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第920話 暇な魔法具商店。2(チビッ子達のお茶会。)

主達がまったりとお茶をしているのも気にせず、ジーナが淹れたお茶をチビッ子達は堪能していた。

「へぇ。ニオはのんびりしているのね。」

「うむ!テイラーと一緒に隠居生活を満喫しておる!」

ニオが堂々と胸を張って自堕落を宣言する。

「良いわね~。

 私はお酒造りを始めるわよ。」

「ほぉ。」

「酒は文化形成に役立つ物だ。

 出来上がりが楽しみだな。」

ニオとマリが頷く。

「・・・仏教って確かお酒は禁止でしたよね?」

パラスがジト目で2人を見る。

「我は酒を飲んだことはないな。

 信徒達は般若湯はあるみたいだが。

 これと言って般若湯も飲みたいと思わないがな。」

「某も大垂水という悟りが開ける可能性がある水の存在は知っているな。

 某も飲む気は無いが。」

ニオとマリが真面目顔で返す。

「僧籍も酒はダメじゃなかったかな?

 あれ?一部に問題ないと考える一派があったかしら?」

コノハが考えながら言う。

「信徒達は酒という物を(・・・・・・)飲んだことがない(・・・・・・・・)から味を知らない(・・・・・・・・)

 『それは酒か?』と聞かれても味がわからないから酒ではないとなる。」

「・・・それダメじゃん。」

テトが目を細めて2人を見る。

「我らは飲まぬさ。」

ニオが言うとマリも頷く。

「きゅ?」

クゥがコノハに何か聞く。

「ん~・・・美味しいかは個人の感覚によるわね。

 少なくともワインともウォルトウィスキーとも違うのは確かね。

 米という穀物を発酵させるんだけど・・・独特と言えば独特よね。

 スッキリしている辛口を目指したいんだけど、現状は甘酒とどぶろくかなぁ?」

コノハが考えながら言う。

「きゅ~?きゅ♪」

「ええ。楽しみにしていてね♪

 この地では味わえない酒になる予定よ。

 それにはまずはタケオがする米作りを上手くさせないといけないのよ。」

「きゅ?」

「ニャ?」

「あら?2人とも手伝ってくれるの?

 ありがとう。そうね。害獣が来ちゃうと邪魔よね。

 あとタケオがどんな作業員を連れて来るかにもよるわね。」

「前に言っていたエルフだな。」

マリが言って来る。

「そうだけどね~・・・

 農作業は地を耕して、種を蒔き、収穫をする。

 この全てが重労働なのよ。

 その辺を改善させないといけないかなぁ?」

コノハが悩む。

「その辺はタケオが戻ってからでしょう。」

パンニューキスが言って来る。

「そうね。いろいろとここに合ったやり方を見つけないといけないかも知れないわね。」


「吽形。久しぶりにやるか?」

「構いませんが・・・時と場所はどうしましょうかね。」

「何するの?」

マリとニオが何げなく発した言葉にテトが反応する。

「うむ。摩利支天殿と手合わせだ。」

「2人で?

 私も参加しようかな?」

「テトもか。パラスはどうする?」

「私ではまだお三方に拮抗は難しいので見学します。

 それにジーナと共にマリの指南を受ける予定なんです。

 その一環として見て学ぶをしようかと思います。」

ニオの問いかけにパラスが頷く。

「コノハは?」

テトが聞く。

「私は非戦闘系だから遠慮するわ。

 どう頑張っても皆の足元には及ばないもん。」

コノハがやる気なし状態で答える。

「パンニューキスは?」

テトが聞くとパンニューキスが首を振る。

「なら参加は3人か。」

「魔法はあり?」

「なしだな。」

「ないだろう。」

テトの問いかけにマリとニオが即答する。

「なによ。私が不利じゃん。」

テトが不貞腐れる。

「逆に魔法があるとテトが有利すぎだな。

 身体強化と武器強化くらいなら良いが。」

「ならそれで良いわ。」

「摩利支天殿の得物は?」

「某はこれを。」

「やはり一文字ですか・・・」

ニオが難しい顔をさせる。

「ニオ。問題があるの。」

テトが聞いてくる。

コノハとパンニューキスは不思議そうな顔をさせている。

「ちなみにテトの得物はなんだ?」

「これ。

 女神が使うから折れない、刃こぼれしない、壊れないの絶対仕様よ!

