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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

少女を見殺し続けたどうしようもないクズのお話し

作者: Bさん

「僕は毎晩、同じような夢を見るのですよ」

少年は精神科医に伝える。


「夢ですか。その夢に何か心当たりがありますか。例えば、過去のトラウマとかそれに似た夢を見るとか」

精神科医はその奇妙な言葉に対し自分の知識を絞りながら質問する。


「いえ、そんなことはありません。」

少年は質問に対しきっぱりとした否定をした。


「まあ、思い出せないだけで深層心理には深く刻まれていることを夢として見ていることも考えられます。夢についてはよくわかってないことが多いですから。」

現代科学において夢の内容の原因についてよくわかっていない。だから曖昧な答えを精神科医は言う。


「こんな夢が」

少年は自分の心にはこんなものは少しもないと思っている。


「まあ、参考程度に聞いておきましょう。どんな夢ですか」


「夢の中でいつも同じ女の子に会うのです。そして夢の中で事件が何回も起きるのです。そして結論はいつも同じ女の子を犠牲にして生き残る。そこで目が覚めるんです。事件の内容、状況は違いますがいつも同じ夢なんです。こんな夢を毎晩、毎晩見るんです。心が壊れそうです」

それは悪意に満ちた夢だった。


でもそれに対し適切な対応はできない。

「神経質になっているみたいです。夢は夢と割り切ってください。今までの症状と該当する病気がないため薬は出せませんが、もし夢を見ることが怖くなり眠れなくなったらまた来てください。」


少年が見る夢は夢の痛みが現実と同じ程度の痛みになる夢だった。





「私は毎晩、同じような夢を見てしまうんです」

少女は精神科医に伝える。


「夢ですか。その夢に何か心当たりがありますか。例えば、過去のトラウマかそれに似た夢をみるとか」

精神科医は少年の話を思い出しながら話す。


「いえ、そんなことはないです」

少女は質問にきっぱりとした否定をした。


「まあ、思いだせないだけで深層心理には記憶されていることを夢として見ていることも考えられます。けれど夢についてはよくわかってないことが多いですから。」

精神科医は少年との会話が似ていることを思い出す。


「深層心理ですか・・・」

少女は自分の胸に手のひらを当て少し考えてみるが何もわからない


「まあ、参考程度に夢の内容を聞いておきましょう」


少女は深呼吸したあと、夢の内容を答えた。

「夢の中でいつも同じ男の子に出会うんです。けれど、そしてその夢の中で何回も何回も事件が起きるんです。ある時は火事だったりある時は強盗だったり。ある時は地震。ある時は噴火。ある時は秘密警察に逮捕されてしまう。でも結果はいつも同じです。私が死んで、少年を救うんです。ただ夢の中の痛みが現実の痛みと同じなんです耐えきれないんです」


