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第800話 延期になっていた馬車市へ。1(領内の幌馬車屋さんと打ち合わせ。)

王都内の大広場にて国内中の馬車および幌馬車工房が一堂に会していた。

朝食を終えた武雄とスミスとヴィクターとジーナは他の新貴族達と見学していた。

ちなみにチビッ子達は各々主人達のポケットで寝ている。


「んー・・・キタミザト殿、この馬車はどうですかね。」

「確かに最新鋭というだけあって内装が綺麗で物が旧来よりも1.1倍収納が出来るようですね。

 それに制振性能が向上しているともありますが・・・

 どうなんでしょうか・・・私は旧仕様になってしまいますが、エルヴィス家が今使っているのと同じ馬車にしようかと思います。

 ここにある最新鋭の馬車だと現状使っている機構が違い過ぎているようですし・・・何かあっても街での修理は早そうです。」

「ふむ・・・アルダーソン殿、こちらもスペックは良いみたいですね。

 どうでしょう、一緒の工房に依頼してみませんか?

 そうすればキタミザト殿が言っているように街中での修理もしやすくなるのではないでしょうか?」

「なるほど、同じ馬車を揃えれば工房も対応しやすくなるというのですね。

 ・・・そうですね、それも良いかもしれません。」

武雄とアルダーソンとバビントンが一角に設置されていた椅子に座りながら集めた資料を見つめていた。

スミスは大人しくタケオの隣に座ってのんびりとしている。


ボールド達王都組の新貴族達も各々で見ていたりするが、やはり王都に居るか地方に居るかで見る要素が違う様で別行動になっていた。


「んー・・・」

武雄はマジマジと資料を見る。

現状で馬車に使われているサスペンションが全て重ね板ばね方式なのだ。武雄が知っている圧縮コイル方式は無かった。

それに制作の部材や制作方法に差はあるようだが全部が木製・・・ハッキリ言って面白みがなかった。


ちなみにアズパール王国で馬車を作っているのは5社。

内2社が主に貴族向けで3社が主に商家等の一般向け。

で、エルヴィス領には支店はなく、エルヴィス領内唯一の幌馬車工房「ローチ工房」への修理等の契約をしているとの事だった。

実はこの工房へ武雄は王都に出発する前のウスターソースの店頭販売の帰宅時に寄ったのだが、主人は王都に行っているとの事で詳しい話を聞けずにいた。


「・・・はぁ。私はとりあえず馬車についてはエルヴィス領に戻ってからになりますね。」

武雄がため息とともに2人に言う。

「そうですか。

 私達はこれから目ぼしい馬車をもう一度見に行きますが、どうしますか?」

バビルトンが聞いて来る。

「そうですね・・・エルヴィス領の幌馬車屋さんが来ているのでそっちに挨拶に行ってから王城に戻ります。」

武雄が2人に謝る。

「いえいえ、では私共はこれで。」

「では失礼します。」

2人が離れていく。

2人とも「ある意味で既存の領地持ち貴族に厄介になるというのも面倒なんだなぁ」と思うのだった。


「タケオ様、移動ですか?」

スミスが聞いて来る。

「ええ。ローチ工房に挨拶に行きましょう。

 馬車は帰ってこの資料を見ながらエルヴィスさん達と決めましょう。」

武雄がスミスに笑いかけるのだった。

・・

「えーっと・・・ここですね。こんにちは。」

幌馬車が並ぶ一角に武雄達がやって来て目当てのテントに入り声をかける。

「ん?・・・はいはい。

 え!?スミス様!?」

声をかけたテントに居た男性が驚きながら近寄って来る。

「タケオ様、この方が工房の主人なのですか?」

「さて・・・

 ローチ工房の方ですか?」

「は・・・はい!ローチ工房で社長をしています、テッド・ローチと申します!

 スミス様、いらっしゃいませ!

 と・・・えーっと・・・タケオ様という事は・・・キタミザト様で?」

男性が恐る恐る聞いて来る。

「はい、お初にお目にかかります。」

「はっ!!アリス様との御婚約おめでとうございます!

 何卒!アリス様の事をお願いいたします!」

主人が物凄い勢いで頭を下げる。

「ローチ社長・・・落ち着きましょう。」

「はは・・・そうですよ。

 落ち着きましょう。」

武雄とスミスが苦笑しながら言ってくる。

「はい・・・わかりました。

 スゥーハァー・・・はい、もう平気です。

 お茶をお出ししたいのですが・・・その・・・豪勢な物はなくてですね・・・」

ローチが少し怯える。

「はは、問題ないですよ。

 ところでローチ社長、お茶セットをお借りしても良いですか?」

「え?・・・こちらで入れますが・・・」

「実はこの2人は私の執事なのですが、先だってお茶の淹れ方が上手い方に教わりましてね。

 この場で実践させて頂きたいのです。」

「はぁ・・・スミス様とキタミザト様がよろしければ・・・」

「ありがとうございます。

 ヴィクター、ジーナ、お茶セットをお借りして淹れてください。」

「畏まりました。」

ヴィクターとジーナはテント内に居た他の男性に案内されお茶の準備をする。

「では・・・スミス様、キタミザト様、こちらにおかけください。」

「「失礼します。」」

武雄とスミスはローチに勧められた椅子に座るのだった。

・・

「うちのお茶が・・・何て美味しいんだ・・・」

ローチ社長が感動をしていた。

「タケオ様、美味しいですね。

 これは誰かに習ったのですか?」

「ええ、朝特訓をして貰いました。

 王城に帰ったらスミス坊ちゃんにも教えますよ。」

「ありがとうございます。」

スミスが「やった、まずは料理への一歩だね」と思うのだった。



ここまで読んで下さりありがとうございます。

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