第876話 夕飯。3(精霊達の夕飯。)
こっちは精霊達が集まって食べている。
「くぅ~!焼きそばは良いわ!
青のりや半熟目玉焼きが乗っかってないのが悔しいけど!
あぁ・・・ビールが欲しいわぁ~♪」
コノハが焼きパスタを食べながら大興奮していた。
「はぁ・・・コノハ・・・貴女高貴な神なんじゃないの?」
アルがため息を付きながらコノハを見ている。
「アル・・・コノハはタケオからすれば始祖ですからね。
本来なら平伏して奉るくらいするんでしょうけど・・・コノハがこれですし・・・」
マリもため息交じりに言う。
「な・・・なによ!?
美味しい物は正義よ!
もりもり食べてバンバン産むのが妻の勤めよ!
タケオはほんと良い男ね!美味しい物をどんどん作ってくれる。
これならアリス達の領地の住人達も子作りに精を出してくれるかしら?」
コノハが満面の笑みを他の精霊達に向ける。
「はぁ・・・そんなに上手く行くのかしら?」
「衣食住は生活の基本よ。
そしてその3つが満たされるなら食欲、睡眠欲、性欲を満たしに来る。
食欲はタケオが新しい商品を、睡眠欲は領地運営をするスミスとアリスが領地を安定させればおのずと人は性欲を求めて結果、子を成すのよ!」
コノハが「参ったか!」と言ってくる。
「うん・・・コノハも十分にぶっ飛んでいるわね。
まぁどちらにしてもこれだけ王家の子が出来るのだからあやかる人達は多そうだけど。
王国内で婚姻がブームになるかもしれないわね。」
「そうですね。
そうなれば一段と街が活気づくでしょうけども。
まぁ某とアルは主達の恋愛模様もありますが・・・まずは寄宿舎生活という物を上手く行かせないといけないでしょう。」
アルとマリが料理を摘まみながら話し合っている。
「ところでさぁ。
カリテス達は大丈夫なのかしら?
あのお嬢ちゃん達は何やら大変そうだけど。」
コノハが武雄とアンとクリナを見てからカリテス達を見る。
「・・・この国の人間がタケオの知識からどうやって街を発展に持って行くのでしょうね?」
アルもアン達を見ながら言う。
「なるようになります。」
パナがお茶を片手に言ってくる。
「パナは落ち着いていますね。」
マリが言ってくる。
「ええ。
私達は自主的に領地運営や物作りに手を出しません。
相談されたら説明し、お願いされたら動けば良いのです。」
「パナはタケオの下で研究でしょ?物作りするんじゃないの?
前に嬉々として『研究が出来ます!』と言って来たくせに。」
アルが指摘してくる。
「タケオの指示の下でです。
どちらかというとタケオの代わりに研究をしていくということです。
研究題材はタケオからの指示でしますし、結果の良し悪しもタケオが判断しますね。」
「・・・それって楽しいの?」
「え?楽しいに決まっています!
わからないのですか?」
パナが楽しそうな顔をしてアルを見る。
「・・・ごめん、わからないわ。」
「誰もわかってくれないですが・・・まぁ良いです。」
パナが若干背を丸めて不貞腐れながらお茶を飲む。
「こらこら、パナちゃん拗ねないの。
これからタケオと旅をして戻ったら出来るんだから良いじゃない。
それよりマリはジーナとパラスちゃんの修練内容は決めたの?」
「当然。これをご覧頂こう。」
満を持してマリが懐から書類を出す。
「いつの間に・・・じゃあ中身を拝見♪」
コノハが書類を持ち上げアルとパナも横から見始める。
「・・・ん?」
「・・・え?」
「・・・」
コノハとアルが1枚目の最後ら辺の記述で目を止める。
パナは何も言わずに見ているのみだ。
「ふふふ。この修練項目通りに行えば、寄宿舎に行くまでの2か月でジーナを一流の警護者に出来ましょうぞ。」
マリが楽しそうに言う。
「・・・これ、スミスは見たの?」
ご満悦のマリをコノハがジト目で問いかける。
「主は関係ありませんから見せてはいません。あくまで某の流派を作る為の試金石。
それにタケオの部下のジーナを早く一人前の警護者にする約束です。
なら及第点に持って行くのに2か月だとそのぐらいが必要でしょう。」
「却下。」
「は?」
「却下!この練習項目は却下!再考しなさい!
タケオやスミスに許可なくこんな地獄の特訓をしてどうするのよ!
何よこの途中の項目!『燕飛の型を覚える為に4日間は素振り20000回ずつ』って!
ジーナは生身よ!パラスちゃんなら出来るでしょうけど!」
「私でも流石に20000は・・・」
パラスが嫌そうな顔をする。
「それぐらいしないと型は身に付かな」
「身に付く前に体が壊れるわよ・・・
はぁ・・・これはダメね。
タケオやアリスが見る前で良かったわ。これ絶対に文句が出るわよ。」
コノハが項垂れながら言う。
「それ、ちょっと見せてください。」
「良いわよ~
・・・それにしてもアルちゃん、この内容は流石に土台無理な話と思わない?」
「そうですね。
相手は生き物ですからね。食事も睡眠も必要ですし、執事の仕事もある。時間的に無理でしょう。
それに型の後の習得修練ですけど・・・組手2000回も無理でしょうね。
タケオはどう思いますか?」
アルが話を振るとコノハが「いつ来たのよ!?」と驚き顔を武雄に向ける。
実はさっきコノハから書類を貰ったのが武雄だったのだが、コノハは見向きもせずに渡していた。
「恐ろしく徹底的に教えるのはわかりますが。」
武雄が資料を机に置く。
「「「が?」」」
精霊達が顔を向ける。
「アルが言ったように執事の仕事もありますが、寄宿舎向けの勉強もあります。
午前中は執事としての仕事、午後は勉強をしてから・・・剣術には2時間くらいしか取れないのではないですか?」
「それでは早期に警護者に仕立て上げれないかと。
タケオ、再考をしてください!」
マリが要請してくる。
「・・・警護者の剣術も勉強も時間配分はスミス坊ちゃんに任せますか。
スミス坊ちゃん、アリスお嬢様、ジーナ。」
武雄がスミスを呼ぶとスミスとアリスとジーナがやってくる。
「タケオ様、呼びましたか?」
スミスが聞いて来る。
「はい。ジーナの警護者の勉強と剣術の行程を考えて貰えますか?
私的には午前中は仕事をさせたいので午後一杯は使って欲しいのですが。」
「わかりました。
ん?これは・・・はぃ?」
アリスが頷き武雄の前に置かれた資料を手に取り固まる。
「アリスお姉様、どう・・・ん?」
スミスがアリスの手元を見て固まる。
ジーナは2人を見て首を傾げていた。
「・・・マリ・・・少し話し合いましょうか・・・」
スミスが目の所に手を当て頭痛を堪えながら言うのだった。
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