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第973話 114日目 寝酒。(アリスの駄々。)

各々が部屋に入り武雄も一室の窓際の椅子に座り軽くブランデーを飲んでいた。

目の前にはパナが本を読んでいる。

ちなみにミアとビエラとニルデとジルダはベッドで大の字で寝ている。

今日はこのメンバーが一緒の部屋だ。

チビッ子達を先に寝かせたのだが、既に武雄が寝るスペースは無くなっていた。


「・・・タケオ。寝ないのですか?」

パナが本を読みながら聞いて来る。

「気が付いたら寝る場所がないんですよ。」

武雄は窓越しに外を見ながら言う。

「タケオは使節団の団長でしたよね?」

「らしいですけど。

 私が寝るから子供達は床で・・・なんて出来ないですよ。

 ま。眠くなったら床で寝ます。」

「わかりました。」

「・・・パナ。

 皆に異常はないですか?」

「ありません。

 武雄が危惧している精神の不安定は見えません。」

「・・・旅をしているから気を張っているのかも知れませんね。

 明日は国境を越えます。奴隷に慣れていない(・・・・・・・・・)国家に着きますから、首輪や種族を見て指を指す人達もいるでしょう。

 無自覚な差別はどうしてもあります。

 5人が耐えられるか・・・」

「何とも言えません。」

「その辺は気を付けないといけませんけど・・・本人達を信じるしかないですかね。」

「はい。

 それと・・・他の方々も思っていたようですが、アリスとヴィクターとジーナの事は言わないのですか?」

「・・・さて・・・どうした物か。」

武雄が目線は外に向けたまま言う。

「王都に行けば誰かしらに言われるのではないですか?」

「でしょうね。

 教えたのは私の立場、彼らの立場、する事させたい事・・・んー・・・

 事前に教えておかないといけないかというと・・・そうでもない情報だと思うのですよね。」

「悩む事ですか?」

「いや。テーア達3人はアリスお嬢様は知っているみたいですが・・・ベルテ一家とニルデとジルダはわかっているのですかね?

 もし知らなかったら王都まで行く間で温度差になりませんか?」

「・・・あぁ。なるほど。

 となれば行動中はタケオを貴族とだけ思わせておくということですね。」

「それが無難だと思うんですけどね。ヴィクター達の事も今は言う必要はないですね。

 ちなみに、パナはどう思いますか?」

「・・・一長一短という感じでしょう。

 タケオが言うように王都に着くまでは必要ではない情報というのも確かな所ですね。」

第2皇子一家(殿下達)に会いに行ったらわかるかも知れないですが。」

「それは・・・ないとは言えないですね。」

「知られたら知られたで良いんですが・・・どちらにしてもテーアさんが続編を買えばわかります。

 アリスお嬢様の事はね。」

「続編にはそんな事が?」

「らしいです。

 私は見ていませんが、レイラさんがやる気だったのは知っていますよ。」

「・・・どんな内容なんでしょうか?」

「少し盛るとは言っていましたが、私との出逢いと挙式までだったかと思います・・・まぁ。発禁になってないので問題はないのでしょう。」

「タケオ。当事者ですよね?」

「私の知らない所で虚像が出来上がっていきますよ・・・悪い事が出来ないんですよね。

 特に女性関係は・・・虚像以前に生命の危機に直結ですね。」

「アリスはそこまでなのですか?

 持っている剣は特殊ですけども。」

「惚れた相手ですからね。

 それを差し引いても単純な力はアリスお嬢様の方が上ですよ。」

「そうなのですか?」

「スーのおかげで斬れば炎が付きますしね。

 威力もオーガ程度なら一撃ですよ。」

「人間でしたよね?」

「可愛いお嬢さんですよ。」

「惚れてますね。」

「当然。」

武雄がにこやかに言うのだった。


------------------------

エルヴィス邸にて。

「あ~・・・」

アリスがベッドにダイブして唸っていた。

「アリス。何がそんなに疲れるの?

 挙式の準備は大方決め終わったじゃない。」

コノハがベッドの隣の椅子に座りながら聞いて来る。

「剣術!剣術!剣術!

 ハロルドに教わっている時はああじゃなかったです!

 歳って残酷!ジーナちゃんの飲み込み早すぎです!

 あんなのに勝てる気がしない!」

アリスはジタバタする。


実はゴドウィン伯爵夫婦が領地に向かって出立した後からジーナのお付としての教育が始まっていた。

午前中は執事としてキタミザト家の事をしつつ、午後一はスミスと勉強。

15時からは剣術をしており、アリスと試験小隊の面々も剣術の所から参加していた。


「え~・・・?

 だってアリスもジーナも威圧の魔眼の持ち主で発動すれば身体強化と武器の強化のみ強制的にしている超が付く程の優れものでさらに任意で常時発動出来るケアの指輪付けているじゃない。

 条件は一緒よ。」

「・・・ジーナちゃんの上達は異常です!

 あれが若さと才能の差なのかぁ・・・」

アリスが枕に顔を埋めながら言う。

「・・・確かにジーナは異常に能力が高いのよね。

 執事としての素養、スミスの勉強も難なくこなしているみたいね。

 そして剣術もすんなりとかぁ・・・

 ねぇ。アリスとジーナの魔眼は遺伝なの?」

「え?私は初代様・・・6代前のお爺さまが魔眼だったらしくてね。

 初代様も私も突然なったわ。ほら右目が赤色で左目が青色のオッドアイ(虹彩異色)でしょう?

 元は両眼共青色なのよ。

 ジーナちゃんは前に話で聞いたけど母親が魔眼持ちだったらしいから普通に遺伝ですね。」

「一子相伝で女性限定の魔眼?・・・そんな事・・・んー・・・」

コノハが考える。

「はぁ・・・ジーナちゃんは天才だぁ・・・」

アリスが深く枕に顔を埋めるのだった。


------------------------

ヴィクターとジーナの部屋。

「えいっ!

 ・・・パラス。手の位置はここですか?」

「もう少し顔の横にまで上げないと次の動作際で体と刀の位置がバラバラになりそうですよ。

 ここです。」

ジーナが今日の復習を終えてパラスと紙を丸めた物を剣の柄に見立てて剣術の練習をしている。

今は燕飛の最初のかち上げの所の練習中。

「ここかぁ・・・えいっ!」

「元に戻っています。

 ここ。」

パラスがジーナの手の位置を直す。

「んんー!!!・・・はぁ・・・」

ジーナが出来ない事にイライラしていたがすぐにため息を付く。

「・・・一朝一夕には出来ないと思うんだが・・・」

ヴィクターがお茶を飲みながら言う。

「・・・私は純粋な力が弱いのがわかりました。

 アリス様は多少型が崩れても力で何とかしてきます。

 なら私は型を綺麗にして行かないと試合すら出来ません。

 実践形式を始める前に何としても燕飛を見れる物にしなくてはいけません!」

「気合を入れすぎるのもいけないと思うんだが・・・

 ジーナ。型は同じ動きを何千、何万回して覚えるものだろう。

 さらに実戦では型に拘らない(・・・・・・)事が重要と思う。

 狙って出すのではなく、体が自然に反応するくらいまで練習をするのが必要だろう。」

「わかってはいるのですが・・・

 パラス。もう一度・・・えいっ!」

「ここ。」

「んんーー!!!」

ジーナもまた努力をするのだった。



ここまで読んで下さりありがとうございます。

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