第882話 居残り組の者達。
お昼過ぎの第3皇子一家の執務室。
室内はアルマにレイラ、エリカにアリス、スミス、ジェシーとエイミーとヴィクターとジーナ他精霊達が居る。
ウィリアムは貴族会議に行っている為、不在です。
「ん~・・・尻尾を掴ませないわね・・・」
レイラが腕を組んで悩んでいた。
「アルも言っていましたがそんなに目線が気になるのですか?」
エイミーが首を傾げながら言ってくる。
「ん~・・・実際の所、私もレイラもエリカさんもわからないのよ。
第3皇子一家のパイディアーが気が付いて私達を警護してくれているんだけど。
それとその情報を元に王都守備隊も警備してくれていたわ。
・・・今は第1皇子一家と第2皇子一家の警護で出払っているけどね。」
「それは第2皇子一家のカリスやアルも同じです。
たぶん、第1皇子一家のアウクソーもそうでしょう。
でもアリス様やジェシー殿にはないのですよね?」
「はい、エイミー殿下。
私のパンニューキスもスミスのマリもジーナのパラスも何も目線は感じていません。
それに一番見られておかしくないタケオさんのパナもないと言っています。」
ジェシーが言う。
「ん~・・・・皇子妃のみですか・・・
王家への攻撃は相当苛烈な対処をするのはわかっているはずなのですけどね・・・
それに対象にされているのが次代の王候補達なら尚の事過剰反応をするのが王家なのですけど。
まぁ今の段階では目線だけだから強硬処置をしていませんが。」
エイミーも腕を組んで考える。
「はぁ・・・アズパール王家は穏和ですけどやる時はしっかりと動きますからね。
まぁ王家とはそういうものなのでしょうけど。
それよりもなんでタケオさんに目線がいかないのかも不思議ですね。
本人は表立っては気にしていないようですけど。」
ジェシーがため息をつく。
「それは何ででしょう?
タケオ様的には楽しんでいるだけなんでしょうけど・・・一番好奇な目を向けられるはずなのに他人の目線も気にしていないですよね。」
スミスが苦笑する。
「え?スミス、タケオ様は見た目というかどう見られるかはかなり気にしているわよ?」
アリスがキョトンとしながらスミスに言う。
「そうなのですか?」
「ええ。トレンチコートや制服でもわかる通り私達とは感性が違うだけで見た目や着る物は拘っているのはわかるわ。
さらにはヴィクターにガラスの装飾短剣を与えたり、ジーナちゃんの髪飾りの費用を全部出したり・・・部下に少し違う物を持たせた事によって他者からどう認識されるかを考えているし・・・印象が重要だという事はわかっているのよ。
だからこそ作業服は認識されない事を最重要と考えてあれが出来たわけだしね。」
アリスが人差し指を立てて説明する。
「あ~・・・確かに。
でも相当地味ですよね。」
スミスが苦笑する。
「作業服って何?」
レイラが興味深そうに聞いてくる。
「「緑?」」
アリスとスミスが首を傾げて言う。
「うん、わからないわ。
ジェシーお姉様は見ましたか?」
レイラがジェシーに聞いてくる。
「見てはいないわね。
アリス、スミス、タケオさんが何をしたのか説明したら?」
ジェシーがアリスとスミスに聞いてくる。
「わかりました。エルヴィス邸で何をしていたかを説明しますね。」
アリスが説明をするのだった。
・・
・
「・・・見つかり辛い服装かぁ。
タケオさんは森用に緑の作業服、砂地用で制服を作ったのですね。」
エイミーが腕を組んで頷きながら言う。
「ん~・・・作業服はそうなのですが、制服の方は楽だからかと。
スズネさんが言っていました。」
アリスが考えながら言う。
「まぁ作業服や制服は本人が来た際に聞くとして、見つかり辛いかぁ。
ある意味今の不審者のような物を作ったという事よね。」
アルマが顎に手を当てながら呟く。
「つまりは今の不審者は仮想のタケオさんが相手だと?」
エリカが聞いてくる。
「そうね。そしてタケオさんは遠距離仕様の専用魔法具を装備しているわね。」
アルマが頷く。
「うん、タケオさんに喧嘩を売るのは止めようっと。」
レイラが呟く。
「まぁタケオさんが遠距離で攻撃してくるならそもそも目線が気になるような距離に居ないと思いますけど。
それにタケオさんの部下の試験小隊って王都守備隊なんでしたよね?
確か副官やら班長やらがゴロゴロいるという噂でしたよね?」
ジェシーが呆れながら言う。
「うん、タケオさん達第二研究所との抗争は絶対に止めようかな!」
アルマが頷く。
「で・・・今回の不審者はどうするのですか?
タケオさんとの不仲が不味いのはとてもわかったのですけど。」
エイミーが呆れながら言う。
「ん~・・・今日の隙作りでも相手は動かなかったしね・・・
様子見しかないかな?
そうだ。エイミーちゃん、パットはどうしているの?」
「野放しで結構ですよ。
目線の話もしていませんし、第1騎士団の居残り組が周りを警護しているはずですから何かあれば向こうで対応しますよ。」
「・・・なんだかパットが不憫ね。」
エイミーの説明にアルマが呆れる。
「だって・・・こういった事に関わらせるとまた何し出すか分かった物ではないですからね。
第1皇子一家からも『関わらせる必要はない』と言っていましたし。」
「パット殿下・・・次々期王候補筆頭なのよね・・・それで良いのかしら?」
ジェシーが考えながら言う。
「ま、第1皇子一家も第2皇子一家も今は生まれて来る子供の方が気がかりですから。」
エイミーが苦笑する。
「気持ちはわかりますけど・・・そちらは何も言えないですね。
そういえば、スミス。明日は何をするの?
唐突に2日延期になったけどしたい事ある?」
アリスが聞いて来る。
「僕ですか?・・・そうですね・・・
あ、家具屋に行ってみたいですね。」
「スミス、寄宿舎用のを見るの?」
「はい、エイミー殿下。
実家でも見たのですけど、こっちのも見ておこうかと。」
「なるほど・・・貴族向けの家具屋は・・・えーっと、確か表通りから少し入った所だったわね。
門から西に5つ目の通りを入って南に7つ目の通りを入って更に西に4つだったかな?」
「エイミー殿下、わかりません。」
スミスが微妙な顔をしている。
「うん。私も言っていて『わかりづらいなぁ』と思いました。」
「なら明日はスミスとエイミーちゃんは家具屋に行ってみたら?」
レイラがしれっと言う。
「え?」
「良いのですか?」
エイミーは驚きスミスは少し嬉しそうに答える。
「うん。動きがないなら対応できないし、妊婦だけのようだからね。
それに土地勘がないスミスは迷子になるわよ。
エイミーちゃんは明日は平気?」
「あ・・・9時課の鐘以降なら平気です。」
「じゃあ夕飯前にちょっと行って来なさいよ。」
「はい。
エイミー殿下、すみませんがお時間を頂けますか?」
「うん、平気よ!
王城に居てね。迎えに行くから!」
「え?僕が寄宿舎に迎えに行きます。」
「え・・・そう?じゃあ待ってます。」
エイミーが少し考えながら言う。
その様子を見ながらレイラは「エスコート(女性の気分が高まる方法)を教えなきゃね」と思うのだった。
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