第976話 その後。(出国。)
皆がスープを飲み終えてから、後片付けと出立の準備をしている。
「あ~?」
「ん~?」
そんな中ビエラとミアが横にされて気絶している女性の顔を見ながら考えていた。
「所長。出立の準備は終わりました。」
アンダーセンが武雄に報告してくる。
「はい。ご苦労様です。
さて・・・あっちはどうなっています?」
「・・・タケオ。まだ戦っていますね。
ですが、もうすぐ終わりそうです。
オークが残り3体です。」
パナが戦っている方面を見ながら言う。
「所長。どうしますか?」
マイヤーが聞いて来る。
「先に行きましょう。
また出て来ても嫌ですし、今日は関に行きたいですからね。
この時間なら少し急げばまだアズパール王国の関に行けるでしょう。」
「わかりました。
女性はどうしますか?」
「荷台で寝かしておきましょう。
ビエラ。ニルデ。ジルダ。エンマ様子を見ておいてください。」
「「「はい。」」」
「あ。」
4人が頷く。
「関に連れて行くのですか?」
フォレットが聞いて来る。
「ええ。首輪がなかったですからね。
獣人と言えど女性をこんな所で寝かせておくわけにも行きません。一旦関で預かって貰いましょう。」
「わかりました。」
フォレットが頷く。
「では。行きましょう。」
「全員騎乗!出立する!」
全員が動き出すのだった。
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こっちは
「はぁはぁはぁ・・・クソッ・・・オーク強いじゃないか。」
「あと・・・2体か。」
「気を抜くな!
行くぞ!」
一団は最後の追い込みをかけるのだった。
・・
・
「はぁ・・・終わったか。」
「疲れた・・・」
「あぁ・・・オークの肉を町に持って行って売るか・・・」
「・・・」
脱落者もなく皆が一応に大の字になって寝ていた。
「はぁ・・・で、囮はどうなったんだ?」
「そう言えば・・・街道の方に行ったのまでは見ていたが・・・」
「迂闊だったな。
まさかあの足で逃げるとは思わなかった。」
「足に何か補強している靴を履いていたか。」
「脛から下に付けた義足のようだったがな・・・あれで走るとは思わなかった。」
「草原に入るとは思わなかった。
草原なら足への負担は低いのかもな。」
「回収は楽だと思っていたんだが・・・」
「・・・あのネックレスはマズい。
今日でこの数だ。
今後はもっと増えていたかもしれない。そうしたら俺らの手には負えなくなるだろう。
これで良いんだ。
今手元から無くなったという事はもう必要ないという事だ。」
「元手ないしな」
「とりあえず・・・町で肉を換金して街に行って武器の交換等々とあの露店主を見つけるか。」
「・・・あのネックレスが何なのか聞かないとな。」
「また貰ったらどうするんだよ。」
「・・・無料だからなぁ・・・」
「その時はその時だな。
とりあえず今は寝る!」
「あぁ・・・そうだな。」
一団の面々がとりあえず今の戦闘の疲れを取るのだった。
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ここはウィリプ連合国 ファルケ国の関にある詰め所。
武雄とマイヤーが出国の為に詰め所に来ていた。
「はい。使節団殿。
越境許可書は確認いたしました。
同行されている方々も確認をいたしました。
我が国での用事は済まされましたでしょうか。」
対応している兵士が出国を許可してくれていた。
「はい。
用事も全て終わり見たい者も見て買いたい者も買えました。」
「そうでしたか。
・・・入国する際に賊の話をしましたが、遭遇はされましたか?」
「ええ・・・
今日もここに来る時に一団と思われる人たちが魔物と戦闘しているのを見かけましたが、私達は帰国する立場ですので手出しはしないで来ました。」
「そうですか・・・明日にでも様子を見に行かせましょう。
それと最近町から関の間でオーク等の魔物の発見の報が相次いでいます。
聴き取り調査はしたのですが、オーク等は何か目的があるみたいで真っ直ぐに移動しているとの事です。
早期発見をするようにお願いし、発見したならば距離を取ってやり過ごすように町に居る商隊に通達する予定です。
使節団殿はどう思われますか?」
「さて・・・確かに街道を挟んだ向かい側から横断するような移動をしていましたが・・・」
「横断・・・やっかいですね。」
「あの場所はオークの巣なのですか?」
「いえ、そのような事はないですね。
・・・定期的に討伐をしているので遭遇率は低いはずですし、そもそも街道にも近寄らなかったのですが・・・
何か状況が変わったのかもしれません。」
「内情をわからない私ではわかりかねますね。」
「失礼しました。
調査を進めて対処していきます。
商隊の方々が安心して通行出来るように努めます。」
「はい。お願いします。
では。私達はこれで。」
「はい。」
武雄とマイヤーが詰め所を出て行くのだった。
・・
・
「終わりましたよ。」
武雄とマイヤーが詰め所から出て来て外で待っていたアンダーセンと合流する。
「問題はないのですね?」
「特に何も・・・ないですよね?」
「はい。何もありませんでした。」
武雄がマイヤーに聞くとマイヤーが頷きながら言う。
「こちらも特に何か言われた等はありません。」
「わかりました。
アスセナさん。」
「はい!」
幌馬車の横に立っていた獣人の女性に武雄が声をかける。
「これから越境します。
良いのですね?」
「はい!お願いします!
キタミザト様!何卒よろしくお願いします!」
アスセナが深々と頭を下げる。
「はい。
アズパール王国で頑張りましょうね。」
武雄が朗らかに言うのだった。
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