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第741話 エルヴィス家の客間。(夕霧達の年齢。)

「伯爵、どちらにしてもタケオに判断させるのですね?」

夕霧が聞いてくる。

「うむ。

 たぶんタケオもエルダームーンスライムになる方法を聞いて、スライム達を集める事を言っているのならこの想定はしているはずじゃ。

 じゃが、何も言ってこない。

 わしの意見を待っているわけでもない感じじゃの。」

エルヴィス爺さんが顎に手をやって考える。

「ならタケオはもう決めているっスか?」

時雨が聞いてくる。

「ふむ、何かしら考えているのは確かじゃの。

 まぁそれに素体の入手が出来るかどうかもわからんしの。

 どの国でも墓荒らしは禁忌じゃろうからそうそう買えるものではない。

 なのでタケオは買う気が無いという事もあり得るの。

 その際は今までの通り全てのエルダームーンスライムを集めて人型が居る事を願うのみじゃ。」

「そうですね。

 それに人型に拘る理由はそこまで高くないですし、利便度が高いというだけですからね。

 彩雲様のように鳥型を多く集めるのもまた違う運用が出来ますし、やりようはいくらでもあるでしょう。」

エルヴィス爺さんとフレデリックが頷き合う。

「わかりました。

 では私達も今まで通りとします。

 あと、スライム専用通路なのですが、この街周辺の森には開通出来ました。

 各森のエルダームーンスライムの探索をシグレのアサギリが始めています。

 それとサイウンからの情報の通り、王都までの街道の横に通路を作るのと魔王国との関までの通路を作るのをハツユキのアサギリがしています。」

「うむ。2人とも気を付けるのじゃぞ?」

「平気っス!スライム達に任せっきりっス!