 ちなみに対悪神相手だと盾を装備するわ!

 そして叩き潰すのよ!」

テトがいつの間にか手に大剣が握られている。(もちろんチビサイズで)

「まぁ。西洋はそうだな。

 パラスはどうだ?」

「私はこれです。」

パラスは三ツ又矛を出す。

「三又槍だな。

 これもテトが言った仕様だな。」

ニオが頷く。

「で。マリが持っているのは何が特別なの?」

テトが不思議そうな顔をさせて言う。

「テトやパラスの装備品は創造者が考えた物(・・・・・・・・)だ。

 それに対して摩利支天殿は作り手の理想を形(・・・・・・・・)にした物(・・・・)だ。」

「つまり?」

「つまり刀匠が理想とする材料の配合、製作時の気温、炉の温度、打つ回数、形、見栄え、重量配分、切れ味・・・全てが完璧な仕様だ。

 一文字の歴代刀匠の理想の形を具現化した物だな。」

「私の大剣との違いは?」

「・・・剣その物の違いはあるが・・・テト。持ってみろ。」

ニオがそう言いマリがテトに刀を渡す。

テトは刀を抜き構え少し素振りをする。

「・・・何これ?

 重量はあるのに軽く感じるわ。手にもしっくりくる感じ・・・こんな剣が存在するの?」

テトがワナワナしながら言う。

「それが作り手の理想という物だ。

 創造者が考えるのは見栄えであり、結果の威力がほとんどだ。

 作り手は振り易さ、切れ味の追及をしてくる。

 さらにテトの言う折れない、刃こぼれしない、壊れない仕様は摩利支天殿だから当然なっている。」

「卑怯よ!これ凄い武器じゃない!」

テトが怒る。

「そうは言ってもなぁ・・・

 武器単体で言えばテトの大剣も相手を潰す(・・・・・)という本体の性能は段違いだ。

 日本刀は切れ味の特化だからな。」

「ここまで振り易いなんて卑怯!私もこれにする!」

「いや・・・テト。西洋だと振り方が違うから単に装備しただけでは扱い辛いぞ?」

「むぅ・・・大剣で良い性能のが欲しい・・・」

「それは知識を教えて作ってもらうしかない。

 テトの体格や戦い方に合った重量配分とサイズで作るしかないが・・・

 今の大剣より良い物は早々には出来ないと思うがな?」

「・・・スズネに作って貰うもん。」

「それも一考。」

「で。ニオ。一文字に対するにはどうするの?」

コノハがニオに聞いて来る。

「そうだな・・・我は金剛杵が本来だが・・・いささか太刀には不利だな。

 なら我も信徒の業を借りるとするか・・・槍が良いだろうか。

 奈良の信徒に槍術の派があるからな。」

「・・・宝蔵院かぁ・・・

 十文字槍ではないけど貸してあげようか?」

コノハが何気に言う。

「ふむ・・・コノハの系譜なら凄い物があるな。」

「ま。子供達が手に入れた物は私の物だしね♪

 日本号なら貸せるわよ。」

「これまた凄いのが出るな。

 天下の名槍を借りるとしようか。」

「ええ。見る分には楽しそうだし、一文字と日本号の対決なんて望んだって見れないしね。

 使い手がマリとニオなら壊さないだろうから良いわよ。」

「某も名刀との組手は楽しみだな。」

「うむ。」

マリとニオが頷く。

「ねぇ。コノハ。大剣で良いのないの?」

「ええ??

 うちは両刃剣で有名なのはないわよ。

 テトちゃんが持っているのも良い大剣なんじゃないの?」

「そうかもしれないけど・・・

 話を聞いているとそっちの剣とか良さそうよ。」

テトが口を尖らせて言うのをコノハは苦笑するしかなかった。



ここまで読んで下さりありがとうございます。

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