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第727話 80日目 領地持ち達のお茶会。(王都の壁。)

ここは地方貴族の控室というかお茶会場。

武雄とアリスとボールド達新貴族は授与式の予行に行っているし、王都勤めの貴族達は貴族会議に出席中。なので現状の地方貴族達はのんびりとお茶をしながら友好を深めているのだが。


「あの・・・テンプル伯爵、僕がどうしてここなのでしょうか?」

「さて、どうしてかな?」

スミスが自分が座っている面々を見ながらテンプルに小声で話しかけて来る。


ちなみにスミスは朝一番でテンプルの部屋に出向き、昨日の暴言の謝罪をしていた。

テンプルは苦笑して「問題ないよ。むしろ領地の為にはそのくらい言って当たり前だな」と次期当主としてあの発言は真っ当だし当たり前だと評価してくれた。

まぁテンプルは事前にジェシーからその後の事も聞いていたし、この件も含め『スミスが正式に当主になってから教えれば良い事』と話し合っていたからでもあるのだが。


「あはは、エルヴィス家の若き次期当主殿は緊張しまくっていますね。

 それにしてもこうやって全貴族が集まるのは珍しいですね。」

「そうですね。

 まさか私の代で領地持ち15家が集まる日がまた来るとは。

 ほれほれ。エルヴィス殿、もっとお菓子を食べなさい。」

「やはり子供は大食いでないといけませんな!」

老貴族3名がスミスとテンプルが座る机に同席していた。

「うぅ・・・ありがとうございます。」

「まぁ・・・年齢的に孫ですね。

 それにしても何で王都の壁の東側の(・・・)お三方がこちらに?」

「いや・・・私ら3名はエルヴィス領とテンプル領と王都との街道に面していますからね。

 挨拶しないといけないでしょう。

 他の面々も各街道の終着貴族と友好を深めていますよ。」


地方貴族15家とは魔王国に面している3家、カトランダ帝国に面している3家、ウィリプ連合国に面している2家、王都周辺にいるの7家を指している。

そして王都周辺の領地持ち7家は国境に面している貴族とはちょっと違う。

領地自体は小さいが騎士団と兵士計500名を有し、領地運営はするものの王都周辺の侵攻阻止を担当している独立部隊の面が強い。

万が一、地方貴族が反旗を翻したら王都の騎士団の準備をしている間に王都防衛の第1陣として各領地に突撃してくる貴族でもある。


「テンプル伯爵、最近の魔王国はどうですか?

 不穏な報告が相次いでいますが。」

「向こうが何を考えているかはわからないですよ。

 そもそも相手が人外ですからね。

 エルヴィス領とゴドウィン領の関で警戒を高めているだけです。

 ある意味で西側の方々の方が相手の思考は読みやすそうではあります。」

「ふむ、それもそうですね。

 まぁこんなに新人が多く(・・・・・・・・・)なりましたから我らも気が気ではないですね。

 小さくとも不穏な空気(・・・・・)には敏感でしてね。

 何かあるのではないかと思ってしまいますよ。」

「私はそうは思いません・・・新しい風が入った(・・・・・・・・)という認識をしないと時代に取り残されそうです。

 それに切っ掛けを作った人物(・・・・・・・・・・)を探るより何で新しくなったか(・・・・・・・・・)のかを考えるべきなのでは?」

「それは我らの仕事ではないのでね。

 我らの命題は王都防衛ですよ、テンプル伯爵。」

「我ら魔王国に面した3伯爵は王都に何かする気はありませんよ。

 むしろ王都が何をしたいのか(・・・・・・・・・・)でしょうね。

 貴方方ならわかっているのでは?」

「さて?我らは王都防衛のみなのでそちらの意向は存じ上げませんね。」

老人達はしたり顔でテンプルはすまし顔でやり合っている。

スミスは横で黙って聞いているが「面倒だなぁ」と思っていたりする。


「まぁ私達3伯爵も子爵も王都云々より魔王国の方が脅威ですよ。

 関の変化も微細ながら見過ごすと大事になる可能性すらありますからね。

 それにウィリアム殿下の件もある。

 当分魔王国方面は各領地の内外で慌ただしいでしょう。

 まったく・・・領内の安定を維持するのも大変なのにウィリアム殿下の方も気にかけないといけないし、ついでに魔王国・・・やる事が山のようにあります。」

テンプルがため息を漏らす。

「まぁ・・・事実その通りでしょうね。

 我らも何かあれば少々ですが物資の融通はしますよ。」

「あまり他領に頼りたくはないものですが・・・いざとなれば頼らないといけない場面もあるでしょうね。

 その際は正式な形(・・・・)で頼らせて貰います。」

「ええ、微力ながらお手伝いさせて貰います。

 エルヴィス殿も遠慮なく私達を頼ってください。

 まぁ領地は小さいし収入は少ないので本当に微々たるものですけどね!

 アハハ!」

老人の一人が豪快に笑い飛ばす。

「はい。

 私ではまだまだその辺の政策はわかりませんが、まずは王立学院に入学し知見を広めたいと思っています。」

スミスが軽く会釈をする。

「そうですな。

 うんうん、それに勉学だけでなくいろいろな事(・・・・・・)を学ぶ良い機会でしょう。

 社会経験も然り、恋愛も然りですね。

 少しくらいなら悪いこともするべきですな。」

「ふふふ、まだエルヴィス殿は13歳。その辺はこれからでしょう?」

「アハハ!これは失礼!

 だが勉学だけが学院の意義ではない!遊びも人脈も女も学ばねばならぬ!」

老人3人が楽しそうに話す。

「はぁ・・・言葉が過ぎますよ。

 彼は伯爵家の当主代行。言い方に気を付けて貰いたいものですね・・・男爵方?」

テンプルが目を細めて威嚇する。

「これは失礼した。」

「あぁ、エルヴィス殿、すまなかった。」

「非礼を詫びよう。」

三老人は悪びれもせずに謝罪する。

「いえ、こちらはご指導を受ける身です。

 至らぬところがあれば直していきたく思っております。」

スミスはちゃんと対応するが心の中では「面倒だぁ」と思うのだった。



ここまで読んで下さりありがとうございます。

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― 新着の感想 ―
[一言] ・・・・・テンプル伯爵、絶対スミスの言葉を根に持ってるでしょwwwww 絶対『知ってて』この場に参加させたでしょwww 絶対、一番めんどおくさいのテンプル伯爵だと思うw
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