第846話 寄宿舎でのエイミーの苦労。
こちらは寄宿舎組。
無事、スミスもジーナも受付を終了させていた。
ジーナはエイミーとスミスの間の203号室、スミスは204号室になっていた。
アリスとジーナ、精霊達を含めた女性陣はまずエイミーの部屋を見ているのだが。
「あ・・・エイミー殿下、下着が・・・棚から出ていますが。」
ジーナが指を指しながら言ってくる。
「いやぁぁぁーーー!!昨日しまったはずなのに!!」
「うわぁ・・・エイミー殿下、もうそんな下着を・・・」
アリスがエイミーの大人下着に目を見張る。
「違うんです!これはお付の女性が買って来てくれて!
私は!まだ!穿いてもいません!」
エイミーが慌てて下着を仕舞う。
「ねぇコノハ、エイミーの下着・・・大人っぽくする必要あるかな?」
「普段は実用性重視で良いんじゃない?
スミスに見せる時はもう!それは!凄い!
男が喜びそうな物にすればイチコロでしょう?
下着は女性の武器だしね♪2組くらいは必要かもね。」
アルとコノハが何やら話しているが皆には聞こえていない。
「ジーナ、私達の部屋はどうするの?」
「お付の方の部屋を見てからになりますね。
・・・派手な下着はいりませんね。」
パラスとジーナが場を見ながら言っている。
今日も平穏です。
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こっちは男性陣。
204号室のスミスの部屋。
「何もない部屋ですね。」
スミスが自室を見ながら言う。
「なるほど、いつぞや主がスミス様とハワース商会に行ったのはこの為なのですね?」
「はい。
えーっと、これが問題のクローゼットですね。」
スミスがクローゼットを見る。
「問題なのですか?」
ヴィクターが聞き返す。
「奥行きが今売られている家具よりも浅いそうです。
・・・見た目では何となくとしかわからないですね。」
「スミス様、メジャーになります。」
「はい。ありがとう、ヴィクター。
じゃあ改めて採寸して行こうか。」
「はい。」
スミスとヴィクターが採寸していく。
「・・・」
マリは窓の外を見たり、天井を見たりと何やら確認しているのだった。
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再びエイミー達。
エイミーのお付の部屋を見てから203号室に来ていた。
「・・・ジーナ、この部屋淋しいですね。」
「何も買っていませんからね。
パラスは・・・今の大きさ(ミアと同等の体格)でドールハウス住まいで良いのですよね?」
「はい、大きくなる必要はありません。」
「なら机とベッドとドールハウスですね。
あとは衣装の収納をする為に棚を多く用意して・・・」
ジーナが考える。
「うん。ジーナちゃん、私達は先にスミスの方に戻るから後から来てね。」
「はい。すみません、アリス様。
想像が出来たらすぐに向かいます。」
アリスがジーナが考えるのを見て「想像したいよね」と皆と一緒に退出していく。
・・
・
「さて。」
想像を終えたジーナが呟き、クローゼットの一角を見ながら呟く。
「えーっと・・・ご主人様から伝言があるんですよね。」
ジーナがポケットから紙を出し中を確認する。
その手紙は「部屋に付いたら開けて読みなさい」と武雄が朝食時にジーナに渡していた。
「そうですか・・・この寄宿舎の主。
あの天井裏に居るのがそうなのですね・・・」
ジーナは何か天井裏に居るのはわかっていたが、降りて来ないので注意だけ向けていた。
「ジーナ、あの魔物をどうするのですか?
私達に危害は加えられないと思うけど。」
パラスも気が付いているようで目線をジーナに向けながら言ってくる。
「そうですね・・・威圧しておきますか。」
ジーナが軽く頷く。
「ジーナも出来るの?でもあれは交渉時用でしょう?」
「・・・私の場合は魔眼ですけどね。」
「へぇ~・・・へ?」
パラスが呆気に取られる。
「あれ言っていませんでしたか?」
「聞いてないよ!」
「私とアリス様は魔眼持ちですよ。威圧だけですけどね。
パラス、離れてください。変身もしますからね。」
「あ、そうかジーナは獣人だったっけ。」
パラスが窓際に飛んでいく。
ジーナは軽く頷くと深呼吸をして気合いを入れる。
「そこの者、出て来なさい」
そう静かに呟くとジーナは体長2mくらいの銀毛の狼になり魔眼を発動し、威嚇するのだった。
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こっちはスミスの部屋。
「「「!?」」」
アル、コノハ、マリが一斉に隣部屋との壁を見て壁際に飛んでいく。
「どうしました?コノハ。」
「どうしたの?マリ。」
「アルも、と言うか今の何でしょうかね?」
精霊付き3人が一斉に聞く。
「いや、隣から瞬間的ですけど・・・
あ!隣はジーナだけでしょう!何があったのか確認に行かないと!」
コノハが言ってくる。
「大丈夫ですよ。
何かあればもっとドタバタするだろうし。」
アリスが普通に対応する。
「いや、尋常ならざる威圧を感じましたが。」
マリが聞いて来る。
「あ~。あれ、ジーナちゃんの魔眼よ。」
「「「ま・・・魔眼?」」」
3人の精霊がアリスの方を見る。
「ええ。私と一緒のね。」
とアリスが3人に対して魔眼を発動するが直ぐに止める。
「・・・アリスとジーナ、魔眼持ちだったの?
聞いてないわよ?」
コノハがジト目で聞いて来る。
「言っていませんでしたか?
まぁとりあえず私とジーナちゃんは魔眼持ちですよ。」
「はぁ・・・改めてエルヴィス家のお付は最強ですね。
アリス様と同様の資質持ちですか。」
「私は突然変異、ジーナちゃんは・・・生まれつきなのかな?
その辺は何も聞いていないですし・・・あとで聞いてみますかね。」
「アリス、それで良いの?」
コノハが聞いてくる。
「タケオ様がそもそも良いと言っているなら良いのです。
ジーナもヴィクターもタケオ様の部下ですし、キタミザト家の家族です。
何かあれば言ってくるはずです。信用して待ってあげるのも家族でしょう。」
「アリス様、ありがとうございます。」
ヴィクターが恭しく頭を下げ感謝するのだった。
ここまで読んで下さりありがとうございます。
 




