第773話 アリス達の食道楽とアニータ達の雑談。(王都の食べ物は?)
ここは王都内のとある喫茶店。
アリスとスミスとジェシーはアーキン達と王都見物をしていた。
というより食べ道楽を実施中。
今はアリス組とアーキン組の2つの席で楽しんでいる。
「ん~・・・これにします。」
アニータがメニューを見ながら食べる物を決めていた。
「アリス殿、決まりました。」
ブルックが言ってくる。
「はい、じゃあ注文しましょうか。」
アリスが店員を呼ぶのだった。
・・
・
「はぁ・・・ここはどんな物なのかしらね?」
ジェシーが注文を終え、ボーっと店内を見ながら言ってくる。
「どうでしょうか・・・先の2軒はハズれましたが。」
スミスがお茶を見ながら言ってくる。
「・・・アリスもスミスも水準が異常に高いわね。」
「だって・・・ねぇ?スミス。」
「はい。タケオ様やうちの料理を食べているので・・・物足りません。」
アリスとスミスは味が満足いかないようで「美味しかったぁ」とは言えなかった。
「はぁ・・・タケオさんの弊害かしら。
どれも美味しいわよ?」
「むぅ・・・わかっているのです。
決して不味いのではないのですけど。」
「はい、食べられます。
でも心から『美味しかったぁ』とは言えないんです。」
ジェシーの言葉にアリスとスミスが微妙な顔をさせる。
「はぁ・・・タケオさんが店に繰り出さない理由がこれなのかしら。
自分で作った方が美味しいとわかっているのかもね。」
「確かにタケオ様は街中で食べないのですよね。
でもミアちゃんが居るのも理由なのですけど。」
「そうねぇ・・・妖精は難しいかもね。
タケオさん、マヨネーズを持ち歩いているでしょう?」
「はい。
ですけど本当にタケオ様は店で食べないのです。
店で買っても部屋に持ってきて手を加えています。」
「まぁ店内でマヨネーズは出せないか。
はぁ・・・アリスもスミスもタケオさんの料理ばかり食べていてはダメよ?」
「うぅ・・・レイラお姉様にも言われました。」
「そりゃあ言うわよ。
タケオさんの料理ばかり食べていたら外で食事なんて出来ないわよ?
庶民の味を知っておかないといけないわ」
「わかってはいるのですけど・・・」
「わかってはいるんです・・・」
アリスとスミスが「そんな事言われても」とガックリとする。
と料理が運ばれて来るのだった。
------------------------
「んん~・・・」
ブルックも注文後にメニューを見ながら唸っていた。
「どうしたんだ?」
アーキンが聞いて来る。
「アリス殿達が満足いってないわ。
さっきの2軒は王都の人気上位5店の内の2店!超人気店なのよ・・・」
「・・・どうするかな。」
「はぁ・・・昨日出たと言っていたアン殿下と所長が作ったスイーツ凄いんだって?」
「らしいな。
参加していた皆が絶賛していたのだが・・・」
「私達も参加すればよかったぁ。」
ブルックがガッカリする。
「しょうがないだろう。
それに所長の事だ。エルヴィス領に戻ったら作ってくれるだろう。」
「それまでお預けかぁ。
まぁ向こうでも知らないスイーツを食べさせてくれたし、期待大だよね。」
「あのお茶に合うスイーツは良いな。
のんびりとした休日にでも食べたいものだな。」
「販売されるかな?」
「どうかなぁ。
確か研究所の1階が喫茶店だからそこに頼むかな。」
「期待が出来そうね。」
「そうだな。
アニータ、ミルコ、食事はどうだ?」
「どれも美味しいです!」
「満足です!」
アニータとミルコが楽しそうに言ってくる。
「そう言えば2人とも明日は王都守備隊と訓練でしょう?
気構えは大丈夫?」
「わかりません・・・何をするのですか?」
ミルコが聞いて来る。
「ん~・・・いつもの剣技かなぁ?アーキン聞いている?」
「さて、訓練に参加するとしか聞いてないが・・・
無難なのは剣技か?」
「だよね。
魔法師戦はまだ早いだろうし。」
「魔法師戦なら見学だな。あれはアニータ達にはまだ早いだろう。」
「そうね。
足場が悪い所を飛び回っての射撃なんて教えてないし。」
「そうだな。
これは追々だからな。」
「結局何をするのですか?」
「たぶん1対1の模擬戦闘よ。
アニータもミルコもそこは初めてだからドーンとぶつかっていきなさい。」
ブルックが笑顔で言う。
「ふぇ・・・そこはかとなく凄い事が始まりそうなのですけど・・・」
アニータが嫌そうな顔をさせる。
「平気よ平気。
2人が素人なのは皆が知っているからね。」
「そうだな。
最後まで続けられるのかという所だな。」
「アーキン殿、僕出来そうですか?」
「んー・・・頑張れ。」
「はぁ・・・」
アーキンが微妙な顔をさせて言うのをミルコは「これは大変な事があるんだ」と覚悟するのだった。
・・・
・・
・
アリス達一行はお茶会を終えて次なる店に移動中。
「・・・次こそは・・・」
アリスがボソッと呟く。
「はい、アリスお姉様。次です次。」
「はぁ・・・あと何軒行く気なのよ・・・」
スミスも呟き、ジェシーが呆れている。
その様子をブルックが見ながら「誰かこの姉弟を満足させる店を紹介して!」と願うのだった。
ここまで読んで下さりありがとうございます。




