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第842話 87日目 今日は終わり。

夕飯も終え、アリスと武雄はベッドでゴロゴロしていた。

チビッ子達は今はぐっすりです。

「はぁ・・・今日も一日濃かったですね。」

「まぁいつもの事ですけどね。

 明日は私はのんびりです。」

「ニール殿下領から来るのですね?」

「らしいですね。

 まぁアルマさんとレイラさんが不満顔だったのは無視しましたけど。」

「『なんでこっちにも教えないかなぁ?』という顔をしていましたね。」

「ええ。

 ですけど、ウィリアムさんの所の料理人決まったのですかね?」

「ん~・・・言ってこない所を見ると決まっていないのではないかと捉えるべきですかね。」

「さて・・・候補とするならエルヴィス家(うち)か王城でしょうか?

 でもうちはタケオ様の喫茶店がありますからね・・・ん~・・・」

「要請があればエルヴィスさん達で検討ですね。」

「あ、そういえばタケオ様とスミスが厨房に行っている間にジェシーお姉様とレイラお姉様とでライ麦の購入量の話をしていました。」

「どうなりましたか?」

「ジェシーお姉様は王城と同じ480kg、レイラお姉様は720kg程度になるだろうと。

 価格は問屋経由で市場価格でいこうとなりました。」

「なるほど。

 エルヴィス家は穀物の確保だけですね。」

「はい。

 その辺は明日の朝一でスミスの料理長との交渉結果と一緒にお爺さまに伝文を送っておきます。」

「そうですか。

 速達で?」

「速達?」

「通常よりも早く送るのですか?」

「・・・あぁ、はい。

 レイラお姉様もジェシーお姉様も送るそうですので一緒に送ります。」

「なるほど。

 さて、明日の為に寝ますか。」

「は~・・・ん?

 お尻に手を当てられても今日はしませんよ。」

「は~ぃ・・・」

武雄がアリスに背を向ける。

「うりゃ、させないように抱きついておきます♪」

アリスが武雄を後ろから抱き締める。

「うっ・・・これは・・・凄く寝づらいです・・・」

「えへへ♪

 さぁ!解いてみるが良い!」

「えぇぇ?そういう事ですか?」

武雄は「上から抱かれているのを解くには腕を上に上げれば良いというのが定番だよね」と思う。

武雄とアリスは寝る前の運動を始めるのだった。


------------------------

こっちは第3皇子一家の執務室。

ウィリアムは湯浴み中。

エリカは湯浴み後に武雄と話した内容をアルマとレイラに話していた。

もちろん2人とも湯浴みは終わっている。

「あは、それで悩んでたんだぁ。

 あまり気にすることないのに。

 失敗したからといって辞めさせたりしないですよ。

 むしろその経験を糧にしてもっと仕事して貰わなきゃ!」

とレイラに笑われ「私の悩みは小さかったのか」と脱力したり恥ずかしかったり・・・素直に落胆している。

「エリカさん、それ人間として当たり前の不安だからね?

 恥ずかしがる事でも何でもないわよ。

 失敗したら確かに損失はあるだろうけど、新規事業の立ち上げ方法やその注意事項は手に入るからな~・・・無駄ではないのよね。

 それに立ち上げ時期の今新しい事に挑戦するのはエリカさんや局長達にとって重要な事だと思うのよ。」

とアルマにも諭される。

「エリカさんがなるなら皆なってますかね。

 定期的に全局長を集めて皆で不安を言い合う会を開催しないといけないかなぁ?」

とレイラが思案顔をしたりしている。


実際はエリカが湯浴みに行っている間の事。

ウィリアムはアズパール王の所に行っていた時の話。

「やはり優しく諭してみる?

 『私達も一緒』だとか言って。」

「でもアルマお姉様、タケオさんに諭されたなら追加で諭されると落ち込まないですか?

 私達は『どーん』と笑い飛ばすべきなのではないでしょうかね?

 『くだらない!小さい事は気にするな!わはは』みたいに。」

「いやレイラ、『くだらない』という文言はダメよ。

 それだとエリカさんを否定しちゃうわ。」

「確かに。なら・・・『それで悩んでたんですね』とか言って不安で悩んでいる事自体の重要度を下げるというのも良いんじゃないですかね?」

「ん~・・・それも良いかもね。」

「・・・アルマ殿下、レイラ殿下、エリカが戻ってきました。」

パイディアーが扉を見ながら言う。

「え?もう!?

 くぅ~・・・こうなったら出たとこ勝負ね!レイラ。」

「はい、アルマお姉様。臨機応変に。」

アルマもレイラも武雄からの報告を元に打ち合わせ済みなのだった。


「まぁ、夕飯前のお茶の時間でも使って各局長を招いての座談会は定期的にしましょうか。

 ところでレイラ、エリカさん。」

「はい?」

「何でしょうか。」

「料理人どうする?」

「あぁ~・・・」

アルマの質問にレイラが斜め上を見て、エリカは「何が問題なの?」という顔をする。

「あ、エリカさん、実は第3皇子一家(うち)専属の料理長が決まっていないのよ。」

「はい?」

「文官と武官は決めたのよ。

 でも・・・料理長を決め忘れてたわ。」

「・・・いつ気が付きましたか?」

「さっき。タケオさんとニール義兄上の話を聞いていて『私達の料理人も参加させて!』て言おうと思ったら決めていない事を思い出したわ!」

アルマが堂々と言う。

「・・・」

エリカは何も言わずに額に手を当てガックリとしている。

「まだ異動自体は先ですしね~。

 もう少し後で決めようと思っていたのは確かですよね。」

「候補は王城とエルヴィス家とテンプル家ですか?」

「そうね、最初はそう思っていたんだけど・・・

 2人とも第2皇子一家の所から来て貰うってのも手だと思わない?」

「なるほど。魚醤や他のレシピを向こうで教え込んで貰ってこっちに来て貰えれば習いに行く必要がないですね。」

レイラが頷く。

「それは流石に見え見えではないですか?

 見返りは何を用意しますか?」

「そうだなぁ・・・

 例えばエルヴィス領のライ麦とかを安く卸せたりすれば・・・向こうはどの道第1皇子一家領の近隣から買うのでしょう?

 これならいけるんじゃない?

 そして向こうの大豆だっけ?新種の穀物をうち経由で3貴族領に卸せる経路があれば絆を保っておきたいと考えると思うのよ。」

アルマが考えながら言う。

「はぁ・・・先ほどこれを渡されました。」

エリカがアルマの前に手紙を置く。

「これは?」

「タケオさんからの企画案です。」

「もう?1つ目が終わってないわよ?」

アルマが呆れる。

「エリカさん、何が書いてあるの?」

レイラが楽しそうに聞いて来る。

「途方もなく面倒な事です。」

エリカがため息を付く。

「ふーん、じゃあ見てみようか。」

「たぶん、明日に持ち越した方が良いです。

 今見ると寝られないと思います。」

「「・・・明日にしようか・・・」」

アルマとレイラが怖気づく。

「はい、その方が良いですね。

 これはまた明日お見せします。」

エリカが苦笑しながら武雄からの手紙をしまうのだった。



ここまで読んで下さりありがとうございます。

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