第977話 115日目 アズパール王国の関に到着。(彩雲に発見される。)
武雄達はアズパール王国の関にもうすぐの所に来ていた。
「なんとか暗くなる前に着けそうですね。」
「ええ。
少し強行軍でしたね。」
「今日はここで一泊ですね。」
「寝る前に一回幌馬車の車軸確認しておくか。」
「そうだなぁ。
今日も少し早く移動したしな。」
各々が帰国に対して安堵の表情をさせる。
「主。」
ミアとパナが武雄の胸ポケットから顔を出してボーっとしていたのだが、ミアが声を上げる。
「どうしましたか?」
「彩雲が来てますね。」
「・・・エルヴィス領で何かあったのでしょうかね。」
「わかりませんね。」
・・
・
アズパール王国の関の詰め所にて。
「キタミザト卿。入国を許可します。
連れている人数も記載しました。
お疲れ様でした。」
「はい。ご苦労様です。
今日はこの辺で野宿をしたいのですが・・・どこかありますか?」
「はい。少し先に広場はありますのでそちらでよろしければお使いください。
キタミザト卿はこちらで部屋を用意させますか?」
「いえいえ。
王家ならいざ知らず私にそんな配慮はいりませんよ。
旅は部下と同じ物を食べてのんびりするのが醍醐味でしょう。」
「はっ!畏まりました。
他に入用の物があれば少々ですが売っております。
何かございますか?」
「そうですね・・・
野菜系はありますか?」
「はい。少々ですがあります。
こちらですね。」
武雄とマイヤーが詰め所の兵士と物色をするのだった。
・・
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「終りましたよ。」
武雄とマイヤーが野菜を持ちながら幌馬車の所に戻って行く。
「お疲れ様です。
この後はどうしましょうか。」
アンダーセンが聞いて来る。
「この先に広場があるのでそこで野宿です。」
「わかりました。
移動します。
全員移動!先の広場にて野営の準備!」
「はっ!」
皆が馬には騎乗はしないが各々馬を引きながら歩いて行く。
武雄とマイヤーは皆の後をのんびりと付いて行くのだった。
・・
・
皆がもう手慣れた感じで野宿の準備をしている。
「キタミザト様。夕飯は鍋ですね?」
ボーナが聞いて来る。
「はい。そうですよ。
野菜も少し手に入りましたので使ってください。」
「はい。わかりました。」
ボーナが去っていく。
「さてと・・・ん?」
武雄の前に彩雲が着地する。
「無事の帰国あめぇぇぇぇぇ!!!」
挨拶をする前に彩雲がビエラとニルデとジルダにタックルされて捕まる。
「あ!」
「大きい鳥!」
「捕まえた!
食べる!」
3人とも得意顔だ。
「あ~・・・3人ともその鳥は主の部下ですよ。」
「「「!?」」」
ミアが呆れながら指摘すると3人とも驚き顔をするも何もなかったかのようにソロソロとその場を退く。
「彩雲。ただいま。」
武雄は何もなかったかのように話し出す。
「・・・おかえりなさいませ。
人数が随分増えておりますが・・・」
「当初の予定通りの役割を担う人達ですね。
まぁ人数は多いですけども気にしてはいけませんよ。」
「はっ・・・
伯爵より手紙を預かっています。」
彩雲が近寄り武雄の手に腹から小瓶を出す。
「どれどれ・・・?・・・初雪が王都に来たいと?」
武雄がメガネをかけてから手紙を見て彩雲に聞く。
「はい。最初はユウギリが行きたがっていましたが、ユウギリは流石にという事で。
タケオに判断を任せると言っています。」
「アーキンさん達と一緒に馬でですね。
振り落とされないようにすれば問題はないでしょうけど・・・
初雪が来たいなら来て構いませんがあくまで人型のみでスライムとバレないようにしてください。」
「伝えます。」
「あとは連れてきた人員ですね。
後で紙に書きますから持って行ってください。」
「わかりました。」
「じゃあ。皆に紹介しますかね。」
武雄が立上がり皆の方に向かおうとするとビエラとニルデとジルダがマイヤーに怒られているのを確認するのだった。
・・・
・・
・
彩雲を夕食前に皆に紹介する。
「皆様。よろしくお願いします。」
「「「・・・」」」
皆が彩雲を凝視する。
「?・・・反応がないのですが・・・」
彩雲が武雄に向かって言う。
「え?反応しているじゃないですか。」
「?・・・やはり反応がないと思うのですが。」
彩雲が一旦見回してから再び武雄を見る。
「凝視して固まるという反応です。」
「・・・?・・・つまりは?」
「生きてて初めて会う魔物に戸惑っている・・・いや。どう付き合えばわからないという所でしょうか。」
「??・・・アーキンやアニータ達は普通に接していますが・・・」
「そうですね。
最近は何かしましたか?」
「4人が訓練場で昼食を取っていたので雰囲気を味わいたくてユウギリ、シグレ、ハツユキと一緒に参加していました。」
「一緒に食べたのですね?」
「いえ食べていません。
話に参加していました。
ユウギリが伯爵と食べながら話をするといろいろと話が出来るという事を学んだので、3人で体験していました。」
「学ぶ事は大事ですね。
それと先ほどの説明でも言いましたが、スライムは弱いので剣等々で斬りかからない事。
特にビエラ。」
「あ!?・・・あ~・・・・あ?」
ビエラが名指しの指名に驚き考えてから「しませんよ?」と上目遣いで言ってくる。
「誰にその方法を教えて貰ったのでしょうか・・・まぁ良いです。
このエルダームーンスライムは希少中の希少です。
そして弱いので基本的に暴力は振るわない。
わかりましたか?」
「「はい。」」
皆が頷くのだった。
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