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第835話 ライ麦の交渉価格。7(アルマに報告。)

一通り話をして武雄はアルマの横に座る。

「タケオさん、お疲れ様・・・どうだった(・・・・・)?」

アルマが何の気なしに聞いて来る。

「あの状態・・・わかっていましたよね?」

「ん~・・・レイラとは意見を言っていたのよ。

 注意して見てはいたんだけどね。

 どっちか判断付かなくてね・・・タケオさんに相談すれば良いかなぁとは思っていたんだけど。」

「人が来るかとか成功するかとか不安で堂々巡りをしていました。

 あの状態は結構危ういと思います。」

「そっか・・・」

アルマが考える。

「一応、幹部の不安は一家全体の問題だからまずは3人に話して、それで解決しないなら局長達とも話をしてみてはどうかとは言っておきました。

 それに一番の不安を感じているのは殿下達だとも。

 気が少し晴れていればそのうち相談に行くのではないでしょうか。

 来ないなら、アルマ殿下、お願いします。」

「・・・タケオさん、ありがとう。

 そこはわかっているわ。原因を聞き出してくれただけでもありがたいのよ。

 私達が聞くと無理に『大丈夫』とか言いそうでね。

 これで動けそうよ。」

「根本は役立たずと見られる事への不安のようですけどね。」

「それって誰でもかかる・・・病気の一種よね。

 私も経験あるし。ま、子供が出来て和らいでいるけど。」

「泣いてからの歓喜の腰抜かし。」

「ごめん、タケオさん、それ忘れて・・・」

「お子さんが大きくなったら言わないといけませんね。

 味付けは・・・薄めにしますかね。」

「くぅ~~!タケオさんがからかう材料を与えてしまったわ!」

「良い話なのに。

 レイラさんに頼んで伝記物を作りますかね。」

「レイラなら私の意見を取り入れて・・・入れてくれるかなぁ・・・」

アルマががっくりとする。

と、スミスとエイミーの対局が終わったようで。

「・・・スミス・・・もう1回・・・お願いします・・・」

エイミーが顔を伏せながら言っているのがわかる。

「あっちは終わったようね。」

「始まったようにも感じますけども・・・ちょっと行ってきます。」

「はいは~い。」

武雄はアルマに見送られてスミス達の下に行く。

・・

「・・・わかりませんね。」

武雄は終わった盤面を見て呟く。

四角は全部エイミーが取っているが、4隅の列で1つもエイミーの駒が残されていなかった。

目の前でやられているのであり得るのだろうが・・・1つも取れないなんて・・・狙えばあり得るが勝負を考えればしないはず。

なのにエイミーが勝っているという不思議。

武雄はこの勝負がどういった経緯なのか全くわからなかった。

「タケオ様、凄かったんですよ。」

アリスがちょっと呆れながら言ってくる。

「まぁ・・・あれは凄いわよね。」

「そうね。」

レイラもジェシーも呆れていた。

「?・・・何があったので?」

「んー・・・お互いに緊張していたのもあるけど・・・なぜそこに打つのか意図がわからない。

 ミスに次ぐミスを連発してね。

 気が付いたらこうなっていたわ。」

ジェシーが言う。

「・・・はぁ・・・緊張をする場面で思考を止めないように訓練させたかったのに・・・」

武雄がでっかいため息をつく。

「タ・・・タケオさん!すみません!

 次こそはちゃんとします!」

「ぼ・・・僕もしますから!ちゃんと次はします!」

エイミーとスミスが武雄の落胆ぶりに慌てる。

「わかりました。

 まぁ要領はわかったでしょうから。

 エイミー殿下、お願いします。」

「はい!次こそは平気です。

 さぁ、スミスするわよ!」

エイミーは心を入れ替えて返事をする。

「はい・・・」

スミスが弱々しく返事をするのだった。


「タケオさん、タケオさん。」

スミスとエイミーが真面目に再戦を始めると同時にアンとクリナが武雄に近寄って話しかけて来る。

アンはリバーシを抱えていた。

「どうしましたか?」

「タケオさん、勝負しませんか!?」

アンが武雄に勝負を挑んでくる。

「勝負ですか?」

「はい!私が勝ったらスイーツを作ってください!」

「・・・料理長に頼めば作ってくれると思いますけど?」

「タケオさんに作って欲しいのです!」

「ふむ・・・私が勝ったらアン殿下とクリナ殿下は何をしてくれますか?」

「う・・・」

アンは武雄が条件を付けるとは思わなかったので躊躇する。

「まぁ私が勝ったらアン殿下とクリナ殿下は特訓ですね。」

「「と・・・特訓ですか!?」」

「ええ。

 アウクソー、カリス、ちょっと良いですか?」

「「はい。」」

精霊2名が返事をする。

「2人ともアン殿下とクリナ殿下に付きっきりで教えた場合、お茶の淹れ方を完璧にマスターさせる事は出来ますか?」

「・・・期間はどのくらいでしょうか?」

カリスが聞いて来る。

「1日。」

「アンでは難しいかと。」

「クリナも同様かと。」

精霊2人が主に厳しい判断を下す。

「「・・・」」

アンとクリナが不貞腐れる。

「・・・では両殿下の父上、クリフ殿下とニール殿下が美味しいという判断を示すという条件ではどうでしょうか。」

「・・・一息付く時に飲みたいお茶で良いという判断なら可能です。」

「それなら半日あれば良いかと。」

「ではそれで良いでしょう。

 さてアン殿下、クリナ殿下・・・どうしますか?

 私との勝負ですが・・・そうですね。5回戦う内で3回連続で勝てばアン殿下達の勝ちという条件を付けたいのですがいかがでしょう。」

武雄が起伏を付けずにさらりと言う。

アリスとレイラとジェシーが「え?その条件マズいでしょう?」という顔をさせる。

「5回戦う内で3連勝すれば・・・良いでしょう!その勝負乗ります!」

アンが意気揚々と受けて立つ。

クリナは難しい顔をさせて首を傾げているが、アンが受けて立ってしまった為何も言わない。

ローナ達は「あ~ぁ、アンはまだまだだなぁ」と苦笑して見ているのだった。



ここまで読んで下さりありがとうございます。

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