第732話 81日目 授与式。(宣誓。)
王城の大広間にて厳かに爵位授与式が行われていた。
王家の面々、各既存貴族と王城内の各局長が出席をしていた。
壇上にはアズパール王がおり新任貴族7名と騎士5名が1人ずつ呼ばれて爵位授与が行われた。
そして各員の職務(王都勤め、領地持ち、研究所)が発表され、領地持ちとしてバビントン、貴族会議への新貴族代表としてボールドが宣誓を行い終わっていた。
「王立研究所 宣誓。」
オルコットが議事進行をしている。
「「はっ!」」
アルダーソンと武雄が起立する。
「代表 バリー・ケリー・アルダーソン男爵。」
名を呼ばれ、アルダーソンが壇上に向かう。
まずはアズパール王に一礼。
「宣誓!」
その言葉に武雄がその場で礼をし、頭を下げたままにする。
「我々は、わが国の平和と独立を守る研究所の使命を自覚し、アズパール王国の法を遵守し、一致団結し、厳正な規律を保持し、常に徳操を養い、人格を尊重し、心身をきたえ、技能をみがき、強い責任感をもって専心職務の遂行にあたり、事に臨んでは危険を顧みず、身をもって責務の完遂に務め、もって陛下と国民の負託にこたえることを誓います。」
アルダーソンが宣誓書を読み上げるとしまい、アズパール王に渡す。
そして一礼をして席に戻って来る。
席に到着した時にオルコットが軽く頷くと武雄とアルダーソンが席に着く。
「騎士 宣誓。」
「「「「「はっ!」」」」」
アリスを含めた5名が立ち上がる。
ちなみに騎士達はフルプレート着用だった。
アリスはいつもの赤いフルプレートで出席中。
「代表 騎士アリス・ヘンリー・エルヴィス。」
名を呼ばれ、アリスが壇上に向かう。
まずはアズパール王に一礼。
「宣誓!」
その言葉に騎士たちが最敬礼をする。
「我ら騎士は祖国に常に忠誠を尽くし、実直に仕え、勇敢で従順な兵士として、いかなる時もこの宣誓のため身命を賭する用意のあることを誓います。」
アリスが宣誓書を読み上げるとしまい、アズパール王に渡す。
そして一礼をして席に戻って来る。
席に到着した時にオルコットが軽く頷くと騎士達が席に着く。
「アズパール国王、訓示。」
「うむ。
今回7名の貴族、5名の騎士の爵位が滞りなく授与出来、誠に嬉しい限りだ。
これからの王国繁栄は偏にお主らにかかっていると言っても過言ではないだろう。
先の宣誓を胸に職務を遂行することを願い、未来に対し奮励努力せよ。
本日は誠に喜ばしい日だ。」
アズパール王とオルコット以外のその場の全員が最敬礼をし。
「「「アズパール王に忠誠を!アズパール王国に繁栄を!」」」
と唱和する。
「陛下が退出されます。」
アズパール王はゆっくりとした歩調で退出する。
・・
・
「以上を持って授与式を終わります。
この後、新たに貴族に成られた方々は各自昼食を取って頂き、午後はこの場で合同の貴族研修を実施いたします。
総員解散。」
皆が席を立ち広間を後にし始めるのだった。
「はぁ・・・終わりましたね。」
武雄が隣に座っているアルダーソンとバビントンに言う。
「緊張しました。」
「全くですね。」
バビントンとアルダーソンが疲れた顔をさせながら言ってくる。
「タケオ様、移動ですよ。」
アリスが近寄って来る。
「お迎えが来てしまいました。」
武雄がため息をつく。
「はは。ではキタミザト子爵、また後程。」
「では。」
バビントンとアルダーソンが席を立ち。
各々で地域の領主やら知り合いと合流していく。
「さてと。
アリスお嬢様、着替えに戻りましょうか。」
「はい、そうしましょう。」
武雄とアリスは一旦、部屋に戻るようだった。
「んー・・・ジェシーお姉様、僕たちはどうしましょうか?」
「そうね~、まずは昼食ね。
確か貴族用に食堂があるのだったわよね。」
「はい。」
スミスとジェシーが移動しようとして。
「あ、ちょっと待って。
ジェシーお姉様、スミス、私達と昼食にしましょう。」
レイラが近寄って来る。
「え?良いの?」
ジェシーが聞き返す。
「第3皇子一家は明日も臨席だけですからね。
予定も今日は終わりだし、姉弟なら問題ないわよ。
あ、テンプル伯爵は・・・」
「はは、私は他の貴族とお茶会です。
ジェシー殿は姉弟で過ごしてください。」
「私も出席した方が良いのかしら?」
「・・・必要ないでしょうね。
どうせ意味のない会話ばかりですし。
それに私までそっちに行ったらウィリアム殿下方が訝しがられますよ。」
テンプルがつまらなそうな顔をさせる。
「そう、ごめんね。
明日はテンプル伯爵を呼ぶからね。」
「はい、わかりました。」
レイラの言葉にテンプルが頷いてから離れて行った。
「さてと。
私達の執務室に行きましょう。」
レイラを先頭にジェシーとスミスが移動するのだった。
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「疲れましたね。」
「ですね~。」
武雄達が着替えながらしゃべっている。
「タケオ様・・・こっち・・・こっちを上げてください。」
「はいはい。」
武雄がアリスのスカートを腰まで上げてアリスが上着の部分とボタンで留めたりしている。
「はぁ・・・このドレスの着付けは面倒です。
旅用の服の方が楽ですけど、あれで歩くのもいささか不審ですし。
・・・もっと着付けが楽なのを持ってくれば良かったです。」
アリスが身だしなみを整えながら言ってくる。
「・・・アリスお嬢様は今日のフルプレートに明日用のドレスに普段着・・・めちゃくちゃ多いですね。」
「大方はタケオ様の大袋に入れたのですけど・・・あれでも足らなかったです。
まぁ数日間の辛抱ですよね。そうすれば他の貴族が居なくなるでしょうから普段着で十分ですし。」
「・・・アリスお嬢様が良いというならそれで良いかと。
それに着る人が良いと何を着ても綺麗ですから。」
武雄がアリスを抱き寄せながら褒める。
「・・・とても良い言葉ですが、私のお尻を触りながら言われても感動出来ないのですけど。」
「ん~・・・触れ合いって大事らしいですよ?」
「それは真昼間に聞く言葉ではないですね。
さ、タケオ様、レイラお姉様の所に行きましょうか。」
「はい、わかりました。」
武雄達も移動をするのだった。
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