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第779話 アニータ達の練習風景。4(アリスと武雄の模擬戦。)

「・・・何でアリスお嬢様対全員になっているのですか?」

武雄が料理長達と皆のお昼を持って来て呟いた第一声がこれだった。

「ふむ。タケオ、何か作って来たのか?」

「ええ、簡単なお昼を作ってきました。

 味は保証できませんが・・・」

「キタミザト殿、十分に美味しく歯ごたえもあり、お腹に溜まる物になっています。」

料理長が苦笑しながら太鼓判を押してくる。

「ほぉ。タケオ、何という物を作って来たのだ?」

「お好み焼き(仮)です。」

「なんで(仮)が付くのだ?」

「食材が足らなかったので・・・味は私が求める物ではありません。

 キャベツと干し海老とネギを食べやすい大きさにして小麦粉で練った物を焼いてきました。

 ウスターソースを甘くしたのでマヨネーズと一緒にかけて食べてください。」

「ほぉ、簡単そうだな。」

「ええ、簡単です。

 ですが、野菜も入れていますので調理長が言ったように歯ごたえがありますよ。」

「ふむ。想像が出来ないがだからこそ興味が沸くな。

 じゃあ、訓練を終わらせて皆で食べるか。」

「・・・じゃあ、アリスお嬢様を満足させますか。」

武雄が王都守備隊の方に歩き出す。

「ん・・・タケオ、良いのか?」

アズパール王が聞いてくる。

「アリスお嬢様が明らかに飽きています。

 陛下もアリスお嬢様のやる気を見たいでしょう?」

「それは見たいが・・・怪我はするなよ。」

「ケアをかける準備だけはしておいてください。」

武雄が振り返らずに歩いて行くのだった。

・・

「来ましたか・・・」

アリスが姿勢を正す。目の前にはタケオが小太刀を抜かずに立っている。

「アリスお嬢様、お昼です。

 ですので思いっきりやって終わりましょう。」

「タケオ様、余裕ですね?」

「いえいえ、アリスお嬢様相手に(・・・・・・・・)余裕はないですよ(・・・・・・・)。」


------------------------

「あら、これは楽しそうな事になったわね。」

「そうですね。アリスお姉様がやる気になってますね。」

ジェシーが楽しそうにスミスは苦笑しながら言う。

「ちょっと待って・・・

 スミス、アリス様はやる気がなかったの?

 王都守備隊相手に?」

エイミーが少し驚きながら言ってくる。

いや、エイミーも薄々わかっていたのだ。

だが常識的に考えて「対する人数が多いから体力温存している」と思っていたのは確かだった。

「はい。

 アリスお姉様は本気で剣を振るっていません。明らかにさっきまでは単調な作業(・・・・・)をしていました。

 そしてタケオ様が来たので気持ちを入れ替えているのがわかります。」

「・・・はぁ・・・鮮紅という称号は伊達ではないのね。」

エイミーがため息を漏らす。

「あ、アリス様の本気が見れそうです♪」

「アリス様、頑張ってください♪」

アンとクリナは観戦を楽しんでいるのだった。

「「「・・・」」」

アズパール王達は真面目に見ていた。


------------------------

「さてと、朝の問いですが・・・私はどうやって凌いだのでしょうか?」

「たぶん・・・シールドで方向を変えた・・・としか。」

アリスが上段に構えながら言ってくる。

「正解です。」

武雄がアリスに右手を向けて半身で構える。

「・・・行きます!」

アリスが一気に距離を縮めて剣を降り下ろすが、朝と同様に武雄の横を通る。

しかしアリスはそこで右に回転しながら一歩踏み込み武雄の右側から薙ぎ払おうとする。

「んしょ!」

威力を乗せて武雄に当たるはずだった。

そう、はずだったのだ。武雄はアリスが回転したのを確認してすぐに左手を腰辺りで構えシールドを展開できるようにしており、受け止めていた。

「・・・っ!」

武雄は瞬間的に剣を止めた後、アリスの剣を握っている手首を右手で持ち武雄も右回転をして腕を伸ばしながらアリスを引っ張る。

武雄はちゃんと左足をアリスの足元に一歩踏み込んだ状態で引っ張ったので。

「ふぇっ!?」

アリスはものの見事に腹這いになりながら地面に落ち始める。

武雄も当然一緒に倒れ込んでいるがややアリスが下の状態だった。

「ぐっ・・・」

アリスは腹這いで武雄は横向きに地面に到着すると、武雄は急かさずアリスの背中に馬乗りしてうなじに手を当てる。


------------------------

「「なっ!」」

アンとクリナが席を立って驚く。

「「あ~ぁ・・・」」

ジェシーとスミスが「やっぱりかぁ」と苦笑していた。

「「「・・・」」」

アズパール王達はやはり真面目に見ていた。


------------------------

「むぅ・・・タケオ様、負けました。」

アリスが倒れながら顔を横に向けて言ってくる。

「抵抗しないのですか?」

「タケオ様なら倒れた時に・・・いいえ、腕を引っ張られた時にエクスかエレクを打たれて終わりでした。

 なら私は負けを認めるしかないではないですか。」

アリスが諦めながら言う。

「そうですか。」

武雄がアリスの背中から退く。

「むぅ・・・タケオ様に負けました。」

アリスが武雄の前に座る。

「まぁ条件を付けてですからね。

 何も前提条件がなければまた違ったでしょうね。」

武雄が布巾を軽く濡らしてアリスの顔を拭きながら言う。

「タケオ様、どうやったのですか?」

「とりあえず、お昼にしましょう。」

「わかりました。」

アリスと武雄が立つと王都守備隊員達と一緒にアズパール王達が待つ席に向かうのだった。



ここまで読んで下さりありがとうございます。

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