 見つかって様子見が終わるまでは出て行かないっスよ。」

「私も見つけて様子を確認するまで向こうには行かない。」

時雨と初雪が頷く。

「うむ。

 彩雲も移動は気を付けるのじゃぞ?」

「はっ!」

彩雲が頷く。


「ところでじゃが。

 彩雲、さっきの報告に戻るとの。

 タケオ達はスミスと同じくらいの女性3名に殿下(・・)と呼んだのじゃな?」

「はっ!寄宿舎の話をしている最中は殿下付きで呼んでいました。」

「ふむ。

 現状の王家は確か第1皇子一家に長女と第2皇子一家に長女と次女がいらっしゃるな。」

「アン殿下、エイミー殿下とクリナ殿下ですね。」

「うむ。

 スミスに年齢が近い(・・・・・・・・・)の。」

「・・・主、まさか・・・」

「フレデリック、わかっておる。うちからは王家に求婚できるわけないのじゃ。

 うちは財力もない、王都にコネもない地方貴族じゃ。」

「・・・王家にはありますがね。」

「レイラか。

 だが第3皇子に嫁いでいる妃の実家から王家の娘に求婚でもしようものなら他の貴族が黙っておらんだろうの。」

「そうですね。

 まぁ向こうからされるのなら問題はないでしょうが。」

「さてはて・・・そもそもスミスは奥手だからのぉ。

 こちらからするという事はなさそうじゃが。

 タケオみたいに全方向に愛想を振りまければ、向こうから言われるかもしれぬが・・・それもしないじゃろうの。」

「まぁそうですね。

 それに今頃は疲れ果てているのではないでしょうか。」

「そうじゃの、全貴族(・・・)だからの。

 気苦労が多いじゃろうの。」

エルヴィス爺さんが遠い目をする。

「主、心配ですか?」

「いや、全然しておらんの。

 ジェシーとレイラとアリスとタケオが揃っていてスミスに危険な冒険はさせんじゃろう。

 むしろ何か・・・・そこはかとなくじゃが・・・試練を作りそうで怖いの。

 そういった意味では心配じゃ。

 あの4人が居ると・・・何かしそうでの。」

「・・・ジェシーお嬢様もレイラお嬢様もアリスお嬢様も大人になられましたし・・・タケオ様が止めるかと。

 そう無理はさせないのではないでしょうか。」

「そう願いたいの。」

エルヴィス爺さんが苦笑するのだった。


「伯爵、特にタケオに伝言はないのでしょうか。」

夕霧が聞いてくる。

「いや、2日前に北の森の鳥とここと東町との間の森の狼からコラ達に接触があったの。」

「テトが通訳してくれましたね。

 あれはタケオ達が戻るまで保留という事になったかと記憶していますが。」

「うむ。そうは言ったが、一応報告はするべきじゃな。」

「そうですね。

 それにコラの下に入るのは了承しましたが、条件が・・・」

「うむ・・・そうじゃの・・・」

エルヴィス爺さんとフレデリックが難しい顔をさせる。

「?・・・伯爵、フレデリック。

 あの2名が出した条件。厳しい?」

初雪が聞いてくる。

「厳しいというよりも難しいの。

 『同系族の雌を連れてくる』とは早々出来る物ではないの。

 じゃが、種族として外から入れないといけないという考えは正しいからの。

 最善を尽くすとしか言えないの。」

「そうなんっスか?」

「はい。

 人間や獣は血を交わして子孫を残していきますが、同じ家系で交配が進むと奇形が産まれやすい傾向がある為、2代か3代に1回は違う地域から血を入れないといけません。」

フレデリックが説明する。

「夕霧、あたし達は違うっスよね?」

「私達は密度を濃くしていく(・・・・・・・・・)事で内包する情報が高められます。

 ゆっくりですが、時間をかけ密度を高め、スライムを吸収したり見聞きしたりして情報量を上げる。

 そしていらない情報は個々に選別していく。

 生物のように血を交わす事もないですから気にしなくて良いでしょう。」

夕霧が頷く。

「そういえば夕霧が前に敵対したスライムは情報を大量に与え破裂させると言っておったそうじゃが・・・

 夕霧自体は平気なのかの?」

エルヴィス爺さんが質問する。

「私の許容量を越える情報量が送り込まれたら私が破裂しますね。」

夕霧があっさりと言う。

「ふむ、事前にわかる方法はあるかの?」

「雰囲気っスかね?」

「長齡になればなるほど見た感じ怖いから。

 その見極め?」

「ユウギリを最初見た時は破裂を確信しました。」

エルヴィス爺さんの疑問に時雨、初雪、彩雲が答える。

「そうなのですか?

 人間と雰囲気は違いませんが。」

フレデリックが不思議そうな顔をさせる。

「まぁ、なりたてならユウギリは怖いっスよね♪」

時雨が楽しそうに言う。

「怖い怖い。」

初雪も同意する。

「私はそんな脅威はないですよ。」

「まぁユウギリはそう言ってもっスね。

 あたしとハツユキの原初だから皆が怖がるっスよ。」

「そうなのでしょうかね?」

時雨の言葉に夕霧は「はて?」と首を傾げる。

「時雨・・・原初とはなんじゃ?」

エルヴィス爺さんが聞いてくる。

「原初は原初っス。

 あたしもハツユキも元々ユウギリのアサギリっス♪」

「・・・初雪が人間を取り込んだのが約110年前。その時にエルダースライムなのだから最低でさらに100年。

 じゃがその様子を時雨も見ているとなるとさらに最低100年。擬態が出来る期間を考慮するならさらに10年。

 その時に夕霧はスライムを生み出せたとして・・・さらに110年・・・

 本当に数百年なのじゃな・・・」

エルヴィス爺さんが数えながらガックリとしていく。

「実際、夕霧様はおいくつなのですか?」

フレデリックが聞いてくる。

「・・・わからない。

 元々数えてはいないし・・・数百歳です。」

「ババぁっス♪」

「シグレ・・・その言葉、どこで覚えましたか?」

「何でもないっスよ~♪」

夕霧がジト目で時雨を見るが時雨は意に介さない。

「伯爵。種族によって寿命は違うし、私達は寿命がない(・・・・・)

 気にする事はない。」

初雪が言ってくる。

「うむ・・・そうじゃ・・・の。

 どちらにしてもここに居る4人は特別じゃ。

 決して無理はしてはならんぞ?」

「「はい。」」

「わかってるっス。」

「はっ!」

夕霧達が返事をするのだった。



ここまで読んで下さりありがとうございます。

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