第737話 人事局で追加の会議。3(異種族の能力条件。)
「では、寄宿舎はそのようにして行きましょう。
人事局は寄宿舎の準備も抜かりなく進める事。キタミザト殿もジーナ殿の訓練をお願いします。」
オルコットがその場を締める。
「「はい。」」
武雄と人事局長が返事をする。
「さて、もう1つの用件ですが、キタミザト殿。レイラ殿下が概要を送られたと聞き及んでおります。」
「はい。
ウィリプ連合国に行き、奴隷を購入し、王都守備隊に引き渡す任務が出ると聞いています。」
「はい、そちらで間違いはないでしょう。
キタミザト殿からの要求事項については王都より許可を出します。
まずアズパール王国の使節団として向かって頂きますが、外交局を通じて事前に向こうに確認をしています。
使節団についても通常の売買でも何も問題にならないと回答を受けています。」
オルコットが説明する。
「オルコット宰相、申し訳ありませんがこの命令が出る際に交戦規定と附属される外交交渉権限の概要を一緒に頂けますでしょうか。」
「はい。
それについては今作成中です。
最終的には使節団任命書に添付させ、陛下の封蝋付きでお渡しします。」
「わかりました。」
武雄が礼をする。
「キタミザト殿、まだ陛下のご許可を頂いていませんが、これが異種族の能力要求事項の素案になります。」
王都守備隊総長が武雄の前に紙を出す。
武雄が手に取り内容を確認する。
「・・・」
≪能力要求事項書(仮)≫
・性別は男性もしくは雄である事
・年齢は若年過ぎず青年までである事
・外見は人型である事
・兵士としての経験がある方が望ましい
・魔法師としての素養がある方が望ましい
・思考形態については穏和である事
・法を順守し、25年間アズパール王国で働く事
・国の緊急事態により他国との戦争への参加をする事
・給金は月金貨2枚相当より要相談
・身長165㎝以上200㎝以下とし恰幅が良すぎる者は不可
・人当たりが良く人間種に対し敵対でないこと
・女癖が悪くない事
・食費が人間種の平均である事
・食べ物の好き嫌いがない事
etc
「・・・何でしょうか・・・この細やかさは・・・」
武雄が一通り目を通してため息をつく。
「いえ・・・皆で要件を決めてたらそうなりました。」
「買う際に見れるのは種族と名前ぐらいです。
まぁ身長や外見は見て決められますが・・・
女癖や好き嫌いは流石に・・・わからないですよ。」
「「ですよね~・・・」」
総監局長と総務局長が苦笑してくる。
「それに人型とはどこまでなのでしょうか。
例えば獣の外見だが2足歩行でも良いのか、オーガも人型なのか・・・」
「いや、キタミザト殿。
最初ですので人間種と同等の外見でお願いします。」
人事局長が言ってくる。
「私が知るなかではヴィクターやジーナの様な人から獣人に変身する者か、もしくはエルフですか。
ん~・・・出会えるかは確実ではないでしょうね。」
「・・・どちらも配下にいるキタミザト殿は引きが良いのでしょう。
そこに私達は望みをかけています。」
オルコットが言ってくる。
「前の引きが良くても次が良いとは限りません。
・・・と、そうでした。王都守備隊総長殿、第二情報分隊からフォレットさんとバートさんを借りられますか?」
「構いませんが、何をされますか?」
「先行してとある奴隷商を探して欲しいのです。
ヴィクターとジーナから聞きましたが、地名や奴隷商の名前はわからないのですが奴隷は一ヶ所に集められ事前市をされるそうなので、集荷場に行けばカトランダ帝国で奴隷2名を金貨240枚で買った者の情報が手に入ると思います。
それにヴィクターとジーナを綺麗に扱っていましたので奴隷の目利きとしても扱いにしても丁寧なのだという印象があります。
なのでここで話をしてみるのも良いかと。無知で臨んではいけませんので、もしかしたらもっと良い人材と出会えるかもしれませんので。」
「そうですか・・・ちなみにどこの街であるか・・・他に何か情報はありますか?」
「ヴィクター達は奴隷船での輸送をされたようですが、奴隷船以外でも集荷場に集められていたそうです。」
「・・・」
その場の全員が黙る。
「クラーク議長、話をしてもよろしいでしょうか?」
「・・・キタミザト殿からその言葉が出るならわかっているのでしょう。
ならこちらからの情報は出し渋る必要はないかと。」
オルコットとクラークが何か確認し合う。
「キタミザト殿、この情報は王都でも極限られた者が知っています。
軽々しく言わないようお願いいたします。」
オルコットが武雄に頭を下げる。
「はい、わかりました。」
「はい。我々が掴んでいる情報だと奴隷は輸送船以外にも」
「陸路での搬送はドワーフ王国が仲介しているのですね?」
オルコットの言葉を遮り武雄が言ってくる。
「キタミザト殿・・・その情報はどこからですか?」
オルコットが訝しむ。
「冒険者組合からの2か月に1度出てくる分布状況の報告書を見ている時にカトランダ帝国とウィリプ連合国との関での魔物数と魔王国に面している3伯爵領との魔物数を見比べていて、なぜか周辺で魔物の数が同じなのに気が付きました。
そこでエルヴィス伯爵に『周辺の国は全部繋がっている可能性』を聞きました。」
「・・・正解です。
特にエルヴィス伯爵は魔王国にもドワーフの王国にも面している。
ならこの結論に達していてもおかしくはないですね。
キタミザト殿、エルヴィス伯爵達は他に何か言っていましたか?」
「双方の奴隷売買のおかげで大規模な戦闘に至っていないという側面も否定が出来ない。
エルヴィス家の文官達もいくら他国であっても人間が売られているのを快くは思っていないのは確かだが、陸路を遮断して確かめるにはリスクが高く、現状ではアズパール国内に入らなければ手出しをしない。
また、アズパール王国は基本的に法と秩序を守るならどんな種族でも国民として認めているので、食人をしない人型の魔物の居住を許可して、国内の人口を増やし数の利で戦争を防止する事を目論んでいるとも言っています。
ですが、成果は上がっていないとも言っておりますね。」
「そうですか。
・・・どの貴族からも同様の質問は来ていません。なのでエルヴィス家の考えは独自で行きついた答えなのでしょう。
それとキタミザト殿、アズパール王国は現状の外交政策を変更はする気はありません。
ですのでドワーフ王国内の街道は今の所、手を付けずにお願いします。」
オルコットが頭を下げる。
「はい。魔王国との全面戦争は現状のエルヴィス領では対応できない事はエルヴィス伯爵と確認しています。
なので身勝手な行動はしません。」
「そうですか。
私達もまだ全面戦争が出来る余力はありません。すみませんがその様にお願いします。」
その場の皆が難しい顔をさせるのだった。
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