第852話 報告。1(各精霊の事。)
ここはエルヴィス家の客間。
エルヴィス爺さんとフレデリックが彩雲の持ってきた報告書を読み終えていた。
「・・・」
「・・・」
夕霧はそんな2人を見ている。
時雨と初雪は来ていない。
「はぁ・・・
これはどうなんなのじゃ?」
「王家への祝福が盛大にされたのでしょう。
そう捉えれば別になにも。」
「・・・順番が違うと思うがの。
精霊が決まって、懐妊が発覚したのかの。
あぁ、まぁ国が安定するなら問題ないのだろうの。」
「ええ。
私達の問題事としては・・・まぁタケオ様やアリスお嬢様、スミス様への精霊はどうとでもなるとして・・・
ジェシーお嬢様ですね。」
「やっとじゃの。
正式には明日朝辺りにうちで、明々後日辺りにフレッドの所に正式に報告が行くだろうの。
・・・それにしても同い年に殿下4名か。面倒そうな寄宿舎生活になりそうじゃの。」
「ですね、気遣いが大変そうです。
お祝いの品はどうしましょうか?」
「第3皇子一家とフレッドの所で良いじゃろう。
内容はロバートの時と同じで。」
「畏まりました。
明日の正式報告を受領ののちに発送をいたします。」
「うむ。
あと、スズネとテイラーを精霊と一緒に来るように伝えてくれるかの?」
「この内容を教えるので?」
「うむ。知らなくても良いかもしれぬが、知っておいて損はないじゃろう。
各々相性という物はあると思うからの。
いきなり会うよりも事前に知っていた方が準備が出来るだろう。」
「畏まりました。では
呼びに行かせましょう。」
フレデリックが退出するのだった。
・・
・
しばらくして鈴音とテイラー達がやって来た。
そして客間に通され、先頭をクゥとタマが堂々と入ってくる。
その後ろにテイラーと鈴音。そして両名の肩に各々の精霊が座っていた。
「きゅ♪」
「ニャ。」
「おぉ、クゥとタマも一緒だったのじゃな。
毎日の散策、ご苦労じゃ。」
「きゅ。」
「ニャ。」
2人とも頷くとソファの1つに2人とものり、丸くなって座る。
「伯爵様、お呼びと伺いまいりました。」
テイラーが言うとスズネも会釈をする。
「うむ、呼んですまなかったの。
王都のタケオから連絡があっての。
お主達というより、ニオとテトにお知らせじゃ。」
「私にですか?」
「我にですか?」
2人とも各々の契約者の肩から机に降りて来る。
「うむ、これじゃが。」
エルヴィス爺さんが紙を2人の前に出す。
「はい・・・
あ、この間の奴ですね。
ニオ、これ。」
「うむ。我らもこれらが実体化したのは感じたな。」
「ほぉ。
実体化すれば感じるものなのじゃな?」
「はい。
どこで実体化したかはわかりませんが、呼ばれ契約したのはわかっています。」
「この中で来るのが木花咲耶姫殿、摩利支天殿、パラス殿にパナケイア殿か・・・
テト、ドゥルジがおらぬ。」
「あ、ホントだ・・・んー・・・他国なのね。
まぁ契約は特殊条件だろうし・・・こっちに居なくて良かったわ。
え・・・アモールが陛下付き?・・・大丈夫かというよりどんな経緯なんだろう。」
「うむ。
いろいろ思う所があるのじゃな。
そうじゃの・・・かいつまんで各精霊の概要は言えるかの?」
「概要・・・まぁ大まかな所は言えるとは思いますが、実際の魔法仕様だったりしたい事というのはわかりません。」
「構わぬよ。
わしらも詳細は会ってからになるじゃろうが、概要は知っておきたいのじゃよ。」
「はい。では・・・木花咲耶姫殿から説明します。」
テトが話始めるのだった。
・・
・
「つまり・・・この中で問題なのがアモールという精霊なのじゃな?
じゃが、幼女が好きとは・・・変人がおるの。」
「良く言えば純愛の化身なんですけど・・・やたらと人と人を結び付ける癖があるので管理が大変です。」
「良くそんな精霊を陛下は傍に置いたの。」
「性癖以外は真っ当ですからね。
それよりも・・・カリテスのパイディアーが問題です。」
「何が問題なのじゃ?」
「いえ、このレイラの子と書いてあるのですが、妊娠中なのに契約したのですよね?」
「うむ、そう言う事になるの。
妊娠したのが、第1皇子妃のセリーナ殿下、第2皇子妃のリネット殿下、第3皇子妃のアルマ殿下とレイラじゃの。
そして精霊が付いたのがそこの10名じゃ。」
「・・・普通は対面してからの契約をするのですけど。
妊娠中の腹の中というのは・・・ニオ、これは平気なの?」
「人間には無理だろうな。」
「・・・だよね。」
「という事はどういう事なんでしょうか。」
「・・・わからないな。
実際は生まれて成長してみてわかる事だろう。
我はその辺は言う必要はないと思う。発覚してから考えれば良い。
今からそうだと決めつけるのは頂けない。変な期待も不安もさせる必要はない。」
「そうだね。
なら私達の推測は言わないでおこうか。」
ニオとテトが頷く。
「ふむ・・・まぁ良いがの。
今は各々の子供がしっかりと生まれてくることが国家の為じゃ。
特にレイラとジェシーには気をかけないといけないの。」
「はい、主。」
フレデリックが頷く。
「にゃ?」
タマが首を傾げて鳴く。
「ん?なんで2人に目をかけるのか気になるのかの?」
「にゃ。」
もうなんだかんだ言ってエルヴィス爺さん達は通訳なしで大概の意思疎通が出来ていた。
「レイラもジェシーもアリスの姉じゃ。
なのでわしの孫じゃ。ひ孫が誕生じゃぞ!」
「にゃーー♪」
「きゅーー♪」
タマとクゥが鳴く。
「うむうむ。
2人ともありがとうの。
あとは3月のタケオとアリスの挙式を終わらせ2人の子供を待つばかりじゃ。」
「伯爵様、おめでとうございます。」
「「「おめでとうございます。」」」
テイラーとニオ、鈴音とテトが礼をする。
「うむ。
だが、浮かれていると怪我をするものじゃ。
気を付けて行かないといけないの。
テイラー、スズネ。
これが文官達に伝達されるのは明日以降じゃ。
当分は文官達も浮き足だつだろう。
お主らも気を付けて対応してくれるかの。」
「「畏まりました。」」
「うむ。ではアリス達が帰ってきてからまたこの話をしようかの。
そう言えばタケオから依頼されている物は出来て来ておるかの?
何か必要な物があれば言えば用意するぞ?」
「いえ、どの案件も現状では外形等が出来て試作が始まったばかりです。
今は何も伯爵様のご援助は必要ないかと。」
「うむ、わかった。
あまり考えこまぬようにの。」
「「はい。」」
「うむ、以上だ。
4人ともすまなかったの。」
エルヴィス爺さんが締めくくるのだった。
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