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第919話 暇な魔法具商店。1(うたた寝をしている主と買出しに行かされる精霊。)

「アリス様。スミス様。ゴドウィン伯爵ご夫婦様。ジーナ様。いらっしゃいませ。」

テイラーがカウンターからアリス達を出迎えていた。

「はい。

 王都から戻ってきました。」

「「お邪魔します。」」

「「失礼いたします。」』

皆が一応に挨拶をする。

ジーナは小さめのバスケットを持っていた。

「で・・・えーっと。スズネさんですよね?」

アリスが窓際で軽く毛布を羽織ってうたた寝をしている鈴音を見る。

「ええ。

 今日の朝まで図面を描いていて朝一で説明をしに行っていましたので、今は仮眠をしています。

 やっと受け取って貰えたので、お茶を飲んだら気が抜けてそのまま。部屋まで戻れませんでした。」

「そうですか。」

アリス達がカウンター前の席に座りながらアリスが頷く。

「お飲み物はどうしましょうか?」

「失礼ながら私が淹れさせていただきます。

 よろしいでしょうか。」

ジーナが一歩前に出る。

「はい。

 構いませんが・・・お客様なので私が淹れますよ?」

「いえいえ。私がさせて頂きます。

 厨房はどちらでしょうか?」

「こちらです。」

テイラーとジーナが奥に入っていく。

「メガネを作りに来た時以来かしらね?」

「そうだな。

 相変わらず何だか変な物が置いてあるな。」

ゴドウィン伯爵が鈴音が居ない方の窓際の席にある武雄の小銃改4を見ながら言う。


「ただいま~。あれ?お客さんが居る。

 あ。アリス。おかえりなさい。」

と店の扉が開き人間大になっているテトが右に食材が入っている手提げ袋を持ち、左にクゥとタマを抱きながら入って来る。

「あれ?テトが人間大になっている・・・

 どうしたんですか?」

アリスがお茶を飲みながらテトを見る。

「夕飯の買出し・・・というより。皆。気配駄々洩れだよ・・・

 外に居るとわからなかったけど。」

「きゅ?」

クゥがテトを見上げて鳴く。

「あれ?クゥはわかったの?

 教えてよ。」

「きゅ~?きゅ。」

「・・・『昨日会っているし?別に良いかなぁ』って何気に酷いわね。

 ほら。皆。出て来なさいよ。」

「いや。さっきさぁ。

 仕立て屋さんで騒ぎになってね。

 とりあえず移動中は姿を隠したのよ。」

コノハが小さいままの姿でアリスの肩に現れ普通に話し出す。

「精霊が4名いきなり『ミアのコートを作って』と言えばあの騒ぎになるだろう。

 さらにジェシーの懐妊の話で店内は大盛り上がりだったな。」

マリもスミスの肩に乗りながら話す。

「ジェシー。体調は平気?」

パンニューキスは肩に乗りながら言う。

「平気よ。パンニューキス。

 いやいや貴方達4名とも『ミア用のコートと人間大用のコートが欲しい』と両方言ったのが問題よ。

 そうしたら『大きくなれるんですか?』とか『特注ですか市販品ですか?』とか職人さん達凄かったわね。」


「皆さん。おまたせし・・・精霊がたくさんいますね。」

テイラーが戻って来てその場の状況を見て呆れる。

「「ははは。」」

アリスとスミスが苦笑する。

「ん?店長は精霊を見ても驚かないんだな。」

ゴドウィン伯爵が不思議そうに言う。

「ええ。

 ニオ。」

「うむ。」

ニオがテイラーの肩に現れ、カウンターに飛び移る。

「店長もか。」

ゴドウィン伯爵が呆れる。

「はい。ゴドウィン伯爵様。

 私の場合は元王都の部隊所属でしたが、陛下が前に来られた際に王都での事は言わなければ不問と打ち合わせ済みです。」

「そうか。

 陛下が良いと言うなら問題ないだろう。

 これに後はタケオの精霊が来るのか。

 豪勢な街だな。」

「まったくね。」

「皆さま。お茶が入りました。

 パラス。精霊達が集まっていますから行って構いません。」

「はい。」

パラスがチビ状態で実体化し、ニオの方に飛んでいく。

「んん~・・・ん?」

鈴音が騒々しいからなのか目を覚ます。

周りをキョロキョロ見て。

「あ。寝ていましたか。

 お客様も・・・テイラーさん。部屋に帰ります。」

トボトボと鈴音がカウンター横を通り過ぎる。

「あ。アリスさんにスミス様。おはようございます。」

「はい。おはようございます。」

「お疲れなんですね。」

アリスとスミスが苦笑しながら返事をする。

「はい・・・では・・・

 ?・・・では?・・・」

鈴音がそう言ってピタッと止まり数回瞬きさせる。

「あ!あああ!

 すみません!アリスさん!スミス様!

 王都からおかえりなさい!」

鈴音が勢い良く頭を下げる。

「はは。良いんですよ。

 タケオ様の宿題ですね?」

「はい。第1弾がやっと終わったんです。

 今日の午後は・・・えーっと何やるんだっけ?」

「スズネさん。今日はお休みで良いですよ。

 明日は小銃改4の試験の立ち合いです。」

「わかりました。

 すみませんが、皆様。私はこれで。」

鈴音が皆に礼をして奥に引っ込んでいく。

「・・・ん~・・・あの子は?」

ジェシーがアリスに聞く。

「スズネさんと言ってタケオ様の研究所の研究員です。

 タケオ様と同郷でテトの主です。」

「なるほどね。

 タケオさんの片腕なのね。

 それにしても疲れているわね。

 テイラー店長。大丈夫なの?」

「しっかり休むようには毎日言っていたんですが・・・

 今日までかかっていた図面ではのめり込んでいたんですよ。

 なので明日からは図面書きはお休みで私とキタミザト様の小銃改4の打ち合わせで数日でしょうか。

 その後は今日の図面の試作が出来るでしょうから依頼している工房に行き来して意見交換ですね。」

「そうかぁ。

 まぁ無理なくしてもらいたいわね。」

「で。何を作ろうとしているんだ?」

ゴドウィン伯爵が聞いて来る。

「仕立て屋に卸す予定のミシンという裁縫器具ですね。

 縫う事を早める機械だそうですが・・・試作中なので何とも。

 製品化すれば伯爵様の方にも売り込みに行くかと思います。」

「ふむ・・・裁縫か。

 今は想像が出来んが、製品が出来たら一番に教えて欲しいな。

 うちの領内でも何か変化が起きるかもしれんしな。」

「はい。

 キタミザト様が戻られたら話しておきます。」

「あぁ。よろしく頼む。」

テイラーが頷くのだった。



ここまで読んで下さりありがとうございます。

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