第885話 エイミーの初デート。2(行程は順調のようです。)
スミス達は家具屋を後にしていた。
「ん~・・・3回も仮眠すると体が楽になるわね。」
エイミーが軽く伸びをしながら言ってくる。
ちなみに3回も仮眠をしたので少し髪が広がってしまった為、エイミーは髪を1つにまとめていた。
そうしたらスミスが「エイミー殿下が髪をまとめるのも似合っていて良いですね」と褒めていたので「これでも良いかも」と機嫌が良かった。
「はい。
僕の感覚としては最初のが良かったですかね。
エイミー殿下はどうでしたか?」
「私は2つ目ですかね。
スミスはあの固めが良かったのね?」
「はい。タケオ様が言っていたのはあのくらいの固さの事だと思います。
それにしてもエイミー殿下の気に入った2つ目だと僕が良いと言ったのよりかは柔らかかったですね。
でも王城の部屋のよりかは固かったかと思いますけど。」
「王城のは柔らかすぎるのよね。
私的にはもう少し固めが欲しかったんだけど・・・今使っているのも柔らかいのよね。
あと1年だけど買い替えようかしらね。」
エイミーが腕を組んで考える。
「エイミー殿下が今使っているのは柔らかいのですか?」
「うん・・・その時に勧められたまま買っちゃったのよね。
まぁベッドの事は考えもしないで机を重視して買っちゃったかもしれないわね。
・・・で、スミス、どこに向かっているの?」
「はい、お礼を兼ねてスイーツ屋さんに・・・あ、居た。」
「居た?」
スミスが見る方にエイミーも目を向けるとジーナが路地の入口沿いの壁に姿勢良く立っており、スミス達に気が付くと綺麗なお辞儀をして出迎えていた。
「スミス様、エイミー殿下、良き家具は見つかりましたか?」
「ジーナ、ご苦労様。
目途は着いたと思いますよ。」
「ジーナ・・・いつからここに居たのよ・・・」
スミスは嬉しそうにエイミーは少し驚きながら言ってくる。
「いえ、つい先ほどからです。
スミス様、この路地を入られて左側2軒目の店に予約を取りました。」
「わかりました。ジーナはどうするの?」
「私は・・・飢えて待っている方々が居ますので早急に王城に戻ります。
そろそろ痺れを切らせるのではないかと。」
ジーナがスイーツが入っている少し大きめの紙箱を持ち上げて言う。
「はは、お姉様方だね。」
「はい。
ではスミス様、エイミー殿下、いってらっしゃいませ。」
「うん、ジーナ。遅くならないうちに王城に戻るから。」
「ありがとう、ジーナ。」
「お気をつけて。」
ジーナはスミスとエイミーを礼をしながら見送る。
少し経って路地から見えないように通りの壁に背を付けると袖口を触って少し目を閉じる。
「パラス、王城に戻りましょう。
先に店内に入った方々とブルック殿には連絡が終わりました。」
ジーナが目を開けて言ってくる。
「わかった。
ジーナはここに戻るの?」
「王城に届けた後にまだここに居らっしゃれば周囲には居ようかと。
王城に戻って来たらそれまでです。」
「そっか。」
「はい。では行きましょう。」
ジーナが歩き出すのだった。
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「ふーん、落ち着きがあって雰囲気の良いお店ね。
スミス、誰に教えて貰ったの?」
エイミーが楽しそうに「ネタばらし要求」をしてくる。
「え~・・・エイミー殿下・・・・お姉様方に言わないでくださいね。」
スミスが観念したように言う。
「言わないわよ。
王都に数日しか居ないのにこんな店がわかる訳ないし、かといって本にも載っていなかったと思うわ。
こんな穴場の店をどうやって知ったの?」
「王城の料理人方にお勧めを聞きました。」
スミスはそう言いながら「ジーナと一緒にエイミー殿下も知らなそうな確実なお店はどこかと聞きにいったんだよね。皆さん本気で考えてくれて良かった」と料理人達に感謝していた。
「なるほどね。
それなら確かな味に巡り合えそうね。」
「はい。
この店は元王城の料理人が出店したらしいのですけど。」
「え?王城の!?一流じゃない!
何でこんな路地裏にいるのかしら・・・表通りの方が絶対人が入るだろうに。」
エイミーが腕を組んで悩む。
「ははは。エイミー殿下、私がしたかったからですよ。」
料理長と思われる初老なのだろうが若々しい男性がスイーツを持ってやって来る。
「あ、すみません。特に誹謗する気ではなかったのですが・・・」
「いえいえ、構いません。
確かに王城を辞める際に有名店から引き合いもあったのですけどね。
街の住人用の店を作ってみたいと長年思っていたのですよ。
こういった少しだけ背伸びをすれば誰でも来れるくらいの店をです。」
「少しだけ背伸びをするのですか?」
スミスが聞いて来る。
「はい、エルヴィス殿。
少しだけです。
普通に行く飲食店より少し上で有名店より安くも味は同等・・・一つ上の美味しい物を出す事で特別感を出したかったのです。
メニューを見るとわかりますが・・・1品少ないでしょう?」
「あ、本当ね。
その分を他の物に?」
「はい、食材を良くしています。
そうしたら若者達が特別な時に来てくれるようになりました。
ではエイミー殿下、エルヴィス殿、ごゆっくりとお過ごしください。」
料理長がエイミーとスミスの前に配膳し、お茶を入れ替えて去っていく。
「スミス、食べましょうか。」
「はい、エイミー殿下。」
2人はまずは1口食べる。
「はぁ・・・街中の裏路地でこんなスイーツがね。」
「美味しいですね。
本に載っていた店より美味しいかもしれません。」
2人が感嘆のため息をつく。
「スミス、美味しい店に連れて来てくれてありがとう。」
「エイミー殿下、今日は付き合って頂きありがとうございました。」
2人は同時に相手に感謝を言う。
「ふふ、美味しいわね。」
「はい。」
エイミーとスミスは満面の笑みを向け合うのだった。
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