第956話 試験。1(当たりを見つけないと。)
武雄達はセスコに連れられて倉庫街の1つに連れて来られた。
「若旦那こちらです。」
セスコが手を向けた先に10体を超える魔物と思われる人型が壁沿いに座っていた。
「・・・あれ?頼んだよりも多いですね。」
「ええ。リスト以外でも気に入ったのがあればと・・・すみません。皆そんな感じで持ってきています。」
「いや。全然構いませんよ。
えーっと。リストをくださ・・・今書いているのですね。」
セスコの部下だろう者が業者を集め一生懸命隅で書いている。
「すみません。
私もさっき知ったばかりで。」
「いえいえ。売り込みは大事です。」
「ありがとうございます。
で。試合形式がしたいと伝言を頂いたのですが、よろしいのですか?」
「はい。
急ですみません。」
「いえ。実力を知りたいというのは良く頂く要望ですので準備はすぐに出来ます。
若旦那達はあちらに椅子と机を用意しました。」
魔物達の対面に10脚用意されていた。
「わかりました。」
武雄達は椅子に移動すると武雄、マイヤー、ベルテ一家とニルデとジルダが座り最後にフォレットが座る。
「・・・若旦那。」
武雄の横に立っているセスコが難しい顔をさせている。
「ん?何ですか?」
武雄は笑顔を向ける。
「いえ・・・」
「良いんですよ。」
「ん~・・・他の方が居ないから良いのですが・・・居たら止めてください。」
「誰か来たら床に座らせますよ。」
「お願いします。」
とセスコの部下がリストを持ってきてセスコが軽く中身を見てから武雄に渡してくる。
「・・・これは並べられている順か?」
「はい。
こちらから向かって右からになります。」
セスコの問いに部下が答える。
「全員の面構えを見ます。
マイヤーさん。同伴。」
「はい。」
武雄とマイヤーが席を立つ。
・・
・
「3・・・4・・・5・・・」
武雄とマイヤーが奴隷達から一歩離れた所を歩き。各々の前に数秒立ち、軽く見て次を見ていく。
武雄は一目見てからリストに鉛筆で書き込みをし、マイヤーは各風貌を見ている。
奴隷の印象は3種類、無関心な者、目をぎらつかせている者、目が死んでいる者。
計12人が居るのを確認する。
見た目年齢も青年から老人まで居た。
・・
・
「・・・ふむ・・・」
全員を見終えた武雄とマイヤーが席に戻る。
「集合。」
武雄の一声でアンダーセン達が武雄を囲む。
「どうでしたか?」
「これが昨日のリスト。こっちが今日のリスト。
同一人物はこれと・・・これとこれら。」
武雄が2つを見比べて△印を今日のリストに素早く書いていく。
「ミア殿の診断は?」
ベイノンが小声で言うとミアがポケットから顔を出す。
「主。あれで間違いないです。」
「リストに〇印をした所ですね。」
「マイヤー殿は?」
「私はこれとこれと・・・これでしょうか。」
マイヤーが☆印を書く。
「所長の判断は?」
「正直言ってわかりません。
ただ・・・これとこれが気になる目をしていましたね。」
武雄が×印を書く。
「・・・全部が一致するのが1つ。
印の多い順に考えると・・・なるほど。雰囲気が違う者達ですね。」
「所長。とりあえず全員と当たりましょう。
その結果を持って再考しましょう。」
オールストンとブレアが言ってくる。
「そうですね。
じゃあ皆さん準備を。
アンダーセンさん。順番は任せます。」
「はっ!」
皆が武雄の下から離れる。
「セスコ殿。1対1で全員と対戦します。」
「わかりました。
武器は木剣。魔法による攻撃は禁止。危ないと思ったら止めます。
よろしいですね、」
「ええ。構いません。
よろしくお願いします。」
武雄が軽く礼をするのだった。
・・
・
「5番負け。次!」
5番の魔物が座っていた位置に戻る。
すぐに奴隷商がケアをかけて元に戻している。
「6番前へ!」
セスコの部下が審判役で試合をさせている。
ちなみに今の所アンダーセン達が勝っている。
「・・・マイヤーさん。」
武雄が試合を見ながら目線をマイヤーに向けている。
「はい。
たぶん違いますよ。」
「何も言っていないですよ。
でも・・・・そうですか。
相手が出し惜しみしているかと思ったのですけど。」
「違うでしょうね。
まぁ。人化を解いていないという点で本気かと言われると難しいでしょうが・・・」
マイヤーが考える。
「んー・・・ヴィクターと同条件というのは厳しいのでしょうかね・・・」
「あ~・・・あれ本気だったのですか。
ヴィクター殿とジーナ殿は当主とその娘。
力が全てという魔王国で一領地を治めていた者ですよ?
文武両方が他者よりもずば抜けていると考えるのが普通なんですけど。」
「そうでしたか。
ヴィクターもジーナもアリスお嬢様より弱いと思うんですよね。」
「所長の基準がおかしいだけです。」
「そうですか。
なら・・・まぁアンダーセンさん達の評価待ちですね。
マイヤーさんの感想としてはどうですか?」
「そうですね・・・今の所・・・やはり4番でしょうか。
身のこなしが良いですね。武器の使い方も粗削りではありますが、問題はないでしょう。
それに見た目年齢も若すぎず歳を取り過ぎずで良いです。」
「全部印が埋まった者ですか。
さて・・・次はどうなるか。」
武雄とマイヤーが試合を見ている。
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ベルテ一家。
「ねぇ・・・エンマ。」
「うん・・・凄いね。」
フローラとエンマがヒソヒソ話している。
「はぁ・・・これが訓練された兵士なのかぁ・・・」
ジッロはため息を付いている。
「んー・・・凄すぎてわからないな。」
「貴方。この人たちの庇護下に私達が居るのは幸いね。」
「だな。
これが護衛って・・・キタミザト殿は相当上の貴族なんだな。」
「そうね。
あんなににこやかな人達がやるとなるとこうなるのね・・・騎士達って凄いのね。」
等々観戦しているのだった。
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