第918話 エルヴィス家の局長会議。(それぞれの管轄。)
庁舎の会議室にエルヴィス爺さんとフレデリックとヴィクターと各局長が集まっている。
「「「伯爵様。よろしくお願いいたします。」」」
その場の局長達が恭しく頭を垂れる。
「うむ。皆。元気そうじゃの。
さて。会議を始めるかの。」
エルヴィス爺さんがそう言うと各局長が席に座る。
「では。早速始めましょう。
まずは前回の会議でも確認しましたが、進行中の事業について各局長報告をお願いします。
では・・・まずは経済局長。全体の報告を。」
フレデリックが議事を進める。
「はい。まずは現在の全体工程からご説明いたします。
お手元の資料4ページをご覧ください。
先月末時点での現状の3事業およびキタミザト様の事業の工程を表にいたしました。
現在の状況ですが」
局長会議が始まるのだった。
・・・
・・
・
「なるほど。
では養鶏場事業と卵の品評会、各村の特産品祭り事業。融資案件。研究所も含めた建て替え事業。
タケオ様のウスターソースと融資案件にも付随しているウォルトウィスキーも含め、どの事業も順調に推移しているのですか。」
フレデリックが頷く。
「はい。全体的には遅れはありません。
ですが、若干ウスターソース関連で野菜の価格が上がって来たとの報告もあります。」
経済局長が発言する。
「やはりですか・・・
その辺はタケオ様も危惧していましたね。
それは次の話になるでしょうか。
では。前回は皆に持ち帰って貰ったタケオ様発案企画についてですね。
資料の9枚目になります。」
皆がそのページを見る。
以下の項目が書かれていた。
≪事業企画≫
・魔王国に面する4貴族領での河川治水事業
・人工湖の造成と港の管理事業(周囲8km、深さ10m)
・人工湖での紅魚の養殖事業
・人工湖からの農業用水路の設置とその水源確保事業
・米の作付けとそれに伴う新種のソースと酒の試験事業
・卸し単価の高いキノコの栽培事業
・黒板と鉛筆のタケオが依頼した筆記具と玩具事業の今後の展開
・消しゴムや水溶性肥料のスライムの体液事業
・チョークの卵の殻の事業
・ウスターソース事業の今後の展開
・スライムを使っての関防衛力向上の件
≪追記事業≫
・ライ麦の輸出と増産計画
・ウィリアム殿下領までの新規街道整備
「この内容が前回皆に言った内容と追加事業ですね。
では。大枠の話を各街局長にしていきましょう。
北町局長には王都でライ麦を使った麦茶という物を卸す事を通達はしていますが、どうなりましたか?」
フレデリックが聞いてくる。
「はい。
農家達は一様に面食らっていました。
まさか王都に卸せる日が来るとは思っても居なかったです。」
「そうですね。
それとゴドウィン伯爵領にも卸します。
またウィリアム殿下領にも来年から卸します。
少なくとも今後4年間は定数を卸す事になるでしょう。
品質の維持と増産を計画してください。」
「わかりました!」
ランドルが嬉しそうに返事をする。
「北町が発展するなぁ。」
「羨ましい限りだ。」
他の局長達も嬉しそうに言ってくる。
「さて。西町局長。」
フレデリックが話題を変える。
「はい。」
「街道整備で来年以降の交通量が少なくなる見込みです。」
「はい。我らもそう考えております。」
「ふむ。
何か対策を講じれますか?」
「農地拡大としか言えません。」
「そうですか・・・
経済局長。説明を。」
「はい。
経済局で試算しましたが、西町でウスターソース向けの野菜の栽培を拡大してみてはいかがでしょうか。」
「野菜がメインの農地拡大ですか。」
西町局長が考える。
「ええ。実際先ほどの話ではありませんが、この街分を賄うだけでも価格上昇が始まっています。
今後領内。領外へ順次輸出を拡大していくと不足するのは目に見えています。
なので今から順々に作り出していかないといけません。」
「・・・どのくらい必要だと思いますか?」
「・・・数年後には村4つ分の年間収穫量と試算しています。」
「な!?」
西町局長が固まる。
他の町局長も固まる。
「ウスターソース事業は魔王国に面している4貴族領の全商店に卸す規模になります。
ある意味キタミザト様がこの地域に限定して契約をしていただいてありがたいです。
全国向けは我らでは賄いきれません。
たぶん我らでは4地域でもかなり厳しいというのがありますが、実際に現状他の2地域の伯爵家向けに輸出は始まっています。
この流れを閉ざす訳には行きません。
西町局長。何卒、野菜の農地拡大をお願いしたい。」
経済局長が深々と頭を下げる。
「4村分・・・現状の農地を1.5倍しても賄いきれない・・・
順々にして行っても・・・これはマズい。」
西町局長が頭をフル回転させて西町管轄の村の現状を確認している。
「よろしくお願いします。」
経済局長が席に着く。
「次は南町局長についてですが、
ウィリアム殿下領までの河川治水事業に伴って新規に川沿いに村を1つもしくは2つ作り停泊地として整備します。
その際の村の管理を南町でして頂きたいです。」
フレデリックが話す。
「わかりました。
西町が野菜中心となると我らは小麦を中心として村を興したいと思います。
そして輸送船の停泊地をしっかりと作らせていただきます。」
南町局長が返事をする。
「はい。
そちらで結構です。検討をお願いいたします。
また、現状街道整備については整備局と経済局と軍務局にて現在ルートの選定をしています。
決まり次第、連絡を入れます。」
「わかりました。」
「最後に東町ですが。」
フレデリックが最後の町局長を見る。
「はい。」
「港の事業は整備局の下に港湾部を作って対応をしようと思っています。
また、スライム事業と養殖事業は経済局の下に資源管理部にて一元管理をします。
東町局長は港に来た者達の宿泊地と卸し単価の高いキノコの栽培事業をお願いします。
地味かもしれませんが、年中キノコが取れると需要は高いだろうと思っています。
また魔王国との定期輸出入が増えそうではあります。
その辺の輸送体制と品質チェックは東町で最終確認になるでしょう。
向こうからも商隊が来る事が予想され、輸送船の人員と相まって結果的に東町に留まる人数が増えると予想しています。
宿数の確保とウスターソースやウォルトウィスキー等領内の物を宣伝する場として整備をお願いします。」
「わかりました。」
東町局長が頷く。
「うむ。
では。大枠を決めた所で皆に意見を言って行って貰おうかの。
思惑と違う事をフレデリックから言われている者もいるはずじゃ。
もちろん言われた事以外をしたいとなればお互いに話し合って決めないといけないの。」
「「「「はい。」」」」
その場の全員が頷くのだった。
ここまで読んで下さりありがとうございます。




