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第942話 奴隷商組合にて(リスト入手と人材派遣会社の情報。)

武雄は予定通りマイヤーと一緒に奴隷商組合事務所に来ていた。

昨日の応接室に通され、セスコもすぐにやって来る。

「若旦那。こちらがリストになります。」

「はい・・・」

武雄が紙1枚を渡されるとメガネをかけて内容を見る。

「それで若旦那。昨日は闘技場で奴隷を買われたそうですね。」

「もう話が伝わったのですか?」

武雄が目線をセスコに向けリストはマイヤーに渡す。

「はい。

 動けない者と故障を抱えている者も居るエルフ一家を買った好き者が居ると。

 エルフを欲しがっていて闘技場で一括で買える財力を持っているのは若旦那くらいでしょう。」

「正解です。

 なのでエルフの購入はしなくて良くなりました。

 で。他に何か聞きたい事が?」

「カファロ殿との交渉はどうでしたか?」

「・・・無難に終わりましたね。

 特に何もありませんでしたが・・・セスコ殿。何かありますか?」

「いや・・・良くあのカファロ殿が売ったと思いましてね。

 ですが、故障持ちだったのですよね?

 よろしかったのですか?」

「よろしくはありませんけどね。

 まぁ・・・同情心からですよ。

 それに回復の見込みがないわけでもないですし。」

「回復の兆しがあるのですか?

 確か・・・足に重度の故障を持っている者も居たと聞いていますが。」

「ええ。

 昨日私の連れも含めて皆で確認はしましたけどね。

 回復する見込みはあるようですよ。

 まぁ良い薬がある可能性はありますし。」

「それは知りたいですね。

 おいくらで?」

「私も実物は持っていません・・・噂話でしか知りませんけどね。

 何でも魔王国方面にあるという話ですが・・・まぁ魔王国に居る魔物各種は長寿でしょうからね。

 その辺の蓄積があっても不思議ではないでしょう。

 それに薬の噂があっても実は魔法なのかもしれないですし・・・真偽は定かではないですね。」

「・・・怪我をした数日後でも重度の故障を治す薬があれば奴隷商をしなくでも遊んで暮らせそうですね。」

「はは。

 数代は遊べるでしょうね。

 で。このリストで上の段がお勧めなのですか?」

「はい。

 で。左から種族と性別、推定年齢、買われた先で一番右が所属系列なのですが・・・」

「イルダ。カファロ。カプート・・・3者?」

「はい。正確にはこの3者に属する者以外でも所属なしで買っています。

 ですが、強い魔物はこの3者のどこかに所属していると考えてよろしいでしょう。」

「セスコ殿はどこに所属を?」

「私はどちらかと言えばカプート派でしょうか。

 まぁ立場的に中立でありたいとは思いますがね。」

「なるほどね。

 カプートは確か・・・裏稼業の方でしたか。」

「どうしても組織で上に上がるにはどこかに所属しないといけないというのはあります。」

「はは。世の中そんな物ですよ。

 それとこのイルダという人物は?」

「あぁ。彼女はちょっと違ってですね。

 奴隷を販売していません。

 冒険者たちに奴隷を派遣している派遣組織のトップです。」

「奴隷を冒険者に貸す?」

「はい。

 難易度によって各種様々な魔物を揃えています。

 で、冒険者が冒険者組合で依頼を受けた場合、その内容で足らない人員を貸している組織ですね。」

「それって危なくないですか?

 連携とか難しいのではないですか?」

「出店して20年くらいになりますか。

 最初の頃は誰も近寄りもしなかったのですけどね。

 ここの奴隷達は無茶はせず与えられた役割をしっかりと熟すと評判でしてね。

 貸しているのは盾役。まぁ相手の突撃や攻撃を盾等を使い防ぐ役割の魔物。

 もしくは回復役がほとんどだそうです。

 そして貸すのは2名以上と決まっており、1名の貸し出しをしていません。」

「ふむ・・・何か問題が起きやすいからでしょうね。」

「ええ。特に女性型の魔物が狙われていたそうですけどね・・・契約以外の事をさせられたと1名が言っても立証が難しいでしょう。

 そう言った報告があればどんな客であっても二度と貸し出しはしないとしているそうです。

 まぁ表向きは万が一、冒険者たちがやられた場合、2名なら逃げて戻ってこれるだろうとの配慮だそうです。」

「その表向きも何だか公言して良い内容ではないですね。」

「はは。まぁそうですね。

 ですが、必要な人員を1回限りで借りられるのでCランクの冒険者が意外と利用する機会が多いと聞いています。」

「なるほど。

 このお店はどこにあるのですか?」

「行かれるのですか?」

「商売の参考に見てみたいですね。」

「では。ここからの地図を用意いたしましょう。」

そう言うとセスコが席を立って一旦退出していくが、すぐに戻って来る。

「失礼しました。

 さて。今日はどうされますか?」

「んー・・・一旦持ち帰ります。

 皆で内容を見ますが明日には居なくなる者はどれでしょうか?」

武雄の言葉でマイヤーがリストを机に置く。

「えーっと・・・

 これとこれですね。」

セスコが横線を引いて行く。

「わかりました。

 では。また明日来ます。」

武雄が頷く。

「明日も今日と同じくらいでしょうか?」

「はい。明日で決めます。」

「わかりました。」

セスコが顔を引き締める。

「若旦那はこの後はどちらに?」

「・・・保護施設に行ってきます。」

「若旦那・・・そこは行かない方が良い・・・」

セスコが苦渋の顔をさせながら呟く。

「ええ。ですが・・・仕事ですから。」

武雄が複雑な表情をさせながら言う。

「最近。あの施設は待遇が改善されたという噂があります。

 それとくれぐれも問題は起こされないように。

 あの施設は裏稼業からの資金も入っていますが、国の管理下にもあります。」

「そうですか・・・なら逆に私達に何かするような場所でもないという事ですね。」

「それは・・・そうとも言えますが。」

「まぁ。行ってみます。」

「お気をつけて。」

武雄が席を立つのだった。



ここまで読んで下さりありがとうございます。

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