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第848話 へぇ。そうなんだ。

アリス達一行は部屋の下見が終わった為、寄宿舎を後にして街中でご飯を取っていた。

もちろん各精霊達が居るので個室タイプの店に居る。


「はぁ・・・とりあえずこれでスミスとジーナちゃんが寄宿舎に入れそうね。」

アリスが安堵のため息を付く。

「これで確定ですね・・・

 4月からの寄宿舎、大丈夫なのかしら・・・」

エイミーは手を顔の前に組んで顎を乗せてボーっとしている。

「んー・・・ジーナ、ベッドと勉強机はどう置くのが良いのかな?」

スミスは自分が先ほど書いた部屋の間取りを見ながら考え込んでいた。

「スミス様、ここがベッドでここに机がありました。」

ジーナが横から何か言っている。

「やはりそうなんだ・・・この部屋の大きさだとあまり配置の自由はなさそうだよね。

 これが標準的な配置なのかな?今日見た中のなの?」

「はい。エイミー殿下の配置です。」

「ちょ!ちょっと待って!

 ジーナ!なんで私の部屋の構図をスミスに教えちゃうの!?」

気を抜いていたエイミーが席を立って驚いている。

「いえ・・・お付の方が『エルヴィス殿に教えちゃってください♪』とか言っていましたので。」

「あ・・・あの野郎・・・」

「エイミー、お付は女性だから野郎ではないでしょ。

 というよりスミスの前よ?」

「あ・・・

 後で説教をしてやります。」

エイミー赤くなってそっぽを向く。

「うん。

 で、話を戻すとやはりこの配置が良さそうなんだよね。」

スミスは図太くなったのか見たことをなかった事にしたのか・・・エイミーの発言をスルーしてジーナに話しかける。

「はい。エイミー殿下もお付の方の部屋も同じ感じでした。

 お父さま、他にありますか?」

「そうですね。

 ベッドの向きをこちら側にして足元に本棚と言うのはどうでしょう。」

ヴィクターが鉛筆で書き込む。

「んー・・・入っていきなり横にベッドかぁ。

 案としては面白いし、この隙間にも本棚を置けば本に囲まれる形が出来るのですね。

 書斎だったらベッドの代わりにソファセットを置くと確かに良いかも。

 でもベッドだと違う気がするなぁ。」

スミスが腕を組んで悩む。

「主、こちらの窓際にベッドを持って来て、奥に机というのはどうでしょう?」

マリがヴィクターが書いた物を一旦消して自分の案を書く。

「ん~・・・なるほど。

 入っていきなりベッド。でもベッドを通り過ぎれば、奥が自由に使えるのか。

 んー・・・部屋の扉を開けたら僕が寝ているのがばれるね。」

「スミス様、寝相が悪かっ・・・あ、なるほど。そうですね、それは嫌ですね。」

ジーナが途中からウンウン頷く。

「・・・ジーナ?何を思い浮かべましたか?」

「スミス様、ご主人様みたいな口調はおやめください。

 いえ、朝起こしに行って同衾しているのがばれるのは確かに体面が悪いですよね。

 やはり相手を隠す時間は必要でしょう。」

ジーナが普通に返す。

が、その場の精霊とヴィクター以外の面々が固まる。

「・・・うん、ジーナ、何を言っているのかな?

 僕が同衾とかするわけないよ。」

「・・・わかりました。」

ジーナが割とすんなりと頷く。

「そうよ、ジーナちゃん。

 スミスは引きこもりなんだから友達が出来るかもわからないのに女の子を連れ込む度胸なんてないわよ。」

「お姉様が僕をどんな風に見ているかわかりました。

 僕だって頑張るつもりですよ。」

「節度は守ってよ!?」

アリスがスミスの言葉に驚く。

「当たり前でしょう?

 僕が言っているのは友人作りです。」

「あ、そっちか。悪友もほどほどにね。」

アリスがホッとしながら言う。

「悪友ですか?・・・何が善友で何が悪友なのか全くわかりませんけど。

 とりあえず友人作りを頑張ります。」

「友人ねぇ・・・」

エイミーが目を細める。

ちなみにエイミーはジーナの発言で一番最後まで固まっていた人です。

「え?エイミー殿下、友人作りは出来ないのですか?」

「出来るとは思うわよ。

 ただねぇ。やはり貴族と豪商の子弟ばかりだと・・・何だかんだ軋轢や派閥化したりする物なのよね。」

「・・・面倒そうです。」

「そこについては当人達で何とかしないといけないわね。

 パットや私の時はどちらかといえば安定していたのは確かなんだけど。

 今年は王都のグレースとスミスだからなぁ・・・」

「簡単に考えれば王都派と地方貴族派ですか?」

「スミス、わかっているのね。

 そうよ。今予想されているのはグレース率いる王都派と、エルヴィス家とアルダーソン家の地方貴族派との対立よ。

 王都派というのは王都住まいの一般生徒達ね。

 地方貴族はスミスとアルダーソン・・・ボールドはスミスと縁があるからスミス派ね。

 だけど人事局が何やら動いているように思うのよね。

 一般の生徒がいる方の部屋替えなんて貴族会議では決めないはずだもの。

 それに部屋割りを教えて貰ったけど、女子側を若干多くしている節がある。

 ・・・騎士団辺りの娘達に声をかけている可能性があるわね。

 これはまぁジーナが入るからというのもあるのだろうけど・・・私はグレース対応とも考えているわ。

 騎士団連中の勢力がスミス達に加勢すれば拮抗出来るはずよ。

 もしくは第3勢力を作って均衡を作るかも・・・現状では判断は難しいわね。」

「・・・だって、ジーナちゃん。」

アリスがジーナに振る。

「私の為の布陣ですか。

 アリス様が第2騎士団と拮抗したのならエルヴィス家、キタミザト家の為に私も負けるわけにはいかないのでしょう。」

ジーナがやる気を見せる。

「いやいやいや、戦場ではないのよ。

 ほんとうにごめん。ジーナ、やめて。私達が何とかするから。

 寄宿舎内で何とかもめないようにするから!」

エイミーが泣きそうになりながらジーナを押しとどめるのだった。



ここまで読んで下さりありがとうございます。

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