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第911話 エルヴィス家とゴドウィン家の政策1(鶏肉と豚肉。)

「ふむ・・・少し苦いかの。」

「ええ。これは・・・いつものお茶の方が飲みやすいですね。」

エルヴィス爺さんとゴドウィン伯爵が麦茶の感想を言っている。

「最初はそう思うのよね。

 でも飲み慣れると苦みが気にならないわよ。

 それにこれはコノハ殿が考えてタケオさんが作った妊婦用のお茶だしね。

 体にも子供にも良いらしいわよ。」

「よし!すぐに大量購入しよう!」

ジェシーが説明するとゴドウィン伯爵が即決する。

「そう言えばスミス。王城にライ麦を卸す交渉をしたようじゃの。

 どうであった?」

「緊張しました。

 でもとりあえず3年間は卸させてくれると約束してくれました。」

「うむ。向こうの料理人から依頼が来ての。

 対応させておるから安心するのじゃ。」

「お爺さま。ありがとうございます。」

スミスが嬉しそうに頭を下げる。

「お爺さま。うちも買い付けます。

 あと領地に異動した際にはレイラも買いますよ。」

「うむうむ。ジェシーの分は用意が終わっておる。

 レイラ達の分は来年だからの。来年以降はウォルトウィスキーもあるからの北町で増産する予定じゃ。

 タケオのお陰でライ麦の価値が上がっておる。

 数か月前までは捌くのも大変だった穀物がのぉ。

 今では他領に出すまでになるとは・・・いやはやわからぬ物じゃ。」

エルヴィス爺さんが顎をしゃくりながら答える。

「お爺さま。ライ麦の麦茶は根付かせないといけません。

 他領にないからと楽観視してはいけません。」

「うむ。ジェシーの言うとおりじゃの。

 タケオとスミスが作った好機を逃してはならぬ。

 王城と第3皇子一家に卸すという事はエルヴィス領のライ麦に特別な価値を付ける事になるじゃろう。

 スミスが良い結果をもたらしたの。」

エルヴィス爺さんが嬉しそうに頷く。

「ありがとうございます。」

スミスが嬉しそうに言う。

「名声というか付加価値よね。

 うちのポクポク肉もその一角ね。

 味もだけど希少種であり、王家への献上品としているから総付加価値は高いのよ。」

ジェシーも頷く。

「あ~・・・ジェシー。王都に向けて出立するまで検討していた事を覚えているか?」

ゴドウィンがジェシーに聞いてくる。

「ええ。

 エルヴィス領のような各村か町単位で特産品を作れるか考えていたわよね。

 何か出来たの?」

「ポクポクの亜種・・・肉だな。」

「ポクポクかぁ。

 亜種はどうなの?」

「味的にはポクポクには及ばないがオークより肉質は柔らかい。

 そしてポクポクより1.5倍の子を産む。」

「繁殖力が高いのは魅力的ね。

 そして肉質がポクポクとオークの中間なら需要はありそうね。

 で。それをここで言うという事は決定なのね?」

「あぁ。

 フレデリック達から穀物の問い合わせもあったし、ウスターソースも少量が届いたんだが・・・やはりうちからも何か特産品を作りだし親父殿達の所に入れたい。

 そしてタケオの手腕で流行ら・・・話題にさせる。

 ポクポクは領地外には少量しか出さなければそれを目当てにうちの領地に来る者が出てくるはずだ。」

ゴドウィン伯爵が未来を語る。

「ん~・・・お爺さまどう思いますか?」

ジェシーが難しい顔をさせる。

「概要としては間違ってはおらぬの。

 じゃがの~・・・」

エルヴィス爺さんも難しい顔をさせる。

「親父殿。ジェシー。正直な所を言ってくれ。

 政策としては間違っていないと思っているんだ。」

ゴドウィン伯爵が神妙な顔つきで聞いて来る。

「ふむ・・・ヴィクター。どう思うかの?」

エルヴィス爺さんがヴィクターに振る。

「私ですか?・・・流石に領地持ちの貴族の提案に何か言う事は憚れるかと・・・」

ヴィクターも難しい顔をさせる。

「ふむ・・・アリスはどうじゃ?」

「良いのですか?」

アリスがゴドウィン伯爵に向いて聞いて来る。

「・・・アリス。平気だ。何を言われても耐えるぞ・・・」

ゴドウィン伯爵が頷く。

「そうですね・・・大まかな流れは良いとして。

 お爺さまやジェシーお姉様の懸念は肉を他領に卸す(・・・・・)という事がどういう事かという事が問題なのだと思います。」

「?・・・アリスお姉様。どういう事ですか?

 普通にそのポクポクの亜種を増やして他領に売るのですよね?」

「ええ。

 そこが難しいという事なのよ・・・

 私達エルヴィス家は養鶏場を各村で産業化する事を目指しているけど。

 これはあくまで領内の需要を賄うもしくは領内で消費させる事を目的にしているのよ。

 なのでこの規模で良いんだけど・・・ゴドウィン様は領外に出すという計画なのだから・・・

 畜産量は領内向けよりも倍とは言わないけど1.5倍は必要と考えるのが妥当となるわ。

 そんな規模で畜産なんて・・・村を・・・いや町2個か3個くらい専門で当たらせないと出来ないのではないのですか?」

「うむ。わしもそう思うの。

 大規模にやらない限り他領には卸せないじゃろうの。

 フレッド。そこはどうするのじゃ?」

「ポクポク肉自体は一般にはあまり出回っていないのです。

 高級食材なのです。

 ポクポクの亜種はそれよりも下。

 領内ではポクポクまでは行かないまでも週に1度買うか買わないかの手に届く高級食材としたいのです。

 そうすれば生産量はそこまで多くなくて良く。

 どこかの町で専門的にポクポクの亜種を畜産させれば問題ないと。

 それに卸売市場に出す食材はやはり珍しい物が良いでしょう。

 なので今は生産量の半分は卸売市場向けに後の半分は領内向けに作りたいのです。」

「なるほどね。

 あくまで領民達でも買える高級食材として売り込むのか。

 それならそこまでの投資は必要ないかな?」

ジェシーが腕を組んで悩む。

「とりあえず。まずは小規模からするべきじゃろうの。」

「親父殿達は養鶏場を一気に作りますよね?」

「うむ。

 領内で消費させる気満々じゃからの。

 フレッドのように他領に卸す訳ではないから規模もそこまで大きくないしの。

 皆が2日か3日に1回鶏肉を食べて欲しいと思うし、卵を普及させて食生活を良くさせたいだけじゃ。」

「タケオも噛んでいますよね?」

「まぁタケオが発起人だしの。

 タケオのレシピと一緒に領内で消費拡大予定じゃ。」

エルヴィス爺さんがホクホク顔で言うのだった。



ここまで読んで下さりありがとうございます。

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