第802話 王家へ紹介。1(そりゃ驚くよね。)
ここは妃達が昨日まで使っていた会議室。
そこにアズパール王と3皇子、アンとエイミーとクリナ、
ローナ、セリーナ、クラリッサ、リネット、アルマにレイラが招集されていた。
同席者はアリスとジェシーが居た。
皆は各々席に着いていた。
「・・・何で3日3晩の妃会議が終わったと思ったら招集されるのでしょうか?」
クラリッサが疲れ顔をさせながら誰とでもなく聞いて来る。
「お義父さまからの緊急招集よ。
うちの者達は今日の朝方会議が終わったのに寝かせてくれないのね。」
セリーナが嫌味たっぷりに言ってくる。
その様子をアズパール王と3皇子以外の面々が苦笑して答える。
「うむ・・・実はな・・・その・・・昨日な・・・」
アズパール王が言いづらそうに言ってくる。
「何ですか?言いづらそうに!
お義父さま!さっさと終わらせましょう!」
ローナが「こっちは疲れているんです!寝たいんです!」と不快感を出してくる。
「うむ・・・そうだな。
昨日タケオの要請で宝物庫に新貴族等を入れたのだ。」
「・・・私達の会議後と言っていませんでしたか?」
レイラがジト目で言ってくる。
「う・・・それが諸々の事情で昨日になったのだ。」
「そうですか・・・
で?スミスにはちゃんと精霊が付けれたのですか?」
「あぁ・・・スミスにもちゃんと付いたぞ。」
レイラの質問にアズパール王が目線を落としながら言う。
「「「・・・にも?」」」
その場の王妃達が固まる。
「・・・お義父さま。その他に何人が付いたのですか?1人ですか2人ですか?」
「総勢10名・・・だったよな?」
「ええ、そうですね。」
クリフが頷く。
「「なんですって!?」」
王妃達が驚く。
「何でそんなに一斉に精霊魔法師になるのよ!?」
アルマが驚きながら言ってくる。
「いや・・・そう言われてもな・・・
気が付いたらそうなっていたとしか言えないんだが・・・」
「誰がなったのですか?
どの貴族ですか!?」
クラリッサが聞いて来る。
王妃達の昨日までの会議で「勢力の不均等による抗争に注意しよう」という話にもなっていた。
「・・・なった者はタケオ、アリス、スミス、エイミー、クリナ、アン、ジェシー、ジーナに我だ。」
「・・・何を言っているのですか?
偏りすぎというか最終組の女性陣全員じゃないですか?」
ローナが聞き返す。
「うむ・・・我とタケオも居るがな。
まぁ我も当事者でなければその反応が正しいと思う。
だが事実だ。受け入れるしかなかろう。」
「アン達もなれたのですか・・・どう言った経緯で?」
「うむ・・・では、その辺の話をしようか。
では、各々呼ばれたら前に出るように。」
アズパール王が昨日の話を皇子妃達に概要を話すのだった。
・・
・
最後にアズパール王が各々の名前を呼び、精霊達は人間大になって挨拶をしていた。
「・・・初めのジェシーが妊婦という所からそんな事になったと言うの?
そしてジェシーは母子ともに精霊から調整をして貰い、しっかりと産める準備をして、さらには侍女の精霊を付けて貰ったと。」
「まぁ・・・そうだな。
だが、これも全て条件が揃ったからだな。」
「・・・そんな事を言い出したら『4歳になった時』とか『結婚する直前』という項目があっても不思議ではないし、種族による条件があるかもしれないわ。
その条件を見つけるなんて不可能よ。」
ローナがため息混じりに言う。
「まぁ、そうなるな。無限とも言える条件があるだろう。
だが、皆を集めたのはそこではないんだ。」
「?・・・各精霊のお披露目とジェシーの懐妊のお祝いをしようと言う事ではないのですか?」
セリーナが聞いてくる。
「あぁ、ここからはアリスに任せた方が良いかもしれぬな。
アリス、任せた。」
「はい。
では、先ほど陛下が仰ったようにクリナ殿下、アン殿下、ジェシーお姉様と契約した3名の精霊は侍女としての精霊です。
で、この3名が実体化した際にパイディアーというその場に契約者がいない状態で一緒に実体化した侍女の精霊が居たのです。」
「その場に契約者が居ない?そんな事出来るの?」
アルマが聞いて来る。
「出来る出来ないというか出来てしまったのです。
で・・・コノハ、どうしますか?言いますか?」
「んー・・・じゃあ、勿体ぶってもあれだからいきなり本題に行きましょうか。
私とアル、パナ・・・まぁ精霊全員が大なり小なり気が付いていますけど。この部屋の中に妊婦が居ます。
その中でお腹の中の子にパイディアーは呼ばれて実体化しました。」
「「「はぁ!?」」」
皇子妃全員が立ち上がって驚く。
「な・・・なんで・・・そんなことが・・・」
ローナがワナワナしながら聞いて来る。
「ふふん、私は安産の精霊であり、子育ての精霊。
総じて母子を守る精霊ですよ?わかって当然。
まぁパイディアーが呼ばれたのは他の3名が呼ばれたという事と私が気にしていたという所が関与したのかもしれませんけどね。
まぁいろいろと原因はあるでしょうが、結果、こうしてその娘に呼ばれたという事です。」
「・・・娘?」
セリーナが聞いて来る。
他の面々はとりあえず座る。
「ええ。昨日アリスやタケオには言いましたが、本来なら腹の子の性別は教えないとしています。
ですが、パイディアー達カリテスは女性としか契約しないのです。
で、呼ばれた相手がお腹の子という事は・・・つまり?」
「女の子・・・」
ローナが呟く。
「ごめんなさいね、パイディアーと契約させる為には教えないといけないのよ。
親としての楽しみの半分を取ってしまっているのはわかるのだけど・・・」
コノハが苦笑する。
「いえ・・・男の子だろうと女の子だろうと子が出来たことに喜びはしても女の子だから落ち込む事はないですよ。」
セリーナが言う。
「そうね。
で、その適応者は誰なの?」
ローナが言ってくる。
「パイディアー、その子に会いましょうか。」
「はい。」
コノハとパイディアーがその母親の元に行くのだった。
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