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第816話 武雄の帰還。(どっから王城に入るのよ。)

王城の勝手口に荷馬車が止まる。

と武雄が荷台から降りて来る。

「・・・キタミザト殿、どうして荷台から?」

待っていた料理人が武雄に聞いて来る。

「いや・・・干物屋に行ったら『この後、王城に卸しに行くんですよ』と言われたので乗せて貰いました。」

武雄が「意外とお尻が痛いですね」と楽しそうに答える。

「はぁ・・・貴族が荷台から出て来るなんて聞いたことないんですけど。」

「なら今後もあるかもしれませんね?」

「キタミザト殿以外はしないでしょう。

 と・・・あれ?荷物が多いですね。」

納入される予定のリストと荷台の箱を見ながら料理人が感想を述べる。

「あぁ、少し私も買ったのです。

 で、料理長は居ますか?」

「はい。今は皆でデザートの思案をしていたはずです。

 厨房に居ますよ。

 キタミザト殿が買った物も厨房に運びますか?」

「はい、お願いします。

 なら私は先に入らせて貰いますね。」

「わかりました。

 搬入しておきます。」

武雄は料理人を置いて先に厨房に入るのだった。

・・

「お邪魔します。」

武雄の一言に皆が一斉に向く

「・・・勝手口から入って来る貴族はいな・・・いや随分昔に陛下がして以来か。」

料理長がため息を付きながら言ってくる。

「陛下がしているなら問題ないでしょうね。」

「・・・いや、あの時は外に遊びに行った帰りだったはずだが。

 まぁ良いか。で、キタミザト殿、どうしましたか?」

「ええ、干物屋に行ってきたので色々買ってきましたよ。」

「ほぉ、何を作るのですか?」

「・・・料理長、ちょっと。」

武雄が料理長を手招きする。

「?」

料理長が武雄と一緒に厨房の隅に行く。

・・

「料理長、どの辺まで知っていますか?」

「・・・今の所、特に何も知らされていませんね。

 さっき宰相が来てキタミザト殿を探されていましたが、それ関係ですかね?」

「何か言っていましたか?」

「いえ・・・『居ますか?』としか。」

「・・・そうですか。

 料理長、今から話すのは超極秘です。」

「・・・面倒ですね、聞きましょう。」

「セリーナ殿下、リネット殿下、アルマ殿下、レイラ殿下とゴドウィン伯爵夫人のジェシーさんに懐妊の兆候があります。」

「なんですと!!!!?」

料理長の絶叫で皆が武雄達を見る。

武雄は「あはは」と言いながら苦笑をする。

「あ・・・すまん、皆作業に戻ってくれ・・・」

料理長が皆に手でしっしとしながら顔を武雄に向ける。

「・・・本当ですか?」

「ええ。精霊達が今回大量に実体化したのは聞いていますか?」

「はい・・・それは昨日の時点で聞いています。」

「その精霊達が先の5名に懐妊していると報告しています。

 そして流産の確率を低く抑える祝福がされました。」

「・・・本当に本当ですか?」

「はい、本当に本当です。

 で、王家に対してのお祝い料理は何がありますか?」

「我々が作らせて貰いましょう。

 予算度外視で問題ありません!王家の妃方4名が懐妊とは・・・こんな吉事はありません。

 出来れば男子が良いですが・・・いや!男子でも女子でも王家が増えるのは良い事です!

 いくらでも作りましょう!

 確か資料に過去の懐妊の際のお祝い用のレシピがありました。

 それを作りましょう。」

「なら王家は問題はないですね。

 私が危惧しているのはジェシーさんの方です。」

「ううむ・・・伯爵も居ませんしね・・・

 確かにお祝いをする人たちが居ませんか。」

「まぁ、そこは妹弟が居ますので祝福はしていると思うのですが・・・」

「妹弟?ゴドウィン伯爵夫人の妹弟が居るのですか?」

「ジェシーさんはジェシー・ヘンリー・エルヴィスと言います。」

「なるほど!4姉弟なのですね。

 あ・・・お祝い用のレシピは王家専用なんですよね。

 流石に姉妹と言えど出せないと思いますね・・・んー・・・」

「やはりそうですか。

 ですので、ジェシーさんの方は私が作ろうかと。」

「なるほど、それも良いですね。

 それで買い物を?」

「はい・・・と、運ばれて来ましたか。」

武雄が勝手口を見ると大きな木箱が搬入されてくる。

「・・・うちでは頼んでいない物ですね。

 何を買ったので?」

料理長が箱の中を見る。

「塩漬けの紅魚が1匹と・・・これはアワビですか?」

「はい。

 これを煮つけにしようと思います。」

「煮つけですか・・・ふむ、煮つけとはどういった物でしょうか?」

「魚醤で煮込みたいのですよ。

 ただ・・・した事がなくてですね。挑戦してみようかと思います。

 それにアワビを戻す方法は知っていますか?」

「確か・・・2日くらい水に浸けてから1日中茹でる必要があったかと。

 その後にブイヨン等の濃い目のスープに入れて更に1日煮込みます。

 ちょっと・・・いやかなり薪代がかかるので避けている食材ですね。」

料理長が嫌な顔をする。

「それは・・・4日もかかるのは頂けませんね。

 ならこれは止めましょう。」

武雄がリュックにアワビをしまう。

「そうなると・・・紅魚ですね。

 捌けますが、どういう感じにしますか?」

「そうですね~・・・」

武雄は今晩の夕飯を考えるのだった。



ここまで読んで下さりありがとうございます。

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