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第790話 3人目(ジーナに精霊。)

摩利支天がコノハと同じように甲冑ごとミアと同じ大きさになってスミスの前の机に座っている。

と、本棚が光り始めるのだった。


光が止むとワンピースを着た女性が立っていた。

「・・・こちらへ。」

武雄が女性の元に行き面接用の椅子に案内する。

「こちらが私の概略書になります。」

女性が席横に立ち武雄に紙を渡す。

「はい、お預かりします。」

と武雄が席に戻る。

席に着いて武雄は概略書を見るのだが・・・

「・・・ん?・・・」

内容を見て悩むのだった。

・・

「パラス殿ですか。」

議事進行を務める王家専属魔法師が概要書を見て言う。

「はい。

 この場にて条件が整いましたので実体化いたしました。」

「したい事に『修練』とありますが。」

「はい。私は親友と神・・・精霊に従事し修練をしていました。

 その親友と仲違いによる私闘の末に負けるのですがその続きがしたいと思っています。」

「ふむ・・・魔法は何か使われますか?」

「使える魔法は・・・水流を操れます。

 あとは契約者への全方向の攻撃をある程度は完全に防げます。」

「ある程度ですか?」

「はい。同時に数個ですけど・・・同時に数十されると防げません。」

「わかりました・・・これも平気そうですね。」

王家専属魔法師が呟く。

「適応者はどなたでしょうか。」

「契約者は貴女です。」

パラスがジーナに顔を向ける。

「わ・・・私ですか!?」

ジーナは自分に来るとは思わず声を上げる。

「はい。

 適応条件は『神もしくは精霊から修練を受ける女性』となります。」

「それは先程のやり取りで条件が整ったのですね?」

王家専属魔法師が聞いてくる。

「はい。」

パラスが頷く。

「ですが、私は奴隷で・・・」

ジーナが困り始める。

「ジーナ、奴隷だと精霊を持てないなんて決められていないと思いますが?」

武雄がジーナに言ってくる。

「それはそうですが・・・奴隷に精霊を与えるなんて聞いたことがないです。」

「そうですね、この国では奴隷制を取っていませんから前例はないでしょうね。」

武雄が平然と言ってくる。

「ご主人様・・・そういう事ではないです。」

ジーナがジト目をさせて抗議してくる。

「・・・無いなら作れば良いのです。

 なので・・・クリフ殿下、お力添えをお願いします。」

武雄は「貸しを返してください」と暗に言う。

「はぁ・・・そうだなぁ。

 ・・・国の機関や貴族に所属する者が所属契約期間中において精霊魔法師になった場合、所属契約終了時に他国への移住を希望もしくは精霊との契約を終了する事を望むなら国に精霊を返上する事。

 所属契約終了後も精霊魔法師として国内に居住するなら騎士とし、居住する地域の貴族に力を貸すこと。

 契約者が亡くなった場合は国に精霊を返上する事。

 これなら行けるだろう。」

「陛下、いかがですか?」

武雄がアズパール王に聞く。

「25年後の王がそう言うなら我は何も言わんよ。

 王家からの緊急議案として明日に貴族会議にかけて通しておこう。

 じい、平気か?」

「陛下が決められた後に言われましても・・・ですが、今までは曖昧にしていた事を明文化するのは良いかと。

 精霊魔法師の待遇項目というところですかね。

 これで公に精霊魔法師が名乗れそうです。」

「・・・」

武雄は王家専属魔法師の言葉を聞きながら「精霊魔法師は秘密なんだ」と改めて思うのだった。

「タケオ、クリフ・・・しっかりな。」

アズパール王がしみじみと呟く。

「私の部下はしっかり者で努力家です。

 特別変な事にはならないと思っています。ご安心ください。」

「精霊との適応者が国外に出ないよう魅力ある国家を作ってみせます。」

武雄とクリフが頷くのだった。


「さてジーナ、大人達(こっち)の準備は終わりましたよ。」

「ご主人様・・・私はどうすれば良いのですか?」

「特には・・・王都のご厚意で精霊を与えてくれるようですし、奴隷だとか異種族だとか気にされていませんね。

 ジーナの好きにしなさい。折角精霊殿の方から来たのです。

 これを好機と捉える事も出来ますし、厄介事と捉える事も出来ます。

 ですが、どちらの選択をしても私達はジーナの意見を尊重します。

 それにクリフ殿下の立案はジーナを見て作られましたが、長い目で見ると面白い事が期待できます。」

「それはなんでしょうか?」

「やり方にも寄るでしょうが『精霊魔法師選定』という催し物が出来るでしょう。」

「?・・・ご主人様、どういう事ですか?」

「つまりは精霊魔法師はそもそも数が少ないと言っているのは『精霊との相性や契約条件』がわからなかったからです。

 3名の精霊とこうして会っていますがそれぞれに独特な条件があるというのがわかりました。

 なら今の様な特別な人達のみこの場に来させるのではなく、もう少し条件を緩和してこの場に来させる事で条件に合った者が見いだせる可能性があります。」

「・・・タケオ、私が明日貴族会議で言う内容を言わないでくれ。

 その利点で通す気なんだぞ?」

「ふふ、誰でもこの場に居れば考えうる内容ですよ。

 この短期時間だけで3名ですよ?

 今まで5名しかいなかった精霊魔法師が8名になりました。

 今後も増やす為にはいろいろな条件の者を連れて来るのが一番でしょう。」

武雄が苦笑しているクリフを余所に楽しそうに説明する。

「はぁ・・・その通りだな。誰でも良いというわけではないが・・・まぁその辺は我らで考える。

 ジーナ、今は自分の事を考えよ。」

「畏まりました陛下。

 ご主人様、皆さまがお許しになるなら私も精霊と契約をしたく思います。」

「はい、良いですよ。

 パラス殿、先の2名の契約内容はわかっていますか?」

武雄が続きを促す。

「はい、私も同じ内容で構いません。」

「では、最終契約をお願いします。」

王家専属魔法師が促す。

「私、ジーナはパラスと契約を結びます。」

「ジーナ殿。

 よろしくお願いします。」

ジーナとパラスが握手をすると眩い光が再び部屋を覆うのだった。



ここまで読んで下さりありがとうございます。

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