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第945話 精霊の試合だ。1(余興。)

昼前のエルヴィス家がある街の城門外の演習場にて。

エルヴィス爺さん。アリス。スミス。ゴドウィン伯爵。ジェシー。両伯爵家騎士団幹部。エルヴィス家兵士幹部。文官局長以下各幹部。研究所試験小隊一同。ステノ技研一同。ラルフ店長以下仕立て屋従業員一同・・・他武雄関係皆。

客観的に見て中央にある試合会場を囲むように各々手弁当を持ち寄り車座で食べながらのんびりとしている。


「うむ。なんだかんだで皆が居るのだがな?

 なぜじゃ?」

エルヴィス爺さんが隣に居るフレデリックに聞く。

「おかしいですね。

 軍務局長達・・・兵士長とハロルドには言ったのですけど・・・

 あ。執事達が各場所に給水場所を作っていますか。

 ふむ。なかなかの動きです。」

フレデリックが総監部の動きに頷いている。


「伯爵様方。始まります。」

フレデリックの横に控えていたジーナが開始を教える。

するとパンニューキスと鈴音が伯爵の前に出て行く。

「ふむ。どれどれ。」

エルヴィス爺さんが朝の時点で渡された今日の演目を見ると初っ端が鈴音のヴァイオリンの演奏だった。


なぜこんな事になったかというと。

昨日のジェシー達がテイラーの店で鈴音が部屋に戻り少し経ってから鈴音が自室でヴァイオリンを弾き始めたのだ。

アリスは聞いた事はあるし、テイラーも数日に1回鈴音が気晴らしに弾いているのは知っているので耳にしていた。

ゴドウィン伯爵もジェシーも「変わった音ね~」程度だったのだが、パンニューキスが食いつきテトを締めあげて鈴音が弾いている事を確認すると「紹介して!」とテトを引っ張りながらパンニューキスが鈴音の部屋に突入。

皆が居る所に連れて来られ、発表会。

「スズネさん。それを皆の前でしましょうか。」

ジェシーの発言が切っ掛けでとんとん拍子で試合前の演奏が決定していた。

鈴音は特訓を受ける羽目になっていた。


後日談。「知っている曲全部させられた・・・指導が厳しいんですよ。でも的確で上手く教えてくれました。ほんと。今思えば2曲だけにして貰って良かったです。」

鈴音が遠い目をして言っていた。


メヌエット ト長調とG線上のアリアの2曲を鈴音が演奏し、パンニューキスが指揮をしていた。

鈴音は周りを気にせずパンニューキスだけを見てやり遂げていた。


演奏が終わり2人は伯爵達に礼をすると会場から拍手が起こる。

「主に鐘や銅鑼、太鼓ぐらいしかなかったが、こういうのも良いの。」

エルヴィス爺さんが頷く。

「元々出来ていたんだろうけど、昨日一晩かけてこれだけの物を演奏出来るのかぁ。

 凄いわね。何だか音を聞くのも気分が良くなるわね。」

「確か。タケオに出張のついでに部品を買いに行って貰っているのだったな。」

「そう言っていたわね。

 タケオさんも知っているとなると大本の楽器も買ってきそうね。

 譲って貰えるかしら・・・」

「そうだなぁ。交渉してみようか。

 パンニューキスが欲しがっていたし。」

「うん。折角来て貰ったし、芸術関連の精霊らしいから、いろいろ音を聞かせてくれると良いわよね。

 あ。パンニューキス。スズネさん。お疲れ様。」

鈴音とパンニューキスが戻って来る。

「戻りました。」

「何とか終わった・・・終わったよ・・・

 あ。伯爵様方。下手ですみませんでした。」

「全然。初めて聞いたが良かったぞ。

 あれはパンニューキスに教わったのか?」

「いえ大本は出来ていたのですが、2曲目の途中の音を伸ばすところが私は苦手だったのです。

 昨日一晩かけてパンニューキスさんに指導いただきました。おかげで上手くなりました。」

「スズネ。もう少しゆっくりでも良いのですよ?」

「いや。ゆっくりだと音が出ないんじゃないかと・・・不安なんですよ。」

「その辺は慣れですね。

 それと五線譜はあるのですね?」

「はい。手作りですが。」

「わかりました。

 ジェシーの所に行ったら書いてこちらに送ります。

 何が知りたいですか?」

「あ・・・有名所が良いのですが・・・

 武雄さんが一通りは知っていると言っていたので、何か行事に弾かされそうです。

 なので武雄さんに聞いて貰って悪い所を指摘してくれれば練習になるかと。」

「なるほど。タケオとスズネが知っているであろう有名曲ですね。

 それと。スズネ。」

「わかっています。これの似たような楽器は注文しておきます。

 でもたぶん武雄さんが買ってくると思うのですよね。

 ウィリプ連合国の問屋さんに行ってくれていると王都の問屋さんから連絡がありましたから。」

「そこはタケオに期待ですね。」

「はい。」

鈴音とパンニューキスが打ち合わせをしている。

その様子をゴドウィン伯爵とジェシーは見て「あ。向こうで始めているのね」と嬉しそうな顔をさせるのだった。


試合会場ではマリとニオが軽く槍を回して準備運動をしていた。

「・・・摩利支天殿。なんで槍を出しているのでしょうか。」

「槍に剣では不利だからだな。」

「・・・ちなみにその槍は・・・」

「正倉院の門番の所にあったらしい。コノハが貸してくれた。

 まぁ業物だな。」

「コノハ・・・」

ニオがコノハを見る。

「マリが槍はないかと聞いて来てね。

 十文字槍があったのよ。」

コノハが悪びれもせずに言う。

「・・・違うだろう。」

「気にしない。気にしない。」

コノハの楽しそうな話し声にニオがガックリとするのだった。



ここまで読んで下さりありがとうございます。

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