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第872話 王家からの挑戦状。(あ。いっちゃった。)

こっちは厨房。

王妃達が居る部屋から執事がやって来て半立食。ビュッフェ形式の食事にして欲しいと依頼が来ていた。

「な・・・なんと!?」

「ここで変更ですか!?」

「やべぇ・・・肉が足りるのか?」

「野菜の盛り付け準備終わったぞ。」

料理人達が一旦手を止めて狼狽えていた。


「狼狽えるな!皆気を引き締めろ!」

料理長が声を上げる。

「確かに今日の夕飯はテーブルだったのが半立食になった。

 これはいわば王家からの挑戦状だ!

 何としても完遂させる。

 キタミザト殿、すみませんが2品くらい作って頂けますでしょうか。」

料理長が武雄に言ってくる。

「そこは構いません。

 それに盛り付けの時間を調理に使えるのでしょう?

 良い方向に考えるなら時間を貰ったという事でしょう。」

「ええ・・・そうですね。

 ま、夕飯後の皿洗いの量は増えそうです。」

「あはは、その程度でしょう。

 時短で出来る料理か・・・

 ならキャベツを大きめにニンジンを細くカットして薄切り肉と一緒にウスターソースで味付けする野菜炒めを作りましょう。

 これはちょっと大人向けとしてピリ辛で。

 スープは・・・干しシイタケと卵とじのスープが楽でしょう。

 スイーツはプリンを作っていますよね。

 なら・・・近くのスイーツ店からマドレーヌを買って来てそれにホイップクリームを乗せなさい。

 その上にイチゴかブルーベリーのジャムを少し乗せれば1品は出来るでしょう。

 料理長、私からは以上。

 これ以上は料理長達が考えてください。

 私は肉料理の料理人と野菜炒めを作ります。」

武雄が厨房の奥に入っていくと数人の料理人が武雄の周りに集まり再度確認を始める。

「よし!

 スイーツ担当から4名街に行って2名はマドレーヌを買ってこい。あと2名は生クリームだ。

 無かったらバターサンドに切り替える。バターの入手をして来い。」

「はい!お前とお前とお前、行くぞ。

 無かったら別に切り替える。早々に見切りを付けるからな。」

「「「はい。」」」

スイーツ担当達も動き出す。

「野菜は1種のままだ。

 ただしドレッシングを3種考えろ。」

「了解しました。

 大皿ですのでもう少しレタスを増やしておきます。

 あと大根も細切りを作り量をかさ増しさせます。」

「ああ、そうだな。後は茹でた豆を冷やして乗せれば見栄えも良いだろう。

 皆!他に時間が短くて調理出来る物があれば言ってこい!」

「「「わかりました!」」」

どこからともなく返事が返って来る。

厨房が慌ただしくなっていくのだった。


------------------------

王城内の会議室。

貴族会議は終わったはずなのに再燃中だった。

発端はウィリアムが会議後に「タケオさんとエリカさんとレイラで話したみたいなんですけどね、3都市間の流通を国営化して毎日幌馬車を残りの2都市に出立させれば便利じゃないかなという話があったそうですよ。自分達で話している時から問題が多すぎて却下したそうですけど。」

と笑い話をしたつもりだったのが、軍務局と財政局の局長が「それはやってみるのも面白いのでは?」と言い出し「うちも実用化すれば乗っかりたいですね」と専売局の局長も加わっていた。

「んー・・・いや、お前達の言う事もわかるぞ。

 良い面を見るのも大事だ。だがなぁ。」

アズパール王が皆を見ながら言う。

「陛下、何もすぐに始めようという事を我々は言っていません。

 どの部署でするかはわかりませんが、検討を始めて欲しいと言っているのです。

 ウィリアム殿下が先ほど言っていた3都市間の流通網の整備案。

 レイラ殿下とキタミザト殿とウィリアム殿下配下のエリカ殿が雑談混じりで話された事が発端との事ですが、今は出来なくても手紙や書類ぐらいは定期的に送れるような物があっても良いのでないでしょうか。

 毎日送れるようになれば書類の返送日時も指定が出来やすくなると思います。」

軍務局長が言ってくる。

「確かに各地の報告書は事があるごとに送って来ておりますけど。

 毎日・・・いや、毎週1回と決めていれば報告書の請求を送ったとして次の週には提出されるという時間が見えてきます。

 いつ届くのかわからないよりも格段に仕事が進むと思われます。」

財政局長も頷く。

「最初は幌馬車でなくても良いからもっと小口で出来ないですかね。

 それで様子を見るのも手ではないですか?」

専売局長も言ってくる。

「んー・・・だがなぁ。

 ウィリアム、タケオ達は何が問題だと言っているんだ?」

「送る事には積み荷の保障が細かすぎて難しいんじゃないかという事と、さらに難しいのが集荷場から各店、個人宅に届ける事だと。

 保障と信用、賊に対しての対応、各個人に送り届ける綿密な住所登録制度・・・これは難しいですよ。

 さすがにあのレイラが『国営化しても難しい』と唸っていましたよ。」

ウィリアムが苦笑しながら言っている。

「なら個別対応では無くて局間と限定させたらどうですか?

 各局から送り出される資料や報告書、それこそ専売局の紙、塩、茶。

 現状でも各貴族領向けにどれもほぼ数日おきに出立しているではないですか。

 それを統合させて3都市の局の定期輸送体制とするのなら出来るのではないのですか?

 送り先も総監局か総務局宛に統一すれば1か所で済みます。」

財政局長が言ってくる。

「確かに実現に向けての問題事が減った・・・

 毎日・・・いや、例えば3日に1回、週に2回として、書類が多い日もあれば少ない日もある。

 だが、輸送にかける人員や経費は毎回一緒になるという事だな。」

クリフが考えながら言ってくる。

「はい。多かろうが少なかろうが安定して経費が掛かります。

 これなら毎月いくらかかるとわかりますので財政局(うち)としては予算配分がし易いのです。」

財政局長が言ってくる。

「ん~・・・とりあえず、これは明日に持ち越しだな。

 各局とも明日ウィリアムが言った3都市間の流通について意見を聞く。

 そこでまた議論をしよう。」

「畏まりました。

 では皆、解散。」

オルコットが号令を発して今日の貴族会議が終わりを告げるのだった。



ここまで読んで下さりありがとうございます。

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