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第792話 5人目(王家に精霊。)

今宝物庫内はある意味緊張を強いられていた。

「・・・」

武雄は5人目の精霊を黙って見ていた。

その精霊はちゃんと席に座り、概略書も皆が目を通しているのだが・・・適応者の話になってからおかしくなっている。


「・・・アモール殿、本当にこちらのエイミー殿下が適応者だと?」

王家専属魔法師が聞いて来る。

「はい!初恋に焦がれている女性!秘めた思い!これこそ僕に適しています!

 貴女!私を使えば意中の相手を虜に出来ます!

 さぁ!僕と契約をしましょう!

 そして初恋を成就させるのです!」

アモールと呼ばれた背中に翼のある愛らしい少年が演説ぶっている。

一方のエイミーは・・・顔を伏せながらプルプル震えている。

「あ~・・・その・・・なんだ。

 アモール殿はどうやって相手の気を引かせるのだ?」

アズパール王が何とも言えない顔をさせながら聞いてくる。

「気を引かせるなんて甘い物ではありません!

 僕の力を使えば絶対に落とせます!

 僕のこの矢に刺さった者が最初に見た者に熱烈な愛が芽生えるのです!

 押し倒せ!やってしまえ!理性を薄め愛に生きる!これこそ真の愛に他なりません!」


アモールが語っているのを余所に。

「主、あれがじゃしんなのですね!」

ミアがガン見しながら頷いていた。

「「・・・」」

パナとパラスは頭を抱えてる。

「西洋の神って相変わらず過激ね。」

「全くですね。

 神の仕事など対象の運気を少し上げるくらいで丁度良いと思いますがね。」

コノハとマリがジト目をしながら見ている。

「アリス。」

「はい、ジェシーお姉様。」

「・・・あれじゃなくて良かったわね。」

「ええ、本当にコノハで良かったです。」

アリスとジェシーがしみじみと小声で言いあう。

「タケオ様、何も言わないのですか?」

スミスが武雄に聞いて来る。

「今は特には・・・こっちに話が来るならしますけど。

 王家の話ですのでね。

 向こうは向こうで話さないといけないでしょう。」

武雄は向こうの出方を見ていた。


「さぁ!さぁ!僕と契約しましょう!」

アモールが身を乗り出してエイミーに言ってくる。

「・・・嫌です・・・」

「え?」

「こんな女心を踏みにじる精霊とは契約しません!」

エイミーが涙目で睨みながら言ってくる。

「えぇぇぇぇ!?

 初恋を成就させないのですか?僕の力を使えばより確実に出来るのですよ?」

「恋は自分で何とかします!

 相手の気持ちを・・・心を無視しての愛など要りません!」

エイミーがそう宣言すると本棚が光り、一人の女性が現れる。

「良く言いました!

 貴女には私が援助しましょう!」

とアモールを踏み押しとどめる。

「ぐにゅ・・・」

アモールは本当に踏まれる。

「・・・抑え込まれ・・・踏み込まれていますね。」

武雄が席を立ち女性の元に行く。

「あ、私はこういう者です。」

女性が笑顔で武雄に紙を渡す。

・・

「えーっと、スプンタ・アールマティ殿ですか。」

議事進行を務める王家専属魔法師が概要書を見て言う。

ちなみにアモールは女神達に簀巻きにされ片隅に置かれている。

席にはアールマティが座っていた。

「はい。

 自分の心に正直な意見をこのアモール(バカ神)に言ったので私が実体化出来ました。

 私は女性を守護しています。

 まぁ何か威力のある魔法が出来るわけではありませんが、全ての系統が使えます。

 特に何かと言われると土系が得意ですね。

 作物や木々の成長を早められますし、それなり戦えます。」

「それなりに?」

「ええ、それなりに。」

アールマティがにっこりとほほ笑む。

「んー・・・これも平気なんだろうか・・・」

王家専属魔法師が頷く。

「あの・・・私はどうなのでしょうか?」

「神に対し心の内をしっかりと言った貴女は私の適応者である『心に従う女性』となります。

 どうでしょう。戦力としてはこれといって期待は出来ないですけど。

 私が傍に居ればマリと似たように運気は上がりますよ?」

「父上・・・」

「ん?良いんじゃないか?

