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第978話 116日目 王都に向け出立。(エルヴィス領に向け出発。)

「出立!」

マイヤーの号令で武雄達が出立する。

・・

「ふむ・・・

 他には剣術の試合があって、ジーナのお付としての教育が始まりそうだったのですね。」

「はい。」

彩雲が武雄の肩に器用に止まりながら言ってくる。

「彩雲的には剣術はどう思いましたか?」

「マリとニオがしたのを剣術というのですか?・・・あれは異常です。」

「スライムとして知識を集めていてもですか?」

「どの種族もあのような者を見た事ないですね。

 人間や獣人が同じように剣を使っているのは知っています。

 ですが、あの3名は異常です。

 某の目から見ても異常です。」

彩雲が強調してくる。

「3人?」

「マリ、ニオ、テトです。」

「精霊ですね。

 しょうがないですよ。人間では到達がほぼ不可能な者達ですからね。

 あれは例外です。

 ですが、その一部でも習得出来れば良いなぁという事でジーナに教えて貰っています。」

「そうなのですね。

 あ。あとアリスから伝言があります。」

「何ですか?」

「『挙式の準備は順調なので早く帰ってきてください』との事です。」

「・・・ゆっくり帰ると言っておいてください。」

武雄が目線を下げて呟く。

「他に伯爵達に何か伝える事はありますか?」

「ミア。失礼しますよ。」

「は~い。」

「こちらをどうぞ。」

ミアと一緒に入れておいた小瓶を出す。

「頂きます。」

彩雲がお腹の中に入れる。

「手紙には書いていませんが、口頭では言っておきます。

 夕霧にエルダースライムを3体用意しておいて欲しいと言っておいてください。」

「わかりました。

 そう言えば前に北の森の鳥と東町の森の狼で同系族の雌を用意出来るかという問いかけがあったのですが、それはどうなっていますか?」

「よく覚えていましたね。

 あれはこの道中で結果を聞きます。

 実は行きがけにこの辺の鷲と狼と交渉が出来ました。

 結果無理ならしょうがありませんが、良かったら連れて行きます。

 なので次回の報告で伝えます。」

「わかりました。」

「私達は今日から6日後にニール殿下邸がある街に着いて、1日休養をしてさらに6日後王都の予定です。

 彩雲はエルヴィス伯爵邸までどのくらいで帰れますか?」

「街道沿いを飛んでいきますが、夜は落ち葉を吸収しているので4、5日程かかります。」

「5日・・・」

マイヤーが隣でガックリとしている。

「今回も無理をする必要はありませんから同じように帰ってください。」

「はい。」

「では。昼ぐらいに出発すれば良いでしょう。

 その時に昨日の夜と朝に出た残飯の吸収をさせます。

 それと初雪が来るなら他者のスライムを吸収もしくは情報を見て欲しいので準備するように言ってください。」

「他者・・・わかりました。

 話合ってきます。」

「ええ。お願いします。」

武雄と彩雲が頷くのだった。


------------------------

幌馬車の中にて。

「ねぇ。エンマ姉ちゃん。キタミザト様の持っているエルダームーンスライムって凄いの?」

ニルデがエンマに聞いて来る。

「・・・凄いというか・・・エルフの間でも存在があやふやな喋れると言われているスライムですね・・・本物は初めて見ましたが。

 キタミザト様が希少中の希少として言っているのも当然です。」

「スライムって皆あの大きさで鳥の形なの?」

ジルダが聞いてくる。

「いえ・・・普通のスライムはこのくらいの丸くて透き通っていますよ。

 そして喋れないんですよ。

 あの姿になるまでに数百年生きているはずです。」

エンマが手を動かしながら説明する。

「そうなんだ・・・年老いた鳥なんだね!」

ジルダが考えながら言う。

「見た目が鳥で本来が丸いのだと思うんだけど・・・」

エンマがどう説明すれば良いのか悩むのだった。

「・・・」

その様子をビエラは何も言わずに聞いているのだった。


------------------------

使節団の隊の後方にて。

「初めてエルダームーンスライムを見たわ。

 生息地と言われる所に見に行っても全然会えなかったのに。」

「作り話かと思っていた。

 それにスライムは他の者の前に姿は現さないし・・・」

「臆病なスライムがこうも懐くのがキタミザト様なのか・・・特殊ですね。」

「妖精に精霊にスライム・・・何だろう。

 陛下とは別方向で振り切っているんだと思う事にするわ。」

「ヴァレーリ陛下が振り切っている?」

テーアの発言にファビオが聞いて来る。エットレも意識を向けている。

「ヴァレーリ陛下は本当に武力の頂点なのよ。

 側仕えのタローマティ殿と一緒に他国に本気で攻め込めば、お二方で殲滅出来るだろうっていうくらい酷い武力です。」

「あれは噂ではないのか?」

「全然。そう思うのは勝手だけど・・・

 あ。そっか王軍以外は知らないのか。

 例としてヴァレーリ陛下が第3軍の訓練にひょこっと顔を出して『程度を見てやる』と言って参加しただけで軽く第3軍が壊滅仕掛けました。」

「・・・何をしたんだい?」

「ヴァレーリ陛下は異常に体力があります。

 まぁ不死人なんで当然なんですけど、それで1対1、2対1、4対1等々延々と相手をしていき・・・半日ずっとだったらしいです。

 皆をボコボコにし終わってヴァレーリ陛下は『訓練だからこの程度で良いのだろうな。次はもっと大規模に・・・軍団対我でしてみたいな』と汗もかかずに言い放ったそうです。」

「ちなみにヴァレーリ陛下に土を付けた者は・・・」

「居なかったそうです。

 陛下だから手を抜いたとかはないですよ。

 むしろ手を抜いたと思われた者はその場でヴァレーリ陛下が瞬殺したそうです。

 なので全員が常に本気でやったそうです。」

「本気で半日?」

「はい。本気で半日・・・余程地獄だったのか・・・異動願いが相当出たようです。」

「・・・その話はどの程度信じられるんだ?」

「元第3軍の小隊長からですけど。」

「・・・そうか。本気なんだな。」

「はい。

 ヴァレーリ陛下は武力が振り切れていると思っています。

 キタミザト様は特殊な者達と会う事が出来る程、何かが振り切れているのだと考えようと思います。」

「なるほど・・・何かが振り切れているから珍しい者達が集まるというのはあるのかもしれないですね。」

「そう思わなければキタミザト様を理解出来ないと思うわ。」

「では私もそう思おうと思います。」

「そうだな。」

元魔王国の3人は「理解しがたい人達が居る」という理由で特異な人達を理解しようとしていた。



ここまで読んで下さりありがとうございます。

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