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第981話 エルヴィス家に報告。1(彩雲が帰宅。)

エルヴィス伯爵邸の客間の窓を彩雲がコンコンとくちばしでノックすると夕霧がやって来て窓を開けてくれる。

彩雲がピョンピョンと飛びながら客間の中に入る。


「ユウギリ。戻りました。」

「ん。おかえり。

 タケオに会えた?」

「はっ!問題なく・・・ただ連れている人数が増えていました。」

「そう・・・伯爵は今は執務室で仕事をしているけど、もうすぐ終わる予定です。

 少し待っていて・・・残飯持ってこようか?」

「ありがたく。」

「ん。ちょっと待っていて。」

ユウギリが客間を退出していくのだった。

・・

夕食前の客間にて。

エルヴィス家の面々とヴィクターとジーナ、そしてコノハとマリとパラス、夕霧と時雨と初雪が揃っていた。

タマとクゥはお散歩がてらコラとモモの所に遊びに行っている。


「ふむ。

 まずは彩雲。ご苦労じゃったの。」

エルヴィス爺さんが彩雲を労う。

「はっ!国境まで5日程度かかりました。」

「5日!?それは早いのぉ。

 フレデリック。ウィリプ連合国まではここから何日かかるかの?」

「馬でここから王都まで6日、ニール殿下領まで確か4日か5日、さらに国境まで4日か5日・・・

 最低でも馬で14日程度でしょう。

 急げば8日程度ですが・・・」

フレデリックが考えながら言う。

「ふむ・・・やはり彩雲を使った連絡は便利じゃのぉ。

 武雄が帰ってくれば何か上手いやり方がないか考えようかの。」

「そうですね。

 と。では彩雲様。タケオ様からの報告をお願いします。」

「はい。

 まずは手紙を預かっています。」

「ん。」

彩雲の腹から出た小瓶を夕霧が持ってフレデリックに渡す。

「・・・ふむ・・・

 それではこれを黒板に書きましょうか。」

客間にある黒板にフレデリックが武雄の手紙の内容を書くのだった。

・・

「ふむ・・・目的は達成したのようじゃの。

 いろいろ言いたい事はあるがの。」

エルヴィス爺さんが黒板を見ながら言う。


黒板の内容がこちら。

・エルフ一家の入手(両親と娘2人と息子1人。)

・新しいお茶の栽培でチビッ子2人入手(エルフ一家と一緒に住む。)

・獣人の女性販売員入手(エルフ一家と一緒に住む。)

・農地と家の借り上げ依頼。

・クゥの母親を入手

・王都向けの兵士に魔王国の第4軍兵士とファロン子爵家の騎士団長と騎士団員入手

 (仕事や私の立場の事は話したがアリスお嬢様の事やヴィクター達の事は言っていない。)


「お父さま。これって・・・」

「騎士団長・・・エットレだろうな。

 あいつも奴隷になったか・・・となるとあと数名はなっているな。」

ヴィクターとジーナが話をしている。

「ヴィクター。どう思うかの?」

「騎士団長のエットレは私寄りの思考ですから・・・私を含む穏健派への粛清だったと思われます。

 ですが同じ奴隷になっていたとは・・・」

「ふむ・・・どうするかの?

 タケオは言っていないようじゃが。」

「主がこちらの事は話されていないという事は、教えても混乱を招くだけと考えての事かと思われます。

 でしたら、このままでよろしいかと考えます。」

「ふむ・・・じゃが王都に着けばわかってしまう事ではあるの。

 それに4月からはジーナが寄宿舎じゃ。

 行方不明の主人の娘がいきなり現れたら寄宿舎に迷惑がかかるかもしれん。

 先んじて手を打つ事も必要と思うがの。」

「はい。

 ですが、会ったとしてお互いに25年契約の最中です。

 契約後の展望も話すような時期ではないと思いますし、今は互いに与えられた仕事をこなさなければなりません。

 それに今私と会ってしまうとエットレの事です。報復を画策する可能性が高いです。

 そうなってはアズパール王国や伯爵様に迷惑がかかると思います。」

「ふむ・・・確かにの。

 騎士団長じゃったという事はそういう考え方になってもおかしくないの。

 しかし・・・秘密のままにするのは難しいじゃろう?」

「そうですね。

 何かその騎士団長を思い留める方法を考えないといけませんが・・・」

フレデリックが考えながらジーナを見る。

「ふむ・・・ジーナを使うかの。」

エルヴィス爺さんもジーナを見る。

「私ですか?」

ジーナが首を傾げる。

「ええ。

 ヴィクターと会えばよからぬ画策をするかもしれませんが、ジーナなら実行はし辛いとは思いますね。」

「ジーナちゃんを使う・・・

 ならタケオ様にはとりあえず秘密にして貰うように王都の人達にお願いして貰うのが良いのでしょうね?」

アリスが考えながら言う。

「王家と王都守備隊に言って貰えれば良いんですよね?

 それで秘密に出来たとして、ジーナが会った際に何を言わせるのですか?

 タケオ様の所で働いていて、僕のお付の仕事をしていると言ったとして納得するのでしょうか?」

スミスが聞いて来る。

「ふむ・・・わしはワザと煽る方が良いと思うがの。」

「それも一つの手ですが・・・

 私はお互いに励まし合う方が良いと思います。」

「私は突き放す方が良いかと思います。」

エルヴィス爺さん、フレデリック、アリスが考えながら言う。

「やり方が色々あるんですね。」

スミスが苦笑する。

「しかし・・・これはジーナとヴィクターで決めて良いと思うの。」

「「よろしいのですか?」」

ヴィクターとジーナが驚く。

「うむ。

 2人ともタケオの下で25年働く覚悟は出来ておるのだろう?

 それに2人ならおざなりに仕事をするとは思えぬからの。」

「「はい!勤め上げてみせます!」」

「なら問題はないの。

 それにタケオ達が25年後に手伝うような事を言っておるし、ジーナにおいては王都で他の人脈も作れるかもしれない準備期間じゃ。

 25年後の事は今から思案しても意味はないの。」

「はい。

 25年勤めた後に決めさせて頂きます。」

ヴィクターが軽く頭を下げる。

「うむ。そうしてくれると助かるの。

 それにたぶんじゃが・・・ヴィクターとジーナがやると言えば、タケオにアリスに試験小隊、コラにモモにクゥが参戦じゃろう。」

「伯爵。私達も。」

「そうじゃの。夕霧と時雨と初雪と彩雲が正確な情報を取って来るのじゃ・・・

 今やるよりも確実性が高いと思うの。」

「豪華なメンバーですね。」

「クゥちゃんが突撃して終了のような気もしますけど・・・」

スミスとアリスが呆れる。

「では。その辺はタケオに手紙を書くかの。

 ヴィクター。ジーナ。どう騎士団長達を導くのか書いて送るのじゃ。

 タケオなら上手くするじゃろう。」

「はい。話し合って決めさせていただきます。」

ヴィクターが頭を下げるのだった。



ここまで読んで下さりありがとうございます。

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