表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
975/3617

第963話 冒険者組合にて。3(テーアの事と明日の出立準備。)

「・・・まぁ。自動人形(オートマタ)については、再度、上に報告しておきましょう。

 私の管轄外ですしそこまで考える事でもないでしょうしね。」

武雄が軽く考えたが考察を止める。

「・・・所長の意見も求められると思いますよ?」

マイヤーがため息を付きながら言う。

「その時に考えますよ。

 さて。テーアさんの事をもう少し話しましょうか。

 なんで第4軍関連の奴隷商ではない者に買われたんですか?」

武雄が不思議そうに聞いて来る。

「・・・手違いと言うか・・・他の者と重なってしまって・・・

 落札が間に合わなかったようです。」

テーアが目線を落として言う。

「・・・不運と言うか・・・まぁある事なんでしょうけど・・・

 私に買われなかったらどうするつもりだったのですか?」

「ただただ絶望していました・・・

 やっとの思いで魔王国の王軍に勤められたのに奴隷になってしまったと。

 一応、こうした事態もあり得るとは言われていましたが、まさか私に降りかかるとは思いもよらず・・・」

「そうですか。

 でも今日からアズパール王国が勤め先になります。

 下手な事を考えないでくださいね。」

「はい。25年頑張ります。」

テーアが頷く。

「ちなみに魔王国はこの地で何をしているんですか?

 兵士を集めるだけでは不審に思われるはずです。」

「奴隷の貸し出しをしていると聞いています。

 何気に売上が良いらしくて、本国でも派遣事業を始めるか検討していました。」

テーアが言うと武雄とマイヤーが「あそこかぁ」と思っている。

「派遣事業が儲かるのかわかりませんが・・・」

テーアが言い終わる。

「わかりました。

 とりあえず3人とも王都に着いたらその辺の聞き取り調査がありますからね。

 嘘偽り無いようにお願いします。」

「「「はい。」」」


「では。3人の衣服等々を買いに行きましょう。

 あと、明日出立します。

 奴隷商組合のセスコ殿から紹介状を貰いましたから、幌馬車を買っていきましょう。」

「幌馬車は何台用意しましょうか。」

「・・・持って行く物はないんですよね・・・

 種と食事と寝具くらいですね。

 あとは・・・馬が乗れない人はエンマ以外で何人居ますか?」

「はい!」

武雄が皆を見るとビエラが手を上げて返事をし、ニルダとジルダも手を上げていた。

新しく来た3名+ニルダとジルダ以外の皆が「飛んだ方が早いもんね」と納得。

「常時4名の乗車と。

 行程ですが・・・野宿をする覚悟で日程を詰めていきます。

 食料とタオル等の生活用品。鍋等の食器・・・

 1台で足りますかね?」

「問題はないかと。

 御者役も私達が交代で行います。」

「わかりました。

 なら・・・そうですね。

 3つに分けましょうか。

 私とビエラとマイヤーさんは幌馬車を買いに。

 アンダーセンさん達試験小隊とエットレさん、ファビオさん、テーアさんは衣服や装備を用意。

 バートさんとフォレットさん。ベルテ一家とニルデとジルダは明日の食材と調理器具の買出しで。」

「「わかりました。」」

マイヤーとバートが返事をする。

「所長。3人の装備はどうしましょうか。

 特に武器は何を選びましょうか。」

「ショートソードで構いません。

 彼らは兵士採用でもう部下です。」

「わかりました。」

アンダーセンが頷くが、エットレ、ファビオ、テーアの3名の方が驚いている。

「あの・・・良いのでしょうか?」

テーアが恐る恐る聞いて来る。

ベルテ一家の皆がウンウン頷いている。

「何がですか?」

武雄が聞き返している。

「いえ・・・武器を頂いても。」

「王都に請求しますから問題ないですよ。

 あ~・・・ショートソードと言わずに好きなのを買いなさい。

 実力が出せる物の方が良いでしょうね。」

武雄が良い笑顔をテーアに向ける。

「あ・・・金銭的な話ではなく道義的と言うか、支配者的と言うか、奴隷的と言うか。」

「・・・今は奴隷の身分だろうが、もうアズパール王国では国民であり兵士です。

 さらに王都に着くまでは私の部下です。

 兵士で採用した部下に武器を持たせないなんてありませんよ。

 あ。ベルテさん達にはナイフを与えていますけど、あれは戦闘用ではありませんからね。」

「・・・良いのでしょうか。」

テーアが考えながら呟く。

「・・・正直な話、いきなり私達を信じなさいと言われても無理でしょう。

 お互いに用心しているのは当然です。

 でも、私はこの使節団の長です。

 連れて来た部下も新しく雇用した部下も同じ様に信じないといけません。

 それが私の仕事であり責任の取り方だと思っています。

 連れて来た部下達へは前の職場の信用とこれまでの旅での行動から信頼をし、新たに雇用する部下達にはこれからする事を説明した上で現状よりも上の待遇を保証する事で付いて来てくれるだろうとの希望から信頼をしています。

 ですが、口で私は貴方達を信頼しているから貴方達は私を信用しろと言っても意味は薄いでしょう。

 だから武器を渡します。

 私から貴方達には『与えられた武器で私達を攻撃する事はないだろうと考えている』という信用を与えます。」

「「はぁ・・・」」

テーアとエットレが生返事をする。

「万が一、信頼を反故にするのならそれなりに対応はしますけどね。

 まぁ。私は貴方達が反故にするなんて思ってはいませんよ。

 アズパール王国(うち)はそこらの奴隷達に比べれば格段に条件良いですし、ちゃんと奴隷としての身分の期間も法律になっていますからね。

 ちゃんと勤めれば解放される。

 悪くないと思いますよ。

 さて!買い物に行きましょう。」

「「はい!」」

「わかりました。」

武雄が席を立つと皆も立つのだった。



ここまで読んで下さりありがとうございます。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