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第825話 麦茶を試作しよう。

ここは王城内の皇子妃達が居る部屋。

「むぅ・・・」

アリスは不貞腐れてご機嫌斜めだった。


武雄達は会議を終えた後、王城に帰って来て皇子妃達に挨拶を行っていた。

武雄とスミスとヴィクターは厨房へ、アリスとパナとジーナは残ってさっきの会議の概要を話していた。

もちろんスライムに関する事は言ってはいない。

で、一通り説明を終えてアリスが不貞腐れていた。


「・・・アリス様が機嫌悪い。」

「だね・・・近寄らないでおこうっと。」

アンとクリナがコソッと打ち合わせをしている。


「はぁ・・・アリス、タケオさんの言う事はもっともじゃない。

 先に帰って挙式の準備をしないと間に合わないでしょう?」

「それはそうですけど・・・むぅ・・・」

「一緒に行きたいのはしょうがないよね~。

 私もウィリアムとレイラが里帰りを勝手にしていた時はその感じだったわよ。」

アルマが苦笑しながら言ってくる。

「あは、アルマお姉様ごめんなさい。

 急だったんですよ。」

レイラも苦笑をしながら言ってくる。

「ええ、それは知っているわよ。

 私はローナお姉様やセリーナお姉様の所だったしね。

 それにしてもタケオさんもちゃんと考えているわね。

 確かに私もレイラもジェシーも挙式に参列できないわね・・・・

 ジェシー、どうする?」

「流石に3月は子が安定しないならダメですね。

 旦那を行かせますかね。」

ジェシーがアリス達と一緒に清書した保健を見ながら言う。


「これ・・・凄いわね。

 ・・・コノハ殿、パナ殿、お茶はダメなの?」

セリーナも各皇子一家に1冊配られた保健を見ながら言ってくる。

「ん?どれですか?

 ・・・あぁ今飲んでいるお茶はダメですね。流産や死産の可能性が上昇しちゃいます。」

「お茶がダメだと何が良いのかしら・・・生水はちょっと怖いわね。」

リネットが考え込む。

「麦茶・・・はどうですかね。

 あとは針葉樹の葉をお茶に代用できますよ。」

「麦?小麦で良いの?」

「いえ、出来れば大麦が良いのですが・・・

 アリス、この地では小麦以外の麦は何がありますか?」

「え?・・・うちの領内ならライ麦を作っていますが。」

「ならライ麦から作れば良いでしょう。

 ライ麦を中火で炒れば良いのですけど・・・ちょっと時間がかかるかもしれませんね。

 あとでタケオに作って貰いましょうか。」

コノハが首を傾げながら考えているのをアリスが目を見張って止まっている。

「ジーナちゃん!」

「はい!アリス様!すぐにご主人様に教えてきます!

 皆様、一旦失礼を致します!」

ジーナもアリスと同じ考えだったのか即行動を起こし、足早に退出していった。

その様子を皇子妃達は「主従って似るものね」と楽しそうにする。

「・・・うちはアリスの所から仕入れようかしら。

 ライ麦はエルヴィス領で作っているし。」

ジェシーが考えながら言ってくる。

「まさか・・・お茶の代替品となるなんて・・・

 皆に報告しなきゃ。」

アリスが思わぬ収穫に密かに手を握る。

「アリス、麦茶は飲み慣れると美味しいけど癖があるから人を選ぶわよ?

 それにあまり大量に摂取してはダメですよ。

 ・・・まぁいいか、それは私達が見ていれば良いんだし。

 あと気を付ける事は妊娠中は一度の食事の量を減らし、食事回数を5回に増やすなどの対策をしてください。

 1日の摂取量は今までと同じで少量を数回取る事がお勧めです。

 それに味が濃い物もダメです。野菜も多めにとってください。」

コノハが説明をしていて他の皇子妃達も真剣に聞くのだった。


------------------------

こっちは厨房。

武雄は3日後の出立に向けて食材や調味料(ウスターソースとマヨネーズ等)を用意している。

「んー・・・キタミザト殿。

 明日、ニール殿下の所から料理人達が来て小さい厨房を借りると書かれてあるのですけど。」

料理長が何やら紙を見ながら武雄に聞いて来る。

「ん?・・・あぁ昨日の飲みの席でニール殿下に言われましたよ。

 私も立ち会いますが何か問題があるのですか?」

「いえ、特には・・・ですが、私達は立ち入り禁止になっているのです。

 何をされるのですかね?」

料理長は明らかに「キタミザト殿、何かしたでしょ?」と言ってくる。

「ニール殿下に教えたレシピの実践ですね。」

「あ、確か、前に第2皇子一家と第3皇子一家で話合いがされたのでしたね。」

「そうなのですか。

 まぁ1日中かかるでしょうね。」

「それほど手の込んだ料理なのですか?」

「いえ・・・いや・・・まぁ・・・とりあえず作ってみないと何とも言えないですね。」

武雄は微妙な表情をさせる。

「ふむ・・・キタミザト殿が言いたがらないとは大変な料理なのですね。」

料理長が頷く。

と厨房の入り口から「失礼致します。ご主人様はどこに居ますか?」とジーナの声が聞こえ、料理人に「あっちです」と言われてジーナが歩いてくる。

武雄は「ちゃんと覚えられているね」と確認する。

「ご主人様、ご連絡です。」

「ジーナ、お疲れ様。

 誰からの伝言ですか?」

「コノハ殿からライ麦でむぎ茶(?)という物を作って欲しいと。」

ジーナがメモ帳を見ながら言ってくる。

「私も妊婦や子供用に麦茶は作らないといけないと思っていました。

 そうですか、ライ麦でも良いのですね。

 わかりました。料理長、ライ麦はありますか?」

「穀物は全品種が倉庫にありますが、余り食べられないので・・・

 穀物は5kg単位で買うので最低5kgはあります。

 それ以上だと買いに行かないといけないかもしれません。」

「なら・・・全部出してください。

 穀物の費用は私が出します。」

「いえ、必要ありません。

 皇子妃方に出すのですからいりません。

 おい!倉庫からライ麦を全部出してこい。」

料理長の指示で数名が退出していくのだった。



ここまで読んで下さりありがとうございます。

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