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第979話 118日目 鷲との交渉結果。(マイヤーの感想。)

街道横の空き地に皆が休憩を取っている。

だが、アンダーセン達試験小隊の面々が森の方を見て警戒をしていた。


「ミア。どうですか?」

「・・・集まってはいますが・・・

 ん?・・・動き始めました。」

ミアの言葉で森から鷲達が空に一斉に飛び立ち、武雄の前に順々に着地し、横一列に並ぶ。

連れている面々は「何だ何だ」と慌てる。

並び終えると中央の3体が出てきて武雄の前で止まる。

「答えを聞きましょう。」

「クルッ。」

ミアの問いかけに鷲が鳴くと両隣の鷲が頭を下げた体勢を取る。

「・・・わかりました。

 先の約束通りその娘2体を私達の地に招きます。」

ミアが鷲に答える。

「クルッ。」

真ん中の鷲が鳴くと両隣の鷲が武雄の足元に来る。

「主。約束の物をお願いします。」

「わかりました。

 手伝ってください。」

「はい。」

武雄はマイヤーと共にリュックから狩ったオーク2体を取り出しその場に置く。

「約束のオーク2体分です。」

「所長。後は私達がします。

 斧を出してください。」

ブレアとベイノンが近寄ってくる。

武雄が2人にリュックから斧を取り出し渡す。

するとオークの体を解体し始める。

「クルッ。」

その様子を見て鷲が鳴くと列に戻って行く。

「・・・主。他の魔物はいません。」

「狼は来ませんでしたか・・・」

武雄がブレア達の作業を見ながら呟く。

「主の招集を断るとは・・・」

ミアが腕を組んで考える。

「一族の事です。いろいろ考えた末の事なのでしょう。

 それにいきなり来た他種族の言う事を信じないというのもわかります。

 そういう意味ではこの鷲達は決断をしたということでしょうね。」

「・・・そうとも言えますね。」

ミアが頷く。

「さてと。休憩したら出立しましょう。

 ミアは鷲2体を皆に紹介してきなさい。

 彩雲の時みたいにビエラ達に襲われちゃいますからね。」

「はい!念を入れて紹介してきます!

 2人とも行きますよ!」

ミアが鷲2体を連れ立って皆の方に行くのだった。


「所長。どう思いますか?」

マイヤーが近寄って来る。

他の面々はミアの紹介を受けて恐々しながら挨拶をしている。

「『部下になったら良いな』程度でウィリプ連合国に行く際に声をかけましたが、まさか応じるとは・・・

 一応、鷲の娘さんの嫁ぎ先を紹介しますから準仲間でしょう。

 この地の鷲への討伐は少なくして貰えるように依頼はしておきます。」

「されるでしょうか?」

「普通ならされないでしょうね。

 ニール殿下辺りに頼みますかね。」

「またニール殿下頼りですか?」

「ま。出来たら程度で良いんですよ。

 その辺の約束はしていませんからね。

 向こうは食料をこちらは娘を貰ったので・・・あれ?これって奴隷売買ですかね?」

「大本はこういう感じだったのかもしれませんね。」

「・・・大事に育ててあげないといけませんね。」

「そうですね。

 これでコラ殿、モモ殿のラジコチカの次の配下がミア殿に付きますね。」

「・・・形的には夕霧達もミアの部下ですが・・・なんだかエルダームーンスライムは私の直属になっていますね。」

「エルダームーンスライムは話には聞いていましたが初めて見ましたね。

 あそこまでしっかりと会話が出来るのですね。」

「皆の反応はどうですか?」

「まぁ。所長の近くには特殊な魔物が多いのでその一端だというのが認識のようです。」

「・・・諦めていますね。」

「ええ。理解の範疇は越えたので考えるのは無駄だと思います。

 会った事も聞いた事もないエルダームーンスライムや成獣前のドラゴンと人間に化けられるドラゴン、ラジコチカや妖精。そしてエルフと精霊と高位の獣人。

 普通の人間では一生かかっても巡り合えないだろう者を部下に揃えていますからね。」

「・・・その中で私から求めたのはミアとヴィクターとジーナぐらいですかね?

 あとは流れというか向こうから来たというか・・・気が付いたら懐かれていますね。」

「贅沢ですね。」

「部下に欲しいですか?」

「人間種だけで手一杯ですからいりませんね。

 アンダーセンはアニータとミルコをどうやって育てれば良いのか悩んでいるようですよ。」

「ブルックさん達からは素質は高いと聞いていますけど。」

「はい。

 素質だけなら私達より上でしょうね。

 だからこそ慎重にそして確実に力を付けさせたいと思っているようなんですけど・・・人間社会の生活が初めてだとなかなか教え方が・・・」

「アーキンさんとブルックさんにお任せで良いんじゃないですか?

 まぁいつかは班長や部隊長のような人を率いるような事も経験させないといけませんけど。」

「その時は私は隠居していますから気にしない事にします。」

「・・・来年にでもさせれば良いのでは?」

「ダメですね。1年程度ではまだまだ人を率いるのは難しいですよ。

 最低でも3年か4年は下積みをして先輩達の考え方、動き方を学ばないといけません。

 それに私達は先行偵察ですからね・・・相当訓練をしないと3年でも難しいでしょうね。」

「そういう物なのですね。

 私は訓練をしていませんけど?」

「所長はそのままで良いのでしょう。

 上手く立ち回ってください。」

「・・・私が先行偵察するような状況って結構マズいですよね。」

「でしょうね。

 戦闘部門ではないトップが動くんですからね・・・エルヴィス領内が相当マズい事になっていますよ。」

「・・・なら私は戦場には出ないでしょうね。

 そうなる前に終わらせないといけませんから・・・あ。伯爵達や殿下への説明と状況判断をしないといけないのですね。

 とっても面倒な気がしてきました。」

武雄が眉間に皺を寄せながら言う。

「それが所長のお仕事ですよ。」

マイヤーが苦笑するのだった。



ここまで読んで下さりありがとうございます。

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