それは、精神科医にとって驚愕というよりも信じられない事だった。ただ頭の中の点と点が結ばれ信じざる負えないようになる。


しかし精神科医はそんな思考をやめ、別の奇妙な点に対し質問をすることにした。


「現実の痛みと同じとは」


「夢の中で犬に腕を噛まれた事があります。その時の痛みはとても耐えられないものでした」


少女は具体的な説明をして精神科医に自分の状況を伝えようとする。


「ふーむ、ほかに何か気になることは」


「いえ得には」


「まあ、様子を見ましょう。」





少年は安心していた、三日間あの少女を犠牲にする気味の悪い夢を見なくなってからだ。


そしてぐっすり眠れるようになり睡眠不足を解消した。


「―てな夢を毎日みたんだ」

っと少年は友人に説明する。


「不思議な夢だな。俺は夢をあまり見ないからよくわからないけど」

友人はその夢の内容を面白がりながら聞いている。


「で、その女の子ってどんな子だ。可愛い?」

夢の内容につて女の子の話になり。


「うーん、かわいいかな?少なくとも夢を見てるときはそう思ってたよ」

友人たちはそのことに面白がりながら話を続ける。


「それじゃあ、毎晩、そんな夢を見るのはきつかったりする?」


「まあ、きついねえ。ただ最近はそんな夢をみなくなったから」

少年は最近、夢を見なくなったことを説明する。


「そうだ、夢ってのは。人間の願望を満たすためにあるともいわれていて」


「じゃあ、僕が誰かを犠牲にすることを願望として持っているってこと」

まあ要するにそういうことである。


「夢だから何かの比喩と考えた方がいい。何かを失っても何かを手に入れたいとか・・・まあそういうもんだ」






少女は不安で仕方なかった。そのせいで三日間、眠れなかったからである。


そのせいで、睡眠不足になってしまった。


「ねぇ大丈夫。顔、辛そうだよ。早退した方がいいじゃない」

少女の友人は少女を心配する。

友人から見て少女は眠たそうに見えたが、どんな状況でも眠ろうとしないから多分、眠いわけじゃないと感じていた。


「大丈夫だよ」

もちろん、少女にとってこのことは大丈夫ではない。強すぎる睡魔と強烈な痛みのジレンマが辛くてたまらないのだ。


「大丈夫そうには見えないよ。病院、行って。一緒に先生に言ってあげるから」


「心配してくれるのはありがたいけど・・・」


友人はこの発言はこの子らしくないと思っている。


少女は精神科医に説明しても無駄だからとあきらめかけている。


「やっぱり大丈夫じゃない。眠いでも眠るのが怖い」

少女は正直に現状を伝えた。


「眠るのが怖い?」

友人にとってこの意味は理解不能なものだろう。

ただ、この子はこのことはこの少女にとっては重要なことであることと確信した。

しかし、説明しても信じてくれそうにないので話さなかった。

ただ、話しても話さなくても体力の限界というものは来るものである。


「もう・・・だめ」

少女は寝た。


「眠るのが怖いか・・・一体、どういう意味なんだろう」


少女は授業中も昼休みも放課後も起きなかった。脈拍、呼吸は安定していたが心配であるため救急車が呼ばれた。





少年は夢を見ていた。


自然にあふれた世界に青空、そして目の前には高い崖があった。その高さは打ちどころが良くても即死するほどの高さだった。


例の少女がたっていた。


少年はまたあの夢を見ていたことに気づいた。


そして少年は改善させられない夢にいらだちを募らせていた。


でも、それよりいらだちというか絶望感を募らせている存在がいる。

少女のことだ。


「あんたの・・・あんたのせいだ」

少女の口が動く


「一体、どういうこと?」


「いつも、いつも、お前のせいで私は死ななくてはならないんだ」

少女は少年は夢の存在であり。少年にとって少女は夢の存在である。


だから、何をしても問題にならない。誰も困らない良心が痛むだけ。と考えていた。


だから少女は話した。

「死んでくれませんか」


「何を言って」

少年は疑問に思った。今までとは違うと。


「いいロケーション、近くに崖がある。ここから落ちて」

少女は少年の言葉に耳を貸さない。そもそも無意味だと感じている。

だた少女はこの少年がここで死ねば夢から目覚められるかもしれないと思って。


「どうして。」

少年は答える。


「君は死ななければならないから」

そして、少女は少年の背中を押して崖から落とそうとする。


「ごめんなさい」

少女はそう言った。


しかし、落ちたのは少年ではなく少女だった。


少年の体が勝手に動き少女を突き落としていたのである。


「体が勝手に」

少年は言い訳するようにつぶやいたが、それは落下中の少女の金切り声によってさえぎられた。


この金切り声は少年の心を侵食し、重要な掛け替えのない何かを壊そうとした。





少年はこのどうしようもない夢から目覚めた。


少年は少女が発した金切り声を思い出し気持ち悪くなる。


少年はまだこの奇妙な夢が終わらないことに絶望した。


・・・誰もいないベッドの上で


少年は時刻を確認する。時計は4時を示していた。あんな夢をまた見ることが怖く寝ることはできない。


ただ睡魔が自分を襲っているため。


キッチンに行き湯を沸かし、ブラックコーヒーを淹れた。


少年はブラックコーヒーを飲む習慣はないがそれを飲み呟いた。


「うう・・・苦い」




少女はこのどうしようもない夢から目覚めた。


少女は落下した瞬間を思い出しこの奇妙な夢に抵抗することを諦めたくなる。


少女はまだこの奇妙な夢を見てしまったことに絶望した。


心配してくれる母親がいるベッドの上で


「あ、起きた。学校で突然倒れたって聞いて心配したのよ」


少女の母親が安心して、少女の顔を見る。


「学校・・・」


少女は周りを見る。どうやら病院のようだ。少女の母親、父親、以外にもいるようだ。


「ねぇ、来てください」


少女の母親は大声をあげて誰かに伝えようとする。





自己犠牲は善か偽善か。他人を見捨てることは有罪か無罪か


でもどちらも強制的に自己犠牲を強いられ、他人を見捨てることを強いられる。


どちらにも善はないし悪はない


ただこの悪意に満ちた夢の本当の終わりは、どちらかが犠牲になるまでだろう。


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