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第884話 93日目 エイミーの初デート。1(緊張の本人。)

寄宿舎の玄関前のフリースペースでエイミーがそわそわしていた。

パットが引っ越し業者との打ち合わせの為に外出する際にエイミーの前を通っていたが何も言わないで素通りしていた。

「・・・エイミー殿下、何をソワソワしているのですか?

 落ち着いてください。」

お付の女性がため息交じりに言う。

「私は・・・落ち着いています。」

ソワソワが収まらない。

「・・・はぁ・・・

 アル殿、後はよろしくお願いします。」

「はい。それは・・・私は特に何もする事はないのですけど・・・

 家具屋に行くだけですし・・・」

アルもどう返事をして良いか迷っている。


ちなみにエイミーは学院での講義終了後一目散に寄宿舎に戻り用意していた外出着に着替え何度も何度も姿見でチェックをしていた。

お付の女性が「下着は大人のにしました?」と質問すれば「・・・・うるさい」と顔を赤らめて睨みながら答えていた。


「・・・はぁ・・・」

エイミーが懐中時計を見る。

さっき確認してからまだ5分程度しか経っていなかった。

異様に時間が長く感じられるのだった。

と玄関に誰かが来たのがわかるとエイミーは背筋を伸ばして緊張するのだった。


------------------------

スミスは寄宿舎の玄関に到着していた。

受付に声をかけようとするとエイミーが近寄って来る。

「あ、エイミー殿下、遅れてすみません。」

スミスが頭を下げる。

「いいのよ!?まだ時間も早いし!問題ないわよ!

 スミスは時間通りなのだから気にしないで!」

エイミーが若干慌てる。


「・・・アル、エイミーはこの調子なのか?」

「うん、すっごく緊張しているのよ。

 スミスの方は?」

「ギリギリまで姉達の講習が続いてな・・・疲労困憊気味なんだ・・・

 それと護衛はアーキン達4名とジーナと王都守備隊第一近衛分隊らしい。」

「うわぁやる気ね。

 傍に付くの?」

「いや、尾行と周辺警戒だけしていくそうだ。

 代わりに妊婦たちとエリカはアリスと一緒にアズパール王とお茶をして結果を待っているそうだ。

 なので何かあったら持ちこたえるように言われている。

 アルもそうしてくれ。」

「わかったわ。」

アルとマリがこっそりと打ち合わせをしている。


「じゃあスミス、行きましょう。

 行ってきます。」

エイミーが一緒に玄関に来たお付の女性に言う。

「はい、エイミー殿下。

 ゆっくりと(・・・・)・・・そう!お帰りは明日の朝でも昼でも」

「行ってきます!

 スミス、行きましょう。」

エイミーがお付の女性の話を聞かずに玄関を出て行く。

スミスはお付の女性に会釈をしてエイミーを追うのだった。


------------------------

ジーナは人間大になったパラスと一緒に寄宿舎から200mくらいにある喫茶店でお茶をしていた。

「・・・エイミー殿下とスミス様は出立しましたか。

 ブルック殿が引き続き監視をするのですね。

 アーキン殿や守備隊員が先回りをして各路地を確認と。」

ジーナがお茶を飲みながら呟き、メモ帳に書いていく。

「ジーナがどんどん指揮官になっていくわ。」

「私は通信の中継とその時の話を書いている記録者ですよ。

 と、もうすぐ来ますか。

 パラス、次に行きましょう。」

「あ、待って!お菓子食べるから!」

パラスが大急ぎで頬張るのだった。


------------------------

スミス達は何も問題なく家具屋に着いていた。

今は机を見ていた。

「あ、エイミー殿下。

 この机はどうですか?」

「ん~・・・スミス、もう少し広めが良いんじゃない?

 それに椅子も高さが調節出来る方が良いわよ。

 ほら、男性は背が伸びる時は一気に伸びるし。

 その大きさだと体が大きくなったら手狭感があるわよ。

 何だかんだ言っても教材は多いしね。」

「そうですか。

 なるほど・・・エイミー殿下に一緒に来て貰って助かります。

 エイミー殿下、ありがとうございます♪」

スミスがにこっと笑顔をエイミーに向ける。

エイミーはドキッとしながら「もう・・・何よこの笑顔は!」と顔を赤らめるのだった。


「うんうん、主は見事にこなしているな。

 レイラの指導の賜物だな。」

マリが2人が見える位置の別の机に座って頷いていた。

「あざといわ・・・」

その横のアルは呆れているのだった。


「ふむ・・・なるほど・・・

 これは一考の余地はありますね。

 じゃあエイミー殿下、ベッドを見て良いですか?」

「ベ・・・ベッド!?

 ええ、良いわよ。」

エイミーは目線を泳がせながら答える。

「?・・・えーっと・・・こっちですかね。」

スミスは一瞬首を傾げるが気にしないようにベッド売り場を探すのだった。

・・

エイミーとスミスは仲良く同衾・・・いや仰向けで寝ていた。

もちろん2人ともお腹にはタオルがかけられている。

「ねぇ、スミス。」

エイミーが天井を見ながら言う。

「はい、エイミー殿下。」

スミスも天井を見ながら言う。

「何で私達寝ているの?」

「タケオ様が前に正しいベッドの選び方を教えてくれたので寝て確認しています。

 タケオ様が言うには『1日の大半を過ごすベッドは念入りに調べる必要がある』だそうです。

 レイラお姉様やアリスお姉様やお爺さまとかに説明をしていたのですけど、感心して実践していますよ。」

「そうかぁ。

 でもこのベッドは少し硬いわね。」

「はい。ですが、このぐらいから試してみようかと・・・

 とりあえずこれで少しうたた寝をしましょう・・・

 エイミー殿下も緊張されていますし・・・少しお疲れみたいですから・・・」

スミスが目をトロンとさせながら言う。

「・・・スミスはそう思うの?」

エイミーが横目でスミスを見ながら言う。

「はい。

 何だかとても緊張されて・・・少し早く歩かれてもいましたし・・・

 エイミー殿下、すみません。

 マリ、10分後に起こして。」

「了解しました。」

マリがスミスの頭の所に座って返事をするとスミスはスゥスゥと寝息を立て始める。

「・・・寝ちゃったわ。」

「エイミー、襲っちゃダメよ?」

アルが楽しそうに言ってくる。

「しないわよ。

 それにしても・・・私『も』疲れているか。

 まったく年下の男の子に言われるとは・・・私もまだまだね。

 アル、私も寝ます。スミスを起こす前に起こしてください。」

「わかったわ。エイミーもおやすみ。」

アルの返事を聞くとエイミーもウトウトしだすのだった。



ここまで読んで下さりありがとうございます。

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― 新着の感想 ―
[一言] お付の人、そーとーイジワルだと思うwwwww
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