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第862話 第3皇子一家に教えた新たな事業案とは。

王城の廊下。

武雄が一服を終えて部屋に戻ろうとのんびりと歩いていた。

「あ、タケオさん!」

レイラが武雄を見つけ駆け寄って来る。

「レイラさん?パイディアーは一緒ではないのですか?」

「え?知りませんよ?」

レイラが可愛らしく首を傾けて武雄に言ってくる。

武雄は少し考えるがため息しか付かない。

「タケオさん!お願い!知識を頂戴!」

レイラが頭を下げる。

「ん~・・・執務室ではダメなのですか?」

「それでも良いんだけど・・・

 タケオさん、明日はどうするの?」

「明日は明後日の出立の準備に当てていますけども。

 王都散策ですね。」

「そっかぁ・・・じゃあ今が良いわ。

 実はね。タケオさん、エリカさんに何か渡したでしょう?

 ・・・違うか、あの企画書は何!?」

「何と言われても・・・何かあったのですか?」

「タケオさんが第2皇子一家と料理をしている時に第3皇子一家(私達)はエリカさんから見せられたの!

 あの3都市間の流通網(・・・・・・・・)の国有化案(・・・・・)って何を目指しているの!?」

レイラが聞いてくる。

「・・・いや、楽し・・・流通の効率化ですけど。

 とりあえず、私達の部屋に行きましょう。

 アリスお嬢様と一緒に説明しますよ。」

「わかったわ・・・」

レイラが頷くのだった。

・・

武雄とレイラが部屋に戻って来るとジェシーとスミスが遊びに来ていた。

ジーナとヴィクターが3人にお茶を出し終えて傍に控えている。

「あ、タケオさん、お邪魔してるわ。」

「タケオ様、お邪魔しています。」

「はい、いらっしゃいませ。」

「タケオ様、おかえりなさい。

 ん?レイラお姉様も来たのですね。」

「アリス、ジェシーお姉様、スミス、お疲れ様~。

 あれ?ミア殿やパナ殿はどこに行ったの?」

「あぁ、アル殿の所に皆集合と言っていたわ。

 今後の話を精霊同士でするらしいわ。

 パンニューキスも向かったし。」

「そっか。

 パイディアーも行ったかな?」

「一緒じゃなかったの?」

「え~・・・まぁ~・・・」

レイラが目線を反らす。

「・・・で?レイラお姉様。

 タケオ様と一緒に来たという事は何か聞きたかったのですか?

 第3皇子一家の執務室に呼べば良かったのに。

 というより2人きりの所を誰かに見られたらどうするのですか?」

アリスが呆れる。

「へ?どうもしないわよ。

 私達がタケオさんと仲が良いのは王城内なら知られている事だし。

 アリスも居てタケオさんが他の女性に手を出すとは思わないわよ。」

「・・・レイラ、タケオさんと会うのはアルマ殿下達は知っているの?」

「知っていますよ。」

レイラが即答する。

「レイラ、ウィリアム殿下達は何を考えているの?

 わざわざレイラを1人(・・・・・・・・・・)でタケオさんに(・・・・・・・)会わせて(・・・・)、何をするつもりなの?」

「ん~?・・・特には?」

レイラが明後日の方を向く。

「はぁ・・・まぁ王城内で何かしたいんでしょうけど・・・

 で?レイラ、どうしたの?」

ジェシーがため息を付いて話を進めようとする。

「そう!皆聞いて!

 タケオさんがエリカさんに新しい事業素案を渡したのよ!」

「「「ふ~ん。」」」

「あれ?何ですか?その淡白さは?」

レイラが呆気に囚われる。

「いや、だって前の卸売市場もそうだったんでしょう?

 タケオさんがエリカさん、ひいては第3皇子一家に出来る事を案にまとめたのならそれまででしょう?

 あとのやるやらないはレイラ達で決めれば良いじゃない。」

「う・・・それは・・・そうなんですけど。

 いや!そうとも言えないです!

 タケオさん、あの3都市間の流通の国有化案はどういった意図なんですか!?」

「「「3都市間の流通の国有化??」」」

レイラが質問して残りの3人は首を傾げる。

もちろんヴィクターとジーナも首を傾げている。

「・・・私はそんな題名を付けていませんけどね。

 正確には『3都市間の流通において定期輸送体制の確立案』だったはずなのですけど。」

武雄が首を傾げる。

「内容が毎日最低1台の幌馬車を他の2都市に向けて出発させるとありました。

 そして3都市に新設する集荷場まで定期的に幌馬車を出すことによって、今まで各業者が各々に準備していた警護兵、輸送人員、幌馬車を一元化するとともに集荷、配達する荷物の大きさの規格化を実施する。

 そうする事によって3都市間での輸送日数の確実性と輸送料の固定化を目指す。

 これって衣服も食料も武器も家具も・・・ごちゃまぜで送るという事ですよね!?

 それに今まで各々に準備していた物を全部受け持つなんて国の支援でしか出来ませんよ?」

「うん、まぁそうなのですけどね。」

レイラの話を聞いて武雄が頷く。

「タケオさん、3都市間って王都、ニール殿下領、ウィリアム殿下領よね?」

ジェシーが聞いて来る。

「はい、そうですね。

 元々はエルヴィス伯爵領と王都で実施しようかと思っていたんですよ。」

「「うちですか?」」

アリスとスミスが聞いて来る。

「ええ。スミス坊ちゃんがライ麦の時に言っていたでしょう?

 ウォルトウィスキーと一緒に送れるかもしれないと。私もそう思いますよ。

 大規模であったり、混載が許されない荷物は単品で送るしかないですが、それ以外の小口の輸送をするなら混載で確実に数日後に届くというのがわかっている方が便利だと考えました。

 エルヴィス領から王都に卸す予定の物はライ麦、トレンチコート、ウォルトウィスキー、将棋の様な文具・・・逆に向こうから仕入れるのは塩、紙、パイプの葉等々専売局絡み。

 各々に卸すとしたら幌馬車代が大変です。

 なので、それを一元化して輸送事業、宅配事業という輸送に特化した部署は作れますか?

 という企画案です。

 3都市にしたのは物流が多い可能性があったためです。

 聞いた話によると専売局も経済局も紙には紙で、茶葉には茶葉でそれぞれ幌馬車を用意し、穀物には穀物で用意をしていると言っていました。

 無駄じゃありませんか?」

「いや・・・無駄と言われるとそうなんでしょうけど・・・」

アリスが悩む。

「んん~・・・タケオさん、私達のメリットは何?」

「一元化する事で気軽に3都市間で物を送れるという物流量の増加。

 それに混載をする事による輸送費用の低減と売り上げ増。」

「逆にデメリットは?」

「各都市の集荷場から各店、各家庭に送り届ける方法の模索。

 品物の中身を見ないという守秘義務と確実に届けるという信頼性の確保。」

「・・・無理だわ・・・」

レイラが聞き終えてガックリとする。

「今は各家庭は除外するとして・・・各店に届けるのは仕分けをするって事でしょう?

 絶対その時に情報が洩れるわよ・・・さらに買収がされていれば敵対店に何かするかもしれないし・・・

 輸送中の信用保証なんて各品物に出来ないわよ・・・

 タケオさん、この案は棄却ね。まだ時期尚早よ。」

レイラが郵政事業を却下するのだった。



ここまで読んで下さりありがとうございます。

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