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第743話 タマとクゥ。テトとニオ。

「きゅ。」

「ニャ。」

クゥとタマがカウンターの上でのんびりとする。

「で、2人して今日はどうしたのだ?」

仁王が聞いてくる。

「ニャ。ニャ?」

「きゅ。」

「ほぉ、散策を始めたのか。

 で、ここまで足を伸ばしたと。」

「きゅ。」

「ニャ。」

仁王の説明にクゥとタマが頷く。

「ところでクゥが背負っているのはなんだ?」

仁王がクゥがたすき掛けで持っている小さな包みを見ながら言ってくる。

「きゅ♪」

クゥが仁王に背中を向ける。

「ふむ、おやつとな。

 屋敷の者が出かける際にくれたのか。

 どれどれ。」

仁王がクゥの背負っているたすき掛けの結び目を解いてカウンターに広げる。

中にはバターサンドが4個入っており、手紙に包まれる形で銅貨数枚も添えられていた。

「テイラー、確か牛乳があったな。」

仁王は手紙の中身を軽く見るとそう言いながらテイラーに手紙を渡す。

「・・・。

 朝に使わなかった分があったはずだからそれを貰ってこようか。」

テイラーが席を立ってブラッドリー達が居る工房の方に行ってしまう。


「きゅ?」

「うむ。

 タマはまだ固形物が難しいと手紙に書いてあったからな。

 朝の残りがあるはずだ。

 それに浸して柔らかく出来ると思うぞ。」

「ニャ。」

タマが頭を下げる。

「構わぬよ。」

「まだあったよ。」

「クゥ、タマ、いらっしゃい。」

テイラーが牛乳と皿を持ってテトと共に戻ってくる。

「テトも来たか。

 スズネはどうだ?」

「何やらさっき閃いていたみたいだけど、悩んでるわね~。」

「ミシンは難しいだろうな。」

テトの言葉に仁王も顎を撫でながら言ってくる。

「そうね。

 でも実質的な製作は違う人間がするからね。

 概要だけで良いならまだ楽なんじゃないかな?」

「何とも言えないな。

 我々と違って(・・・・・・)形がわかるだけだからな。」

「スズネ、聞いてこないんだよね~・・・

 信用されてないのかな?」

テトが若干寂しそうな顔をさせる。

「・・・と言うか。

 テトは何でも教える気か?」

「何でもはないけど・・・何も聞かれないのも・・・」

「少なくともタケオは考えて考えて、それでもわからないなら聞いてくるな。

 聞いてきたのは料理と消しゴムだけだがな。」

「それはこの間のやり取りでわかったけど。

 スズネはタケオとは違うし・・・質問くらいはしてくれても良いんじゃないかなぁ~。」

「・・・テト、人間達には考えさせるのが一番だ。

 考えた末に見出だした事ならその後の発展に繋がる。

 ただ教えられただけの知識は使い物にならん事の方が多い。

 その後の人間の発展には寄与せんぞ。

 我らは合いの手をいれるぐらいが丁度良いのだ。」

「わかっているわよ!

 それに全てを教えることはなくてもヒントくらいなら出しても平気だろうし!

 その見極めはするわ。」

「・・・うむ。

 普段は澄ましているくせに本当は構って欲しいとはな・・・

 これがかまってちゃんなのか・・・難儀な物だ。」

仁王がため息をつく。

「違うし!」

「はいはい。」

テトが反論しようとするが仁王は無視をする。

「きゅ?」

「ニャ?」

「うむ。

 2人ともテトは寂しがり屋なのだ。構ってやってくれ!」

クゥとタマが首を傾げながら聞いてくるのを仁王が説明する。

「違うし!」

「きゅ~?」

「え・・・そりゃまぁ・・・皆で居るのは楽しいけど・・・」

「ニャ~?」

「ええ、確かに旅の最中に一緒に寝る事も気持ちが良かったけど・・・」

「きゅ!」

「ニャ!」

「いやいやいや、違うって!

 寂しがり屋じゃないって!」

「うむうむ。クゥ、タマ、テトはこう言っているがな。実際はかなり嬉しいんだぞ。」

「ニオも誤解を助長させないで!」

「「「・・・」」」

テトが必死になって言い訳をするが3人ともジト目で見つめる。

「う・・・違うって・・・

 ほんの少し心地良いだけで私は寂しがり屋ではないです!」

「まぁ・・・この話は終わりだな。

 続けても結果は変わらん。」

仁王が腕を組んで頷く。

「どっちがよ!?」

「・・・結果は変わらん。」

テトの抗議に見向きもしないで再び仁王が頷く。


「で、クゥ、タマ、最近変わったことはないか?

 我もテトもこれといってないんだがな。

 城門の周りはどんな感じなんだ?」

「ニャ?」

「きゅ。」

タマが首を傾げ、クゥが頷く。

「ふむ、モモに彼氏が出来たとな。」

「へぇ~、良い事じゃない。」

仁王とテトが感心する。

「ニャ・・・ニャ?」

「そうか、姉が雄を連れて来た時は困ったか・・・

 良き雄なのか?」

「ニャ。

 ・・・ニャ?」

「ふむ、タマにも優しいとな。

 だが、恥ずかしくてどうしようもないと言われてもな・・・

 テト、この件は任そう。」

「こっちに振るの?」

「我には女心はわからん。」

「まぁ、雄弁に語られても困るか。

 でもこれと言ってないわよ。

 タマはモモの彼氏は嫌いとかではなく、恥ずかしいだけなのでしょう?」

「ニャ。」

タマが頷く。

「そうかぁ。ならあとはコラやモモと一緒に何回も会って慣れるしかないわね。」

「ニャ?」

「きゅ?」

「いや・・・早期解決方法なんてないわよ。

 これは時間がどうにかするしかないわ。」

テトが朗らかに言うがタマは「ん~・・・」と難しそうな顔をさせる。

「ニャ~・・・」

タマが弱々しく返事をするのだった。



ここまで読んで下さりありがとうございます。

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