第794話 終わった終わった。各部屋の様子。
宝物庫での精霊の選定が終わり
一同は解散して各々の部屋に戻っていた。
ここは第1皇子一家の部屋。
「お父さま、お茶が美味し過ぎます!」
「うぅむ・・・これは凄いな。」
クリフとアンがアウクソーにお茶を入れて貰っていた。
アウクソーはクリフとアンの横に立っている。
「では、アン。」
「はい、お父さま。」
「このアウクソー殿はアンの精霊だ。
だが、精霊だからと言って無理難題を言って良い物ではない。
あくまで助力頂いているという認識にならないといけない。」
「はい!お父さま。
私が成長する為に協力して貰うのですね。」
「そうだ!そのとおりだ。
なので何か指摘をされたら謙虚に耳を傾け。自ら考える努力をしないといけない。
わかったかい?」
「はい!お父さま。
精霊を酷使することなく!良き従者を得たと考え私は成長します!」
「そうだ。しっかりな。」
「はい!お父さま。」
クリフがアンの元気の良い返事を聞きながら「うちの子は出来るな」と親馬鹿をするのだった。
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ここは第2皇子一家の部屋。
エイミーとアルが窓辺に立ち話をしている。
「・・・で、アル、本当に私の初恋の相手がスミスだとわかっていないのよね?」
「たぶん、当人には確実にわかっていないかと・・・」
「・・・それって良い事なの?悪い事なの?」
エイミーが額に手を当てガックリとする。
アルは苦笑するのだった。
「エイミーお姉様、カリスがお茶を入れました♪」
クリナがエイミーを呼ぶ。
「あ・・・はい、わかりました。」
エイミーとアルが席に向かう。
「ほぉ、これは俺でも違いが判るな。」
ニールがお茶を飲みながら言ってくる。
ちなみにアルとカリスはニールとエイミーとクリナの横に立っている。
「凄いですね。」
「美味しい。」
クリナとエイミーも驚きながら言ってくる。
「さて、エイミー、クリナ。
2人とも精霊付きになったが、無理強いはするなよ?」
「わかっています、父上。」
「お父さま、わかっています。」
娘2人が真面目に返答してくる。
「精霊だろうが異種族だろうが対等だ。
まぁ2人の精霊に対しては契約をしている時点で少しはこちらが上だが、奴隷ではない。
決して間違えるな?
この2名の言葉には耳を傾けろ。
精霊に注意を促される時はこちらに不備があるのだ。その言葉を聞いて自分の足らない所や間違ったところを真摯に受け止めるんだぞ?」
「わかっています、父上。」
「お父さま、わかっています。」
娘2人が真面目に返答してくる。
「・・・はぁ、まぁ2人なら問題はないだろうな。
家族が増えたと思えば良いのか?」
ニールが「女子ばかり増えるのは肩身が狭いぞ」と思うのだった。
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ここは武雄達の部屋。
アリスとスミスとジェシーが集まっている。武雄は厨房にお菓子を取りに行っている。
「・・・間違っていませんか?」
パラスがジーナに聞いて来る。
「いえ?ご主人様の指示です。」
ジーナがお茶を配膳しているのだが。
机の周りの席はちゃんと人数分あった。
「んー・・・アリス、これって従者も一緒に食べるの?」
コノハが席を見ながら言ってくる。
「ええ。何か問題が?」
「いや、アリス達が気にしないなら良いんだけど。」
コノハもパラスと同様に「あれ?」と首を傾げている。
「主、某も良いのですか?」
「はい、何が問題なのですか?」
「いえ・・・はぁ、わかりました。」
マリも席に大人しく座る。
パナとパンニューキスは何も言わずに席についている。
と部屋がノックされ武雄がお菓子が置かれた盆を持って入って来る。
「戻りました。
ヴィクター、ジーナ、お茶は用意出来ましたか?」
「「はい。」」
「うちの部下はお仕事が早くて助かります。
では、これもお願いしますね。」
「畏まりました。」
ヴィクターが受け取りジーナがレアチーズケーキを配膳をして行く。
・・
・
「さ、皆、席に着きましたね。
じゃあ、いただきましょう。」
「「いただきます。」」
皆が思い思いに食べる。
「んん~♪流石♪タケオさんのケーキは美味しいわ。」
ジェシーが満面の笑顔を武雄に向ける。
「コノハ、どう?」
「アリス♪タケオ♪ありがとうございます!
これよこれ、あの部屋では味わえないこの美味しさが実体化の醍醐味よ。」
「良かったわ。」
アリスはコノハの様子を嬉しそうに見ながら食べている。
「美味しいですね。
これはなんですか?ジーナ。」
「これはご主人様が作ったレアチーズケーキです。
少し酸味があるからジャムを少し付けると和らぎますよ。」
ジーナが説明しながらパラスと話をしている。
「マリはどうですか?」
「ふむ・・・こういったのは中々食べれませんから趣向が良いですね。
牛の乳を固めるとこういう味になるのですね。」
マリが頷きながら食べている。
「・・・パナ、何も言わないですが、不味かったですか?」
「いえ、美味しく頂いています。
ですが、あまり食べ物では・・・感情が起伏しなくてですね。
すみません。」
パナが頭を下げる。
「いえいえ、口に合わなかったら言ってくださいね。
違う物を用意しますから。」
「わかりました。
ですが、十分美味しいので満足しています。
で、タケオ、パイディアーを引き取って来たのはどうしてですか?」
パナがパイディアーを見ながら言う。
「いえ、殿下方への説明は明日らしいのでそれまでは所属先はなしとしてうちで預かっています。
明日にはパイディアー殿の契約者がわかるのでしょう?」
「・・・そうね。
皆にも言っておくけど子供の性別は生まれるまで言わない事にしたいんだけど平気かしら?」
コノハが武雄に向かって皆に言う。
「男女で選別する可能性があるかもしれないからですか?
・・・まぁそれの方が良いでしょうか。ですがパイディアーの配属先でそこのご一家の子が女子とわかるのではないのですか?」
「はぁ・・・そこはごめんとしか言えない。
言わないとパイディアーがその一家にご厄介になれないから言うわ。」
「それは仕方ないですよ。」
「そうね。」
アリスとジェシーも頷く。
「と言う訳で明日はアリス、ジェシー、お願いね。」
コノハが嬉しそうに言うのだった。
ヴィクターはその様子を見ながら「凄い一家に勤める事になった物だ」と苦笑するのだった。
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