニクスが指示を出した。それを聞いたエドワードとワールドがタクミの方へと襲いかかった。


 「しまった!タクミ!」


 「大丈夫だアイズ。これで終わりにさせてもらうぜ!浄化の波動!!」


 タクミの声と共に眩しい光が襲いかかろうとしたエドワードとワールドの全身を包んだ。徐々に光が薄れていく。そこには地面に倒れているエドワードとワールドの姿があった。


 「大丈夫か!?」


 アイズとニーベルが駆け寄ってきた。ニーベルが倒れているワールドを抱き起した。


 「・・・師匠!師匠!眼を開けて!」


 「・・・・・ん?ニーベルか?ワシは一体何を?」


 「良かった!元に戻ったんだね!師匠ーー!!」


 「苦しいぞニーベル!」


 喜びからワールドに抱き着くニーベル。


 「やれやれ・・・どうやらお前に助けられたようじゃな。」


 エドワードも目を覚ましてゆっくりと体を起こした。


 「・・・全くだぜ。手のかかる爺さんだぜ。」


 「そんな馬鹿な・・・わしの魔術が破られるなんて!くそ!こうなれば新たな人形を用意しなければ・・・っ!」


 「どこに逃げる気だ?」


 逃げようとしたゲルニクスをアイズが捕えた。


 「ひぃい!私に近づくんじゃない!」


 見苦しく抵抗するゲルニクス。


 「貴様のせいでどれだけの人が苦しんだと思ってるんだ。言ったはずだ!貴様の罪は万死に値するとな!」


 「やめっ・・・やめろーーー!!」


 ゲルニクスの命乞いもアイズの耳には届かない。アイズの剣がゲルニクスに振り下ろされた。


  

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