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第735話 人事局で追加の会議。(研究所の辞令についてと報告書まだ?)

1日目の研修も終わり、新貴族や文官達が大広間を退出して行く。

武雄は資料をトントンと揃えたり、筆記具を無意味に並べたり、リュックを出して物を入れたりと、ダラダラと帰り支度をしていた。

いつもの武雄を知っている者なら、ここまで面倒(・・・・・・)そうにする(・・・・・)姿は見たことがなく、驚くかもしれない。


「・・・」

荷物を入れ終えた武雄は椅子に浅く座り直し、考え事を始める。

「「失礼します。」」

誰かが入って来たので武雄は目線を向けると、ヴィクターとジーナだった。

「おや?どうしましたか?」

「主、研修お疲れ様です。

 他の皆さまは出て来られたのに、主だけ出て来ないので見に来ました。」

「ご主人様、お疲れですか?」

「ええ、王都がどうやって貴族を監視しているのかを垣間見たので疲れました。

 そうそう、封蝋と紋章の許可が出ました。

 あと、冒険者組合を介しての貴族用の入出金カードも貰いましたので、ヴィクターは正式に入出金の管理・・・経理の方を始めてください。」

「はい、畏まりました。」

「で、どうしてヴィクター達がいるのですか?」

「新貴族の執事が主達の研修中に呼ばれまして。

 廊下で待っていました。」

「なるほど。封蝋とカードが配布されましたから、正式に貴族の活動が出来ますからね。

 それなら、執事をすぐに呼んでおこうという配慮ですね。」

「主の紋章はどういう物になりましたか?」

「太線で八角の輪を作り、剣に盾を重ねて盾の上2隅と下に工業、農業、水産を表すマーク(五円硬貨の絵部分のようなもの)がそれぞれ書かれます。」

「主、何だか欲張りですね。」

「ご主人様らしいですね。」

ヴィクター達が苦笑する。

「なかなか思い浮かばないので、このぐらいしか・・・

 まぁ、認証されたのなら問題はないのでしょう。」

武雄も苦笑する。

「さてと、人事局に寄ってからウィリアム殿下の所に行きますかね。」

「「人事局?」」

「はい。研究所の人員の辞令を聞きに行こうかと。

 正式に異動をさせるのに、書類か何かあるはずだと思いますから。」

「わかりました。」

ヴィクターとジーナが頷き武雄は席を立つのだった。

・・

武雄達が人事局に着くと「待っていました」と言わんばかりに、人事局に併設された小会議室に連こ・・・通された。

そこには財政局長、人事局長、総監局長、総務局長、軍務局長、クラークとオルコット、王都守備隊総長、第1騎士団団長がいた。

武雄が入室するなり、武雄と面識がない者は所属と名前を言って挨拶をしていた。

「さて、挨拶は終りましたか。

 キタミザト殿、丁度お呼びしようと思っていた所でした。」

オルコットが言ってくる。

「はぁ・・・そうなのですか。」

武雄は生返事をしながら左右に目を向けるが、意味がわからなかった。

財務から騎士団に貴族会議、文官も武官も王都の中心部署(・・・・・・・)のトップがいるのだ。

「・・・そのお話の前に、こちらの用事を終わらせたいのですがよろしいでしょうか。」

「そうですね。

 人事局長。」

「はい。キタミザト殿、どのようなご用件でしょうか。」

「私が貴族になったので正式に研究所の人員に辞令が発令出来ます。

 なので、今は採用予定の者を融通して頂けると口頭では了承をされていますが、正式な書類が必要だと思ったので、サインや蝋印をしに来ました。」

「なるほど。流石はキタミザト殿です、動きが早くて助かります。

 辞令書も人員分用意が終わっています。

 ですが、あと2日お待ちください。」

「2日ですか?」

「はい。明日は殿下方の挙式と立食会があります。

 その対応で文官、武官が慌ただしいので明日はしません。

 明後日に研修の2回目があると今日の資料にあったと思います。

 その時に蝋印をお願いします。

 辞令書は現在の配属先から渡される物ですので、キタミザト殿はその後の研究所の打ち合わせの時に辞令書を確認していただければ結構です。」

「わかりました。

 それと、うちの部下に魔法師専門学院の2名が居ますので、辞令書は4月に私が渡したいというのと、現状で彼女達を安心させたいので内定書(・・・)を作ってください。

 うちの部下に持って行かせます。」

「畏まりました。

 内定書というのは『採用が本決定されたので4月に第二研究所に出頭する事』という内容でよろしいでしょうか。」

「そちらでお願いします。」

「畏まりました。

 明後日までに準備させていただきます。」

「ありがとうございます。

 それと、研修の資料を読んだのですが、明後日、明々後日の研修内容が『領地運営と研究所について』という題材でした。私達が事前に講義を受けた内容だと思うのですが、2日間何をするのですか?

 資料には何も書かれていませんでした。」

「明後日からは貴族会議組と領主、研究所組で分かれて研修をします。

 キタミザト殿には想定問答をしていただきます。

 まぁ『領地と研究所の役割をもう一度考えよう』という会になるでしょう。

 貴族会議の方は、実戦形式の討論をする予定でしたね。

 クラーク議長、それでよろしいでしょうか。」

「構いません。

 ふふふ、新しい貴族会議の仲間です。

 久しぶりの教育を皆、楽しみにしています。」

「・・・クラーク議長、イジメてはいけませんよ?

 今の若者は耐性がない者が少なくないですからね。」

オルコットが忠告をクラークにする。

「しませんよ。

 かと言って手取り足取りで教える訳にはいきません。

 実践形式での議事討論会を2日間する予定です。」

クラークが言う。


「・・・クラーク議長。

 そういえば、前回来た際の首謀者の報告書はいつ頃まとまりますか?」

武雄がにこやかに言ってくるが、その言葉にその場の全員が固まる。

「2家を追放して3家がお亡くなりになって、新貴族の選定と爵位の授与式。殿下方の挙式と慌ただしくてまとめる時間がないというのはわかるのですが、今後の為に早めにどういった経緯(・・・・・・・)であのような事になったのか、背後関係はどうなっていたのか。

 まぁ、言える事と言えない事があるのはわかりますが・・・

 私も正式に貴族になったので閲覧権限のような物は上がっていると思いますから、内容は限定されなくても構わないとも思います。」

「わ・・・わかっておりますとも、ご安心を。

 現在最終まとめの最中です。この後に文官や武官等、王都内で内容を確認してからキタミザト殿に提出する事になっております。

 ですので、もうしばらくお待ちください。」

「そうでしたか。決して焦らせる気があって言った訳ではありませんので、しっかりとした報告書をお待ちしております。」

武雄が頭を下げるのだった。



ここまで読んで下さりありがとうございます。

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