 俺ら3兄弟は適応がなかったがお前には有ったという事だろう。」

エイミーがニールに聞くとニールは「なんてことはない」と言ってのける。

「じゃ、私は貴女と契約します!」

「はい。

 あ・・・条件はさっきの4人と同じで良いのかしら?」

「あ!はい!同じ条件で良いです!」

「私、エイミー・ニール・アズパールはスプンタ・アールマティと契約を結びます。」

「エイミー殿。

 私の事はアルと呼んでください。」

エイミーとアルが握手をすると眩い光が再び部屋を覆うのだった。


「はぁ・・・エイミーお姉様が精霊魔法師になっちゃった。」

「そうですね。

 これは私達も探せば適応する精霊がいるという事なんでしょうかね?」

「でも・・・あれは欲しくないですね。」

「あぁ・・・簀巻きの精霊は欲しくないですね。」

アンとクリナがヒソヒソ言っている。


「で、コノハ・・・ちょっと良い?」

アルがコノハを呼ぶ。

「なに?アルちゃん。」

コノハがアルの近くに飛んでいく。

「あのさ・・・あの2人って・・・たぶんあっちも・・・反応している・・・そこはなんとかなる・・・そうする?・・・」

「あぁやっぱり?・・・でも出自が・・・確証は?・・・じゃあこっちにも・・・私はしたいわ・・・」

こちらも何やら2人でヒソヒソ話している。


「タケオ様、なにやら話していますね?」

アリスが武雄に聞いて来る。

「何でしょうね?

 アン殿下とクリナ殿下を見ていますが・・・

 まぁあの2人なら問題はないでしょう。」


と2人はなにやら頷いてからアンとクリナの元に行く。

「唐突ですが・・・貴女達侍女は欲しくないですか?」

アルが唐突に聞いてくる。

「「はい?」」

アンとクリナが驚く。

もちろん他の面々も流れが変わって驚いている。

「ちょっとコノハ、どういう事なの?」

アリスが聞いて来る。

「いや・・・実は今の状況が凄いんだけどね。

 女神が3名いるので侍女クラスの神が召喚出来るはずなのよ。」

「?3名?女性の精霊は4名ですが?」

「あぁパラスちゃんは女神ではないわ。

 女神になる予定だった者なのよ。そこはあとでパラスちゃんから聞いてみると良いわ。

 でね。

 同部屋に女神が2名以上召喚されると侍女がお付きとして追加出来るんだけど・・・そうだなぁ・・・うん、簡単に言えば私やアルちゃんやパナちゃんは精霊の中でも貴族なのよ。

 で、そこには特定の侍女が居るんだけど。

 今なら呼び出せるはずなの。

 で、この世界では私達は貴女達と契約している最中だから侍女を帯同は出来ない。

 でも折角の機会だからこの子達とジェシーに付けようかと思って・・・女神付きだから女性と契約出来るしね。」

「・・・良いんですか?」

ジェシーが聞いてくる。

「折角の機会だしね・・・まぁ侍女なので能力はそこまで高くはないんだけど。

 望むなら呼んでみようかと思ってね。

 それに貴女も私の条件の一人、無下にはしたくないの。

 さて、この国の王よ。どうしますか?」

コノハが言ってくる。

「ふむ・・・我としては孫が3名とも精霊付きとなるのは嬉しいのだが。

 クリフ、ニール、どうする?」

「アン、どうしたい?」

クリフがアンに聞く。

「私は欲しいです!」

「お父さま!私も欲しいです!」

「おお、良いぞ!こんな機会は一生に一度あるかないかだろう♪」

「ふむ。

 アル殿、コノハ殿、我の孫の頼みを聞いて貰えないだろうか。

 このとおりだ、頼む。」

アズパール王が頭を下げる。

「ふふ、この国の王は素晴らしいわね。

 孫の為に頭を下げる度量がちゃんとある。良い国王ね。」

「ええ、任せてください!

 さ、この中から1枚引いてね!」

アルが感心し、コノハがどこから取り出したのかアンとクリナの前に16枚のカードを扇状に見せる。

「「これ!」」

アンとクリナが1枚を選ぶのだった。



ここまで読んで下さりありがとうございます。

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