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第986話 121日目 第2皇子一家邸がある街に到着。(おや?宿が指定された?)

もうすぐ夕方の時間。懐中時計では16時。

武雄達一行はニール殿下の屋敷がある街に到着していた。

城門で宿が指定されている旨を聞かされ武雄達は下馬してのんびりと馬を引きながら歩いて向かっていた。


「ふぅ・・・着きましたね。」

マイヤーがため息を付いて横の武雄に声をかける。

「ええ。順調ですね。

 ・・・ベイノンさん。城門で言われた宿はまだなのですか?」

「はい。この先ですね。」

一団の先導をしているベイノンが武雄の方を向いて言う。

「・・・」

だが、武雄は難しい顔をさせる。

「所長。どうしましたか?」

「街の奥過ぎるような気がします。」

「・・・所長。警戒し過ぎでは?

 ここはニール殿下領ですよ?」

「襲撃を気にしているつもりはありませんよ。

 ・・・城門近くで良いのに・・・資金は節約したいのに・・・」

武雄が眉間に皺を寄せている。

「ははは。

 予算は越えているんですよね。」

「王都向けの3人を買った時点で渡された予算は足りていません。

 まぁ私の方での予備があるにしても・・・食費がかかり過ぎていますね。」

「食費ですか。」

「人数が多くて・・・まぁこれは私の我が儘の方なので文句は言えないんですけど・・じわじわ懐にダメージがきます。」

「なるほど。

 これは私達の家族で引っ越す際も費用は多めに見ないといけないですかね?」

「ええ。

 それと王都側からエルヴィス領に入る際に野宿をする場所が最低1か所あります。」

「ふむ・・・それは良い情報ですね。

 野宿の訓練を家族にさせておきますかね。」

「父親が出来るから問題ないのではないですか?」

「んー・・・所長が居ない時に皆と話しているのですが、エルヴィス領へは2回に分けて皆で行こうかと思っています。」

「えーっと・・・王都に居るのは現状マイヤーさんと試験小隊の6家族。

 3家族ずつ来る予定なのですね?」

「ええ。

 それとトレーシーの家族と新人2名ですね。

 一団で行っても良いのですけど・・・2回が無難だろうという事になっています。

 今妻達が王都で話し合って決めているはずなんですけど。」

「奥様同士で交流があるのですか?」

「はい。異動が決まってから軽くお茶会を数回しているみたいですね。」

「そうだったんですね。

 その辺は何も言いませんので皆で話し合ってください。」

「はい。」

マイヤーが頷く。


「所長。ここです。」

先頭を行くベイノンが止まり顔を向けている。

その場所は3階建ての豪勢な作りの建物だった。

「・・・ベイノン。とりあえず受付に聞いて来い。

 この人数分なければ宿探しだな。」

「はい。わかりました。」

ベイノンが自分の馬の手綱をマイヤーに渡し建物内に入って行く。

「・・・」

武雄がジト目で建物を見ている。

「所長。そんな顔をしていても始まりませんよ。」

「間違いであって欲しいです。」

武雄が本心を言うのだった。

と。すぐにベイノンが戻って来る。

「所長。ここです。

 それと馬と幌馬車は裏通り側に止める場所があるようですのでそちらに行ってくださいとの事です。」

「・・・そうですか・・・ニール殿下が?」

「はい。

 我らがウィリプ連合国との関を通過した時点と殿下領に入った際の各町から伝令が来ていて、その都度、予定が見直されており、今日は1フロア全て貸し切りにされているそうです。」

「正確にこっちの予定を見られていますね。」

「用意周到で待たれていましたね。

 でも・・・予算が・・・」

「それがですね・・・所長。宿泊費はニール殿下が払っているそうです。」

「・・・マイヤーさん。どうしましょう?」

「どうもこうも・・・今更こちらから払いますと言って殿下の機嫌を損ねる必要はないでしょう。

 それに所長は第2皇子一家に世継ぎをもたらした方です。

 殿下の感謝からの気遣いでしょう。

 感謝を述べに行ってくれば問題ないかと。」

「そうですね。

 気遣いを無下にしたら怒られますし、ニール殿下達とは今後も穏便に行きたいですよね。」

「はい。そうですよ。」

「わかりました。

 では、ここで泊まらせて頂きましょうか。」

武雄が諦めたように頷く。

「全員。今日はここで馬や幌馬車は指示に従うように。」

「「はっ!」」

マイヤーがそう言うと皆が動き出すのだった。

「とりあえず、私とマイヤーさんは受付に行きましょう。

 アンダーセンさん。後はお願いします。」

「わかりました。」

「ベイノン。私と所長のを頼む。」

「はっ!」

ベイノンがマイヤーと武雄から手綱を受け取る。

「お願いします。」

武雄が一言言って室内に入って行くのだった。

・・

「・・・毎食の準備と湯浴み場も使えるのですか。」

武雄が宿泊の中身を見て聞いてくる。

「はい。

 キタミザト子爵様。万全の準備をさせて頂いています。

 ごゆるりとお過ごしください。

 各食事と湯浴み場の使用出来る鐘は記載の通りになります。

 それと何日の宿泊でしょうか。」

「明日は1日休養と思っていたので2泊させて頂きたいのですが・・・」

「畏まりました。

 明日の朝食、昼食、夕食と明後日の朝食のご用意をいたします。

 また明後日の出立の際に昼食の準備をいたしますか?」

「はい・・・お願いします。」

武雄は心の中で「・・・追加費用とかの記載はないんだけど・・・大丈夫なの?」と恐ろしいと思っていた。

「はい。

 畏まりました。

 他に何かございますか?」

「私ともう1名分の夕食は皆より早めでお願いします。」

「所長。どちらに?」

「さっさと食べてニール殿下の所に行ってきます。

 早く挨拶しないと・・・夕飯前でも良いかもしれませんが、お腹に入れてから行ってきます。

 何があるかわかりませんからね。」

「そうですか。

 では私も同行いたします。」

「ゆっくりしていて構いませんよ。」

「そうもいきませんよ。

 所長は貴族です。供回りは1名は必要でしょう。」

「・・・わかりました。同伴をお願いします。

 あの。3名分を早めにお願いします。

 あとフルーツを何個かお願いします。」

「3名様分ですね。

 畏まりました。すぐにご用意いたします。」

受付の男性が頭を下げるのだった。

と皆が入って来る。

「はわぁ~・・・」

「はぁ~・・・」

「あ~・・・」

チビッ子3人が受付の周りを見て感嘆の声を上げていた。

試験小隊の面々以外も同様に中を見回していた。

「所長。すんなりと受け渡しは終わりました。

 馬の手入れも幌馬車の整備も専属でして頂けるようです。

 その・・・好待遇過ぎるのですけど。」

アンダーセンが困り顔をさせて言ってくる。

「はい。

 ご苦労様です。私とマイヤーさんは早めに夕飯を頂いてから殿下の所に行ってきます。

 アンダーセンさん達はのんびりとしていてください。

 明日は1日のんびり過ごしますから出立は明後日の朝です。

 これが夕食と湯浴み場の使用出来る鐘の表です。」

「・・・わかりました。

 部屋割りはどうなりますでしょうか?」

「2人部屋か4人部屋がほとんどですが、部屋割りはアンダーセンさんに任せます。」

「はい。わかりました。

 えーっと・・・この割り振りだと・・・こうなってこうやって」

アンダーセンが即興で部屋割りを考えるのだった。



ここまで読んで下さりありがとうございます。

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