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第860話 そう言えばあの人達なにしてるの?3(ウィリプ連合国の間者と鈴音の奮闘。)

ここはウィリプ連合国 アズパール王国に面したファルケ国の街中。


「あ~・・・夕陽を見ながらの酒も良いなぁ。」

ルイ・セイジョウがテラスでワイン片手にのんびりとしている。

「・・・アズパール王国の監視に見られてるが?」

眼帯をしているバロールがセイジョウの横の椅子に座り本を読みながら言ってくる。

「見せつけているんだよ。それぐらいわかってよ。

 それにここはもうアズパール王国ではないんだよ?

 勝手に手出しはしないだろうし、お仕事ご苦労様って感じだね。」

「ところで本国に報告書は送ったのか?」

「・・・え?送ってないの?」

「何も?」

バロールとセイジョウがしばし見つめ合う。

「・・・うん、今から書こうかな!」

セイジョウが伸びをしながら言う。

「・・・減給・・・」

「不穏な事を言うんじゃありません。

 良いんだよ。それにおっちゃんの尾行をしたいしね。

 それまでの休暇だよ、休暇。」

「は?潜入しか取り柄が無いのに尾行?

 片腹痛いわ!」

「おい・・・俺の精霊なのにその言い方は何よ?」

セイジョウがジト目で見る。

「正直な感想だな。

 今回は成果は何もない・・・穀潰しが!」

「おぉう?凄い言い方だな!?

 ってかそれってお前の神話にはない言い草だろうが!?」

「・・・はて?」

「『はて?』じゃないよ!

 まぁいいや・・・報告書書こうっと。」

セイジョウが室内に戻っていく。

バロールも続いて室内に帰って来る。

「よう♪」

以前アズパール王国で仕事をした2人が室内に居て片手を上げて出迎えてくれる。

「あんた達か。

 どうしたの?」

「いや、奴隷船がまた来るみたいでな。

 警戒しに来た。」

「・・・いや、あんた達買わないじゃん。」

「まぁそうなんだがな。

 溜まりを作るのも飽きてな。息抜きだ。」

「今回はどこに居たの?」

「いつも通りアズパール王国。俺らの担当だしな。」

「ふーん。で?」

「いや、お前が駆け抜けて行ったのを見たからな。

 のんびりと追っかけて来た。」

「そう・・・関では何かあった?」

「いや?お前が兵士達を引き連れているのは見たが、その後の関では普通に通れたぞ?」

「そう・・・そっちの仕事は?」

「ちゃんと終わった。」

「そう・・・じゃあ今から報告書書くから持って行って。」

セイジョウが机に向かう。

「・・・別料金・・・くれ。」

もう一人が呟く。

「まけてね。」

「要相談・・・安くない・・・」

「わかったよ・・・さて書くか。」

セイジョウが渋々作業を始めるのだった。


------------------------

ここはステノ技研の製図室。

「で・・・出来た?」

鈴音がミシンの概要図を見ながら呟く。

「ここは・・・問題ない。

 糸の通りは・・・たぶん平気。

 この機構の説明文は・・・うん、行けると思う。」

鈴音は指さしながら各説明項目の確認をしている。

「スズネ、出来たの?」

テトが隣の椅子の上で朝霧(青)に座りながら聞いて来る。

「うん!テトちゃん・・・終わった!

 これをサテラ製作所に持って行かないと!

 納期間に合ってる!?」

「ええ。前に私に言った1日前よ。」

「よし!すぐに持って行って説明してくるよ!」

鈴音が立ち上がり図面を丸め始める。

「え?今日行くの?」

「うん!すぐに説明しないと忘れそう!」

「・・・まぁ良いわ。」

テトが飛び上がり鈴音の胸ポケットに入り込む。

「図面持った!説明資料持った!テトちゃん持った!」

と鈴音が駆けだそうとするとサリタが製図室に現れる。

「あれ?スズネ。夕食・・・」

「あとで!行ってきます!」

「あ!テイラーさんに言うんだよ!?」

「はーい!」

鈴音は製図室を飛び出していく。

「そっかぁ出来たかぁ。

 ん?あれ?朝霧ちゃん?」

サリタがそう言うと朝霧(青)がサリタの足元に来る。

「置いてけぼりかな?

 スズネが戻るまでこっちにおいで。」

サリタが朝霧(青)を手ですくい上げて食堂に向かうのだった。


------------------------

1階のテイラーの店。

ドタドタと鈴音が走り込んでくる。

「テイラーさん!サテラ製作所に行ってきます!」

「え?こんな時間に?」

「ミシンの図面が出来たので行ってきます!」

「う・・・うん、はい。」

テイラーは鈴音の剣幕に押される。

「じゃ!」

鈴音が店の入り口から出て行く。

「あ、僕も一緒にいきますよ!」

テイラーも慌てて上着を取って鈴音の後を追いかけるのだった。


鈴音が走り込んでから出て行くまであっという間に過ぎて行ったのだが。

「ふむ・・・店じまいをするか。」

残されたニオがカーテンやら戸締りを始める。

「そうか、ミシンかぁ。

 上手く物になっていると良いのだがな。」

ニオがしみじみと呟く。

「そう言えばテトの気配がしていたな。

 まぁテトが付いているなら迎えも不要という物か。

 さて、我は寝るかな。」

ニオは明かりを消して店の奥に飛んでいくのだった。



ここまで読んで下さりありがとうございます。

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