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第865話 武雄の散策。2(まぁこうなるね。)

「おい、あんた。

 酒は悪かった。だがあんたが言う法外な値段は払えねぇ。

 怪我する前にそこを退きな。」

兄貴と呼ばれた男が武雄に言ってくる。

「・・・」

武雄は相も変わらず目を細くして首を傾げながら見ている。

先ほどあった笑みは無い。

「退く気はないんだな。

 ならしょうがない。」

兄貴と呼ばれた男が右腰にナイフを持って行く。

武雄は身動きもせずにその動作を見ている。

「死ね、こらっ!」

駆け込みながら武雄の腹に向かってナイフを突き立てて来る。

武雄の腹に命中したと思ったその時。

「くっ・・・てめぇ・・・何者だ?」

ナイフが武雄の服の所でピタッと止まっている。

兄貴と呼ばれた男がいくら力を入れてもそれ以上前にはナイフが進まない。

と武雄は兄貴と呼ばれた男の首元に左手を添えるとエレクを数発程出して気絶させる。

兄貴と呼ばれた男はその場に倒れ込むのだった。


「兄貴!・・・てめぇ。」

他の2名が戦闘態勢を整える。

と武雄が小太刀を鞘から抜き、右手で順手に持ち半身に構える。

「なっ!・・・てめぇ、剣を出したからといって有利だと思うな!」

「そんなちんけな物をひけらかして威張るな。」

武雄が静かに答える。

「「なっ!」」

2人が武雄に切りかかろうとするが、後ろからエレクが(・・・・・・・・)撃ち込まれる(・・・・・・)

2人の男は何が起きたのかもわからずに気絶していた。

そして2人の後ろにはいつの間にかフードを被った人物がいたのだった。


「所長、終わりました。」

ブルックがフードを取りながら報告してくる。

「はい、お疲れ様。」

「「ブルックさん、追撃はなさそうです。」」

建物の屋根から同じくフードを被った2人が降りてくる。

器用に風系の魔法で着地を決める。

ミルコとアニータだった。

「2人ともご苦労様。」

と武雄が襟に止めてある宝石をさわる。

「所長、お疲れ様です。」

先程の気弱そうな男性役のアーキンが路地の入り口に戻ってくる。

「あ、アーキン。面白かったわ♪」

ブルックが楽しそうに出迎える。

「所長、周辺で怪しい人物はいません。

 仲間は居ないと思われます。

 ベイノンは現状も周囲を警戒しています。

 ブレアとオールストンは警備局の兵士を呼びに行っています。」

小隊員のアーリスが同じく路地の入り口から話しかけて来る。

「そうですか・・・

 とりあえずその3人は身動き取れないようにしておきましょう。

 あとは警備局の人が来るまで待ちですね。」

武雄が皆に指示を出す。

・・

3人を縛り警備局の兵士が来るのを皆が待っていた。

「とりあえずあの通信魔法具でしたか?あれは良さそうですね。」

アーキンが言ってくる。

「ああ。離れていても状況がわかるのは楽だな。」

アーリスも言う。

「皆に伝わっちゃうのが大変ちゃ大変だよね。」

ブルックが言う。

「でもこれがあれば屋敷への突入作戦は楽そうだぞ?」

アーリスも言う。

「「それはそうだね。」」

アーキンとブルックが頷く。

「と、言うよりも・・・」

「「「はい?」」」

武雄の呟きで3人が振り向く。

「今回は私。ジーナ、アーキンさん、ブルックさん、そしてアーリスさんに付けて貰いました。

 成果は上々ですけどね・・・」

「何か問題が?」

ブルックが聞いて来る。

「しゃべり過ぎです!」

武雄がジト目で3人を見る。

「端的な情報のやり取り、現状の報告と指示の為に付けて貰ったのに・・・

 なんでブルックさんは実況を始めますかね。」

武雄がため息交じりに言うのだった。


つまりはこうだ。

該当者3名カモを見つけ難癖をつけられる役のアーキン。

そして万が一の為にアーキンの護衛と周辺警戒としてアーリスを班長にベイノンとブレアとオールストン。

遊撃として屋根にブルックを班長にアニータとミルコ。

そして難癖を付ける方の武雄とジーナに別れ各々で行動をしていた。


大まかな筋書きはアーキンが連れ込まれ、良い頃合いで向こうの要求以下で一旦難を逃れる。

路地からカモが出て来たところを武雄が難癖を付けるという事だった。

最初は報告のみをしていた面々だったのだが、ブルックがアーキンが路地に入って来た時から実況を始めた。

(さぁさぁやってまいりました。)

(お待たせ。)

(アーキン、迫真の演技を期待するわぁ。)

(いや、この状況でか?役者の訓練はしていないからなぁ。

 あ、尾行は無さそうだぞ。)

(やりづらいなぁ。)

(あ、そこはもっと怖がらなきゃ。)等々。

武雄とジーナ以外の3人で話をしながら物事を進めていた。

ブルックは演技指導をアーリスは周辺の状況を言いながらアーキンに茶々を入れ、アーキンは「こいつ、殴って良いか?」とか「あ~・・・殴りてぇ」と最終的には愚痴っていた。


「今回のような状況では端的な情報のみで良いんですよ。

 なので次回からは突発的な事が起きた時、状況に変化があった時、定時連絡以外は通信をしてはダメです。

 わかりましたか?」

「は~い。」

ブルックが渋々言ってくる。アーキンとアーリスも苦笑しながら頷く。

「ご主人様、終わりました。」

ジーナが路地に入って来て報告してくる。

ジーナはメモ帳に今までのやり取りを殴り書きしており、今は建物の壁に寄りかかりながら座り清書をしていた。

「はい、ご苦労様。

 ふむふむ、さすがジーナですね。綺麗にまとまっています。」

「はい♪ありがとうございます。」

ジーナが嬉しそうな顔をさせる。

「で、所長、この後はどうしますか?

 こいつらの住み家もわかりましたが。」

アーリスが聞いて来る。

「そうですね・・・何かとっても興味深い事言っていたようですね。」

「ええ。後ろ盾と・・・ですね。」

アーキンが頷く。

「引き渡したらそっちに行く必要があるかもしれませんね。」

武雄が呟くと皆が頷くのだった。



ここまで読んで下さりありがとうございます。

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