第793話 結局10名の精霊ですね。(エルヴィス領の2名は?)
「おぉ!美人です!」
「凄いですね!」
アンとクリナが契約した女神を見ていた。
「良かったなぁ。」
「うんうん。」
「良いですねぇ。」
3皇子が子供達に精霊が付いたことを喜んでいた。
「えーっと・・・アン殿下の精霊がアウクソー殿、クリナ殿下の精霊がカリス殿ですね。
パンニューキス殿がジェシー殿と。」
王家専属魔法師が頷く。
「3人とも従者として教養もあるし、風系の魔法がそれなりに出来ます。
それぞれ成長と優雅と夜会の女神ですし、歌や琴も弾け芸能も嗜んでいるので色々傍において問題はないでしょう。
・・・で、なんでパイディアーが出て来たのよ?」
アルがパイディアーに聞く。
「いえ・・・姉妹が呼ばれたのでついでに私も来ました。」
「貴女、選ばれてないし、それに貴女達との適合者は女の子だけでしょう?」
「いえ・・・あっちの子が私を呼んだようなので。」
パイディアーが明後日の方を見ながら言う。
「・・・感づいているし。」
コノハが疲れた顔をさせる。
「・・・まぁそれは後日にしましょう。」
アルが苦笑する。
「はぁ・・・他には適応者は居ないし・・・終わりね。」
コノハが唐突に言う。
「「「いやいやいや。」」」
皇子3人がツッコミを入れる。
「・・・本棚も光ってないし・・・終わりです。」
アルも気にしないで言ってくる。
「・・・精霊殿方・・・その隅っこでうな垂れている精霊はどうするのだ?」
アズパール王が簀巻きにされているアモールを見ながら言ってくる。
「・・・本棚に戻そうか?」
「そうね。」
「問題ないでしょう。」
「そうしましょう。」
アルが提案するとコノハとパナとパラスが同意する。
「ふむ・・・だが、実体化出来たのに本に戻すのも・・・勿体ないな。」
アズパール王が言う。
「アモールは初恋したての少女としか契約したくないとか言っていたので・・・他に適応者は居ないです。
・・・この国の王よ、使役してみますか?」
アルが言ってくる。
「我でも出来るのか?少女が適応者なのだろう?」
「適応者は、ということです。能力を下げれば王とも契約は出来るでしょう。
それにアモールは性癖が異常ですけど。魔法も剣も結構使えるはずです。
一応、こんなのでも高位の神ですのでお役には立てます。」
「ふむ・・・面白そうだな。
よし!我も契約しよう。
契約後はじいの配下にするからな?」
「はぁ・・・厄介事をこっちに回しますね。
わかりました、精霊殿には協力して貰いましょう。
まぁ本人が良いと言えば・・・ですが。」
王家専属魔法師が呟く。
「それは平気です。」
「ええ、私達が言い包めますから。」
「「お任せを。」」
「これはやりがいがありそうです。」
「クリナの姉をイジメた罰ですね。」
「うちの出自だから協力しましょう。」
「はい、協力します。」
アル、コノハ、アウクソー、パンニューキス。パイディアー、カリス、パナ、パラスが簀巻きにされているアモールに近寄る。
アモールはその様子を見て顔面蒼白になるのだった。
・・
・
「・・・二度と・・あのような事・・・言いません・・・
申し訳ありま・・・せんでした・・・」
アモールはエイミーに土下座して謝っていた。
「はは・・・まぁ・・・もう良いです。」
エイミーも女神達の説教を見ていたが凄まじかった。
何と表現して良いか・・・アモールの言い訳を何も言わさないぐらいの説教だった。
そして罰としてこの国の王に仕え、助力する事が決められ即アズパール王と契約を結んだ。
それも「国王の命令以外に勝手な事をしたらもげる」という(「何が?」とか「何を?」とかアン達が思案していた)男性にとっては恐ろしい1文が追加され、さらに「女神3名以上の賛成なくば恋の矢の使用を禁止」という文言も入れられまさに制裁という名の契約になっていた。
「ふぅ、これであれも大人しくなるね。」
コノハがアリス達の元に戻って来てお茶を飲んでいた。
「・・・」
マリは何とも言えぬ表情で土下座しているアモールを見つめるのだった。
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ここはテイラー店長の魔法具商店。
チビッ子達は散歩終わりのクゥとタマを交えてカウンターでお茶会が実施されていた。
「な!?」
テトがお茶を持ちながら立ち上がる。
「きゅ?」
「ニャ?」
遊びに来ていたクゥとタマがテトを見上げる。
「ふむ・・・これはタケオだろうな。
ちょうど王都にも居るし。」
ニオが優雅にミニチュアの椅子に座りながらお茶を片手に言う。
「何をのんびりしているのよ!?ニオ?
11名の精霊が同時刻帯で一気に契約したのよ!?」
「みたいだな。
んー・・・木花咲耶姫。摩利支天。パラス。パナケイア。スプンタ・アールマティ。カリテスのアウクソー。カリス。パンニューキス。パイディアーにアモール・・・そしてドゥルジか。
摩利支天殿が来るか・・・あの方の加護は凄まじいが。」
「アールマティ姉様はこっちに来るのかしら・・・」
「ん?スプンタ・アールマティはテトと同じ出自なのだな?」
「ええ、私が実働部隊なら彼女は司令官ね。」
「適切な言い方だな。
それにしても木花咲耶姫とスプンタ・アールマティとアモールは間違いなく最高位の神々だな。」
「・・・あのロリコン神かぁ。
あれはどうなのかな?」
「確か今は子供の格好をしているのだったか?」
「そういう認識が強いからね。
それにしても一気にこれだけの精霊が実体化したらどこかしらに何か言われないのかしら?」
「ふむ・・・どこかの国が何か言うのか?
何もないだろう。」
「ニオ・・・」
「実際の所、我らはどこで契約されたのかは知らされない。
我とテトはタケオが王都に行っているからタケオの仕業と勘繰れるがな。
他の国にいる精霊達ではわからんだろう。
それに国家ぐるみだからな、調べようもないはずだ。
だが警戒はするか。」
「そうね。
もしかしたらこの国以外も一気に精霊が契約してくるかもね。」
「果たして条件がわかるか・・・だな。」
「精霊同士で戦えば民が傷つく。
それだけは避けないと。」
「・・・今回の何名がタケオ側かはわからぬがな。
向こうが精霊を出して来たら我らも出るしかないだろう。
まぁその時はその時だ。」
ニオが考えながら言ってくる。
「確かに・・・アールマティ姉様とは戦いたくないな。」
「我もだ。摩利支天殿と戦う気にもならん。」
「「はぁ。」」
ニオとテトがため息を付くのだった。